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「某教授」とはだれ?
『婦人公論』2003年2月号に出てくる、なぞの反対論者

『婦人公論』2003年2月号の、井戸端会議、
「『夫婦別姓』論議はどこへ行ったのか」という特集で、
参議院議員の佐々木知子氏の、つぎのようなコメントがあります。
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反対派の人は、たとえば某教授がスウェーデンなどの例を出して、
「夫婦の別姓を許した途端に、少年非行や離婚が増えた」
と主張しているんですが、少年非行に詳しいと自負する
私ですらそんな統計は知らない。因果関係の証明ができないんですから。
========(156ページ)

佐々木議員は、ながいあいだ検事をなさっていて、
少年犯罪にも関わってきたかたです。
別姓と子どもの非行との関係を、裏付ける資料があるなら、
とうぜん目に触れているでしょう。
その佐々木氏で、さえ知らないのですから、
「某教授」の「資料」は、架空のものにちがいないでしょう。


ところで、ここで言われている「某教授」とは、だれのことでしょうか?
『婦人公論』には、名前が出ていないですが、
おそらくは、『父性の復権』という本で、一躍有名になった、
東京女子大の、林道義教授ではないかと思われます。

林道義氏は自分のサイトで、こんなことを書いています。
(「四 日本文化の基本型を守れ」のいちばん最後のところ。)
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スウェーデンでは個人単位思想に立って夫婦別姓を導入し、
そのために離婚は増大し、犯罪は急増した。
スウェーデンと同じ破綻への道を辿らないためにも、
夫婦別姓は断固として葬り去らなければならない。
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「某教授」が、林道義氏だとすると、おそらく、
『福祉国家の闘い』(武田竜夫著)の影響を受けたものと思われます。
ところが、この本の当該箇所を、わたしは見てみたのですが、
離婚や少年犯罪が増えたことだけが、単に述べられているだけで、
家族政策との関係は、まったく出ていないです。

選択別姓の導入うんぬんは、林氏がオリジナルで付け加えたものですが、
根拠が示されているのではなく、思いつきだけと言ってもいいものです。
さらに言えば、つぎのエントリにあるように、離婚や犯罪が増えたという、
武田竜夫氏の主張自体、あやしいものとも考えられています。
「スウェーデンをディスるコピペに対する疑問。」
http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20060601/p2

参考文献、資料
  • 婦人公論 井戸端会議 2003年2月7日
    「夫婦別姓」議論はどこに行ったのか
    世論調査でも支持され、法務大臣も支持。
    議員のなかにも支持者が多いのだけれど、なぜか通らない夫婦別姓案。
    議論もしりすぼみ気味。
    こんな自由がない国も、いまでは珍しくなってきたのだけれど
    (リード)

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