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家裁認可制の元祖

結婚するのに、裁判所で許可を受ける必要がある、
と言ったら、あなたはどのように、お考えになるでしょうか?
エキセントリックなお話ですが、自民党の選択別姓の
推進派グループは、夫婦別姓を選択するときは、
家庭裁判所で認可を受ける必要があるという、
「家裁認可制法案」を、実際に準備しています。

この「家裁認可制法案」なるものを、最初に言い出したのは、
おそらく西川京子氏だと言われています。
自民党の議員で、とても強固(しゃれにあらず)な反対派です。

西川京子議員は、『諸君!』の02年3月号に、
『クタバレ「夫婦別姓」』というタイトルで、自民党の高市早苗議員、
民主党の山谷えり子議員とともに、座談会記事を載せています。
これは、山谷えり子がはじめて、自分が反対派であることを、
「カムアウト」した記事でもあり、山谷氏の「反対派デビュー」の
お手伝いを、西川氏はしたとも言えるでしょう。

02年4月17日に「日本女性の会」による、
「夫婦別姓に反対する国民の集い」なるものが開かれました。
西川京子氏は、この集会にも参加したらしく、
「何度も何度も、この選択的夫婦別姓制度の話をくり返すよりも、
もう絶対日本人は同姓でいくんだよと」などと、
演説をぶったと言われています。


02年の4月ごろ、自民党の推進派は、別姓を選択するときを、
例外扱いとする、「例外制法案」を準備していました。
自民党の法務部会で議論になったのですが、西川京子議員は、
「例外制は実質的に、選択制と変わらないので反対だが、
家裁の認可があれば賛成できる」と言ったのでした。
http://www.lalalaw.com/contents/news/news020701a.htm
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政府が今国会提出を目指した改正案に関しては
「家裁が関与するなら賛成できるが、政府案は名称だけ『例外的夫婦別姓』で、
実際は歯止めがない」(西川京子衆院議員)などの指摘もあった。 
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この西川発言を受けて、そこまで譲歩するなら賛成するのかと、
野田聖子議員たち推進派は、家裁の許可があれば、
別姓が選択できるという制度を実現するべく、
「例外的に夫婦の別姓を実現させる会」を発足させたのでした。
http://www.noda-seiko.gr.jp/old_data/hitokoto/140724.html
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第二に、法務部会で、夫婦別氏制度反対の議員から
「婚姻において夫婦が同氏であるとの原則は崩さない。
別氏はあくまでも例外であり、その例外性が明らかに判るように、
例えば家裁での許可を要件とするような法改正であれば賛成できる」
という発言があったからです。
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ところで、西川京子議員は、どういうわけか、
「例外的に夫婦の別姓を実現させる会」に加わっていないのです。
自分が言い出した考えにもとづいて、作られた法案なのですし、
とうぜん賛成していいはずです。
さすがに、めだった反対活動はしなくなったみたいですが、
さりとて積極的に、賛成しているのでもないようです。

わたしの邪推ですが、おそらく推進派議員たちが、
本当に家裁案で妥協するとは、思わなかったのかもしれないです。
あるいは、こんな突拍子もない条件でもつければ、
あきらめるだろうという判断もあったでしょうか?
反対する理由がなくなったので、不本意だけど、
だまらざるをえなくなった、ということかもしれないです。
うっかり口をすべらせて、言質を取られたのでしょう。

家裁が審査すればだいじょうぶ、といったことに、
根拠はまったくないですし、西川京子議員も、
家裁認可の安全性を、しめしたのでもないようです。
場当たり的な、思いつきだけで言ったのだなと、わたしは思いましたよ。
今後は反対派たちも、もっと用心深くなって不用意に、
「この条件なら賛成してもよい」と、言い出すことはしなくなるでしょう。

西川京子氏は、それからしばらくのあいだ、
表立って邪魔立てはしなくなったというお話です。
頑迷に反対する人が、ひとり減ったわけで、
それだけでも得るものはあったのかもしれないです。


ふたたび反対を言い出すのは、約2年後の「郵政選挙」のあとです。
彼女はもともと熊本出身だったのですが、
福岡に落下傘候補として、コイズミに抜擢されます。
みかん箱の上で演説していたので、「みかん箱の刺客」と
言われるようになるのですが、コイズミ劇場の作る、
「郵政民営化大賛成!」の熱狂に酔いしれる中、
どんどん得票を伸ばして、当選を果たしてしまうのでした。

2005年10月3日号の『AERA』では、「刺客」として当選した、
佐藤ゆかり氏、片山さつき氏と、西川京子氏とで、
3人の「大放談会」が掲載されます。
このとき、インタビュアーから、選択別姓について訊かれていて、
西川京子議員は「私は反対」と答えています。

本性を現わした感じですが、再選は無理と思われていたところへの、
当選だったから、うれしくなったのでしょうか?
それとも、推進派の野田聖子氏が、郵政民営化反対で、
自民党を除籍されていなくなったので、安心したのでしょうか?
政権が安倍に変わると、いよいよおさかんに反対するようになるし、
どうやらすっかり、もとの調子にもどってしまたようです。

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