一般に、選択別姓の導入を望んでいるのは、
結婚しても苗字を変えたくない、女性が多くなっています。
そして、反対するのは、苗字を変えない女性に
不満を感じる男性に多くなっています。

こういう言いかたをすると、これをご覧になっている中には、
男性でも賛成している人はいるとか、女性でも反対する人はいるとか、
実体験を出して（ご自分を実例として？）、反例を出すでしょうか？
あるいは、ちょっと賢いあなたなら、世論調査を持ち出して、
男女差は意外とすくないですよと、言うかもしれないです。

さらには政治的思惑から、「それはオトコ対オンナという
図式張りであり、問題の解決をかえって遠ざけかねない」
とかなんとか言って、意識の低い考えであると、
決めてしまう人たちも、いらっしゃるかもしれないです。


あてはまらない例を探すのは、そんなにむずかしくないですが、
いちばんありがちなのは、上述のケースだろうと思います。
結婚するにあたっての、苗字に関した悩みやトラブルも、
同姓であるべきという男の人と、苗字を変えたくないという
女の人とのあいだで起きることが、いちばん多いと思います。

このとき、じつは、わざわざ話し合うまでもなく、
簡単に解決する（はずの）方法があります。
それは、男性のほうが改姓して、女性の苗字を名乗ることです。
いまの民法でも、男性の改姓は認められていて、法的な制限はありません。
これで、男女双方とも、自分の希望がかなって、
めでたし、めでたし．．．のはずです。

．．．のはずなのですが、どういうわけか、
男性のほうは、自分が改姓するという案に、納得したがらないのです。
（女性のほうは、それでもいいと、受け入れるようですが。）

「同姓であるべき」と主張する男の人は、
家族の一体感や、子どものことを理由にしています。
それならば、みずから改姓してでも、
同姓夫婦になって、家族や子どもを守るべきでしょう。
それなのに改姓を渋るのは、じつは家族や子どもなど、
どうでもよかった、ということでしょうか？

あるいは、苗字が変わることくらいなんでもないとか、
通称を使えばだいじょうぶだ、とか言って、
改姓に負担がないことを、強調することもあります。
それなら、なおさらご自分が改姓しても、困らないはずです。
きゅうに自分が改姓したくなくなるのは、
じつは、苗字を変えるのは、たいへんなことで、
ちっともだいじょうぶではなかった、ということでしょうか？


言うまでもないことですが、このような男の人は、
自分は苗字を変えないですむことは、とうぜんのこととして、
お相手の女の人に、改姓させて同姓にしようという、
虫のいいことを考えているに、ほかならないです。

こうした男性は、「夫婦別姓なんて、女の人のわがままだ」と、
ときに、はっきり言ってしまうこともあります。
別姓問題は、女性にだけ関係していることであり、
男性（自分）が改姓しない権利は自明なのだから、
自分には関係がないのだと、思い込んでいるのだと思います。
それで、「ご自分が改姓すればいい」と言われると、
不意をつかれたようになってしまうのでしょう。

同姓であるべきと主張しておいて、自分から改姓して
同姓にはならないのでしたら、それこそわがままだと思います。
ましてや、自分は改姓がいやだから、お相手に押し付ける
というのなら、輪をかけてわがままでしょう。
自分の改姓という選択に、気が付いたところで、
迷わずそうして同姓になるか、あるいは、自分の非を認めて、
別姓結婚を受け入れるかの、どちらかとするのが本来だと思います。

それでこれを、前面に出さないようにするのですが、
正当化できる理由が、ほかに見つかるはずもなく、
自分の主張を強調するほど、それが自分に返ってくるという、
さきほど述べたジレンマに、おちいってしまうのでした。

このような男の人は、女の人（とくに、自分の結婚相手）が、
苗字を変えないことが、どうして不満なのでしょうか？
自分が苗字を変えたくないというのは、まだわかるのですが、
お相手が変えてくれないと、なんでいやなのか、わたしにはわからないです。

「愛する彼氏の苗字になれてうれしい」という
女の人の心理は、すりこみだと言われていますが、
男の人にも、お相手の女の人が、自分の苗字を名乗って、
結婚した気分になれる、みたいな、すりこみがあるのでしょうか？
それとも、相手の女性に自分の苗字を名乗らせることで、
所有意識みたいなものを、感じたいのでしょうか？

以前とある男のかた（反対派ではないですが）に、
訊いてみたことがあったのですが、やはりわからなかったのでした。
お話してくださった、男性のかたも、はっきりわからない、
といった感じでしたので、たんぽぽがわからないのは、なおさらですね。

選択別姓に反対する心理の核心とでもいうべき、
これをはっきりさせてこそ、「反対派の精神構造」なのだと思いますが、
わたしには、どうにもならないので、このあたりでおしまいです。
（ああ、これをご覧の男性のかたで、わかるというかたが
いらっしゃりましたら、たんぽぽに教えてくださいね。）

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