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反対派の精神構造と思考構造
反対派がおとなしくなるとき

これをご覧のみなさんは、よくご存知と思いますが、
民法改正の反対派というのは、じつに頑迷きわまりなく、
どんな事実や根拠を見せられても、
自分の考えを改めないと決まっています。

そんな反対派でも、理解してくれないにしても、
表面的に反対できなくして、おとなしくさせることはできるし、
実際にそうなった例もあります。
今回はそのお話をしたいと思います。


ときは2002年のはじめの民主党です。
山谷えり子氏がとつぜん、公約違反のはずの、
民法改正反対の表明をしたのでした。
それに呼応して、それまでだまっていたらしい、
党内の反対派議員がふたたび勢い付き、
「慎重に考える会」なる議連を作ったのでした。

このあと反対派によって選択別姓・民法改正の
是非についての議論が、蒸し返されました。
すでに結論が出たことを、もう一度繰り返すだけで、
異例にして時間と労力の無駄と言えます。
賛成、反対の双方が、講師を招いて勉強会まで開く、
という事態にまで発展していきました。

もちろん、反対派とまともな議論が成り立つはずもなく、
数カ月も続けたのに、決着がつかすじまいでした。
最後は、鳩山代表(当時)が、トップダウンで
けりをつけて、従来どおり公約を守って
民法改正は賛成で、ようやく収拾がつきました。

その蒸し返しの議論の中で、鳩山由紀夫氏が、
「民主党は多くの人が言うからやるという政党ではない。
正しいことは初めはマイノリティであることが多いが、
正しいと信じたら実行していくのが民主党だ」と
なかなかかっこいいことをコメントして、
賛成の念押しをしたのが、印象的です。


2002年12月の代表選で、菅直人氏が選ばれると、
それに不満を持った議員が、民主党を離党して、
保守新党に移ることになります。
この中に、民法改正の造反の中心だった、
山谷えり子議員も入っていました。

彼女の保守新党入りは、民主党が民法改正に
賛成しているのが、不満だったのもあると言われています。
これで、党内の反対派の勢いが、
いくぶん弱まってくれたのではないかと思います。

かかる大騒ぎを引き起こした、民主党の民法改正反対派議員が、
このあとどうなったのかは、情報が入ってこなくなります。

2003年7月、自由党との合併で、西村真悟議員が、
民主党に入ってくると、これでまた強烈な反対派が来た、
せっかく山谷がいなくなったのに、入れ替わりに来たみたいだと、
さきが思いやられる気がしたものです。

ところが、2005年の11月に、弁護士法違反で逮捕され、
そのまま除籍処分となったのでした。
かくして、さいわいにして、民法改正に関しては、
面倒なことをとくになにも起こさないまま、
西村真悟氏は、民主党からいなくなってくれました。


つぎの反対派に関する情報は、2008年3月です。
例の「mネット」という民法改正の市民団体が
主催する院内集会があったのですが、このとき民主党には
「党内の意見の乱れは全くない」と述べられています。

「20080306[vol:170]【国会】民法改正の実現を求め院内集会を開催 3月5日」
http://www.ne.jp/asahi/m/net/send-f/keisai.html
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各党の決意表明で民主党副代表の前原誠司議員が
「民主党は14回法案を提出している。
一致結束してこの問題を早期に解決しようということで
頑張っており、党内の意見の乱れは全くない。

夫婦別姓は個人の自由の問題であり、
憲法で保障されている基本的人権の問題。
多数を占める参議院で可決させ、それをプレッシャーにして
衆議院でも可決させたい」と、今国会に取り組む姿勢を示しました。
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これを見ていると、内心ではどう思っているかはともかく、
表立って反対している議員は、もはやいないようです。
いつのまに反対派の勢力は、弱まったのでしょうか?


衆院の解散直前の2009年7月、民主党が民法改正を
政権公約からはずすという、うわさが流れました。
これは反対派のせいではないかと思った「mネット」が、
民主党の衆議院議員全員に、民法改正の是非について
緊急にアンケートを取ったのでした。

このとき、なんと「踏み絵をさせるのか」と、
どなりつけた議員もいたそうです。
この様子だと、民主党の民法改正反対派は、
いまだ健在ではあるようです。
しかし懐疑の眼を向けられて、かなりむかついた模様です。
「北海道新聞にて夫婦別姓記事」

政権交代後の2009年10月になって、
かなりくわしい反対派の状況を報じた記事が書かれます。
10月18日号の『サンデー毎日』です。

「夫婦別姓 造反確実 新たな火種」

重要な情報として、2002年に山谷えり子氏の造反声明に
呼応してできた、反対派の議連「慎重に考える会」が、
すでに消滅している、ということがあります。
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「会社でも女性の旧姓使用が認められているので、
あえて法律で規定する必要はない。
そもそも家族崩壊を招く問題を国が議論するまでもない。
『慎重に考える会』は消滅していますが、私は反対する。
反対の議員は多いはずです。
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上記のコメントは「慎重に考える会」を
立ち上げた、吉田公一によるものです。
吉田は反対の議員は多い、などと言っていますが、
実際にはそんなことはないでしょう。


具体的な反対派議員として、吉田公一のほかに、
中山義活、松原仁、末松義規が登場します。
吉田は上述のように、「反対している」と答えていますが、
ほかの3氏は、事務所に記者が取材に行っても、
「外遊中で連絡がつかない」(中山)
「今はどういう立場なのかを含めて答えられない」(松原)
「多忙につきお答えできない」(末松)と言われて、
見解を話してもらえなかったりします。

わたしが想像するに、民法改正はすでに党の公約で、
政権を取る際の規定路線だし、推進派相手に反論もできないので、
政権獲得が現実実を帯びるにつれて、
押さえ込まれていったのではないかと思います。


民主党の反対派議員たちは、これまでにも、
ことあるごとに、抗議メールをいっぱいもらっているでしょう。
実際、送っている、というかたもいらっしゃります。
あとで記事を見られると、どんな抗議をされるかわからないので、
民法改正の見解を言いたくなくて、
取材も拒否しているのかもしれないです。

そう考えると、民主党の反対派勢力を弱体化させ、
「慎重に考える会」を消滅させたのは、
有権者の力も、案外大きいのではないかなんて、
わたしは、ちょっと思ってもいます。

いずれにしても、外から強い圧力がかかれば、
頑迷極まりない反対派たちといえども、
おとなしくなることがあるみたいですね。


民主党の民法改正反対派というと、
政権公約にもかかわらず「造反」を引き起こし、
なにかと党内の不一致を作り出すと思われています。
そのため「だから民主党も信用できない」という
文脈で語られるのが通常です。

しかし、ここではあえて視点を変えて、
「転向させられないにしても、ほとんど無力化させた、
民主党と有権者たちはよくやった」
(そういう事例を作った)と、評価をしたいと思います。

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