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家族ばらばら法案 |
別姓結婚を、「三々九度の杯もない」と言ったり、 さらには、選択別姓法案を、「一夫一婦制を否定」とか言ったり、 「家族ばらばら法案」と言った、すさまじい政治家がいます。 自民党の森岡正宏議員です。 2003年7月18日の衆議院法務委員会で、こんな発言をしていました。 「苗字がいっしょでないと、家族の一体感がなくなる」という、 よくありがちな思い込みが発展したものです。 長くなりますが、森岡正宏議員の妄想ぶりを、 しめしていると思われるので、ここに引用しておきます。 http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/156/0004/15607180004033a.html http://fb-hint.hp.infoseek.co.jp/comment05.htm ======== 夫婦別姓は子供の教育上よろしくないというふうに私も思います。 最近、長崎で起こりました十二歳の少年による殺害事件、 週刊誌を読んでおりますと、加害者の両親は一度離婚し、 少年が母親の旧姓で呼ばれる姿も記憶されていると書かれておりました。 子供は姓を選ぶことができない、親の都合で子供は姓を与えられる。 内閣府の調査でも、六六%は、子供にとって好ましくない 影響があると思うと答えておられました。 二つ目は、夫婦別姓を認めると、届けをしない、三々九度の杯もない、 そういう事実婚がふえ、結婚が非常にルーズに なっていくことが心配されるわけでございます。 昨年、私はスウェーデンへ行きまして、こんなことを聞きました。 この国は、事実婚が半分以上、次から次へとパートナーがかわっていく。 嫡出子も非嫡出子も同じような権利を与えられているものですから、 子供が前のお母さんに会いに行く、そうすると、 既にそのお母さんは別のパートナーと一緒になっている、 お父さんもまた別のパートナーと一緒になっている。 親子の関係、夫婦の関係、家族というものはどこまでなのか、 非常に怪しくなってきているんだと。 日本人で向こうに長くお住まいになっている女性の方にお会いしました。 日本にいるときは時々、家族というものは煩わしいものだ というふうに思っておりましたが、スウェーデンを見ておりますと、 やはり日本がいいなというふうに思うようになりました、 こういう感想でございました。 私たちの先輩は、家名存続についても、 養子縁組の制度を活用して解決してまいりました。 家名存続は一代限りで、今提案のあります案におきましても、 理由にならないと思います。 また、婚姻前の通称使用も可能でございますし、 夫婦、親子の一体感を損なってまで別姓にしなければならないというのは、 一夫一婦制を否定し、家族の価値を認めない、 一部イデオロギー集団の意図に乗ってしまうことになると私は考えております。 ======== こうした考えは、そのあとも変わるはずもなかったのでした。 約2年後、2005年6月13日放送分の『News23』のときに、 「家族ばらばら法案」発言を、森岡氏はくり出しています。 つぎのエントリで、紹介されていますが、全体は以下のようです。 http://fb-hint.tea-nifty.com/blog/2005/06/_news23_8652.html http://fb-hint.tea-nifty.com/blog/2005/06/tbs_41b0.html ======== やっぱりこれは家族バラバラ法案ですよ。 子どもは「なぜ私はお父さんと一緒の姓だけど お母さんと一緒じゃないの?」とかなるでしょう。 家族の一体性とか、ご先祖に対する感謝の気持ちとかが だんだん希薄になってきますよ。 ======== |
森岡正宏議員の主張の、ばかばかしさについては、 わたしのサイトをご覧のかたでしたら、言を待たないでしょう。 少年犯罪と夫婦別姓が関係ないことについては、 拙サイト、「少年犯罪は本当に増えたか?」、 「子どもにこのましくない影響」という、内閣府の調査のことは、 「子どもがかわいそう?」をご覧になるとよいでしょう。 また、親の都合で子の苗字を変えたくないから、 とくに再婚のとき、非改姓結婚を望むことになります。 これについては、「子連れの再婚」に書いておきました。 森岡正宏氏も例によって、スウェーデンが気に入らないみたいです。 バックラッシュの影響を受けたのでしょうか? このあたりは、「スウェーデン・バッシング」をご覧ください。 家名の存続についても、1代かぎりだから解決にならないと、 これまた反対論者にありがちな、紋切り型の主張をしています。 これについては、「家名の継承」で、すこし書いています。 森岡氏は、夫婦別姓で離婚が増えるとも、信じているようです。 これが思い込みであることは、「反対派が読む統計データ」をご覧ください。 その前に、離婚が悪いという考え自体が、問題でもあるでしょう。 スウェーデンで見てきたことが、本当だというなら、 この人ははじめから、偏見で汚れた眼で見ていたと思われます。 さらに奇怪なのは、森岡正宏氏は、夫婦別姓を認めることと、 事実婚を認めることが、おなじだと思っていることです。 事実婚では、権利義務がふじゅうぶんなので、 非改姓結婚でも婚姻届けを出せることを、希望しているのですから、 森岡正宏氏は、法案の内容に対する、基礎的な認識も、 根底から間違っていることになります。 「三々九度の杯もない」にいたっては、別姓夫婦の結婚式を調査して、 そうしたデータがあることを、しめしているのではありません。 偏見と妄想ここに極まれり、としか言いようがないです。 通称使用でじゅうぶんだ、というのも、お定まりですね。 じゅうぶんでないどころが、実現がひどくむずかしいことは、 たとえば、2003年9月22日、29日、10月6日の 毎日新聞「カモミール」、『通称使用の問題点』をご覧ください。 http://www.bessei.org/CamoArchive.html 「一部イデオロギー集団の意図」というのは、家族破壊をたくらむ、 共産主義や、フェミニズムの陰謀のことでしょうか? 一部の政治的宗教団体や、「純潔思想」を信奉する人たちに支援された、 選択別姓反対派こそ、一部イデオロギー集団の意図に 乗っていると、わたしは思いますが。 それから、『News23』ですが、森岡正宏氏が出てくる前、 番組の前半で、お子さんのいる別姓の家族が、紹介されています。 森岡氏の信じているように、子どもは「なぜ私はお父さんと一緒の姓だけど お母さんと一緒じゃないの?」とは、なっていないのは、 番組を全部ご覧になったかたでしたら、あきらかなことです。 |
ついでですが、森岡正宏議員は、2005年5月26日の自民党代議士会で、 「A級戦犯は罪人でない」などと言って、物議をかもしていました。 全体のコメントは、つぎのようです。 東京裁判を「勝者の裁き」と信じているのでして、 ようするに、そういう政治信条の人だ、ということですね。 ======== 中国に気遣いして、A級戦犯がいかにも悪い存在だという処理をされている。 A級戦犯、BC級戦犯いずれも極東国際軍事裁判(東京裁判)で決められた。 平和、人道に対する罪など、勝手に占領軍がこしらえた一方的な裁判だ。 戦争は一つの政治形態で、国際法のルールにのっとったものだ。 国会では全会一致で、A級戦犯の遺族に年金をもらっていただいている。 国内では罪人ではない。 靖国神社にA級戦犯が祭られているのが悪いように言うのは、 後世に禍根を残す。 ======== |
参考文献、資料
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