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反対派の精神構造と思考構造
夫婦別姓は家族破壊の陰謀?

反対論者(ビリーバー)たちは、自分たちが信じている、
すばらしき「伝統」や「本能」を破壊する
主体があるとして「陰謀」を持ち出すことがあります。
陰謀論、陰謀史観は、それ自体が、典型的な疑似科学のひとつです。


陰謀の主体で、やり玉に上がるのはフェミニズムです。
反対論者が、「フェミは家族破壊をたくらんでいる」
などと言って、フェミニズムを目のカタキにするのですが、
「反対派の幻想」で、お話したように、
彼らが信じている「理想の家庭」が、
攻撃されている気がするからだと思います。

これはとりもなおさず、反対論者たちの
「理想の家庭」幻想が、女性の権利や自由の
犠牲の上に成り立っていることを、しめしているとも言えます。

反対論者たちは、フェミニズムを、
ろくにお勉強したことはないようです。
(彼らの知識は、「シモーヌ・ド・ボーボワール」のことを、
「シモン・デビューボ」などと、平気で書く程度。(笑))

さしずめ彼らは、フェミニズムに対する、
ステレオタイプなイメージと思い込みで、
ナイーブに決めてつけているだけではないかと思います。
自分のあたまの中の「フェミ」に噛み付いて、
論破したつもりでいるにすぎないのかもしれないです。


それから、反対論者に言わせると、
共産主義も「家族破壊をたくらんでいる」そうです。
ソビエト連邦成立初期に、レーニンが父称を廃止して
夫婦別姓とすると言っていたことが、引き合いに出されたりします。

このとき、レーニンの主張がすぐに失敗して終わったことや、
「現在では、欧米資本主義諸国のほどんどで
導入されているから、選択別姓は欧米の文化」
という珍説は、すっかり無視されるようです。

「東欧共産圏」が姿を消して、15年も経つのに、
「共産主義の脅威」を信じているのか?と、思うかたもいるでしょう。
しかし、たとえば、陰謀論者の急先鋒である、
八木秀次氏が、民主党の議員の勉強会に、
反対派議員ご推薦の講師として招かれるなど、
人気を博しているし、とても説得力があるようですよ。

共産主義陰謀論の中身に、変化はほとんど見られないです。
反対論者(ビリーバー)たちは、冷戦時代の初期から、
ずっとくりかえされてきた言説を、おなじ調子で続けています。
同じところをうろついて、いつまでも進歩、発展がないのも、
疑似科学の特徴にほかならないです。

このほかに、中国や韓国の陰謀というものがあります。
わたしもよくわからないですが、中国や韓国は
夫婦別姓がメインの国なので、そこからの連想かもしれないです。
日本で夫婦別姓を望んでいるのは、在日コリアンだと、
まじめに信じているかたもいるようです。

また、こうした陰謀を唱える人たちは、
中国、韓国を「反日的」と信じていて、
それゆえ日本に対して、なにかよからぬことを企んでいる、
そのひとつが夫婦別姓の導入による家族破壊だと、
考えるのかもしれないです。

中国、韓国の陰謀というのは、比較的最近のもので、
わたしの印象では、2009年8月の政権交代に
前後する時期から、目立つようになったと思います。

おそらく、民主党を「売国的」と信じていて、
民主党が政権を取ることに、不満を感じている、
「国士さま」が言い出したのかもしれないです。
「売国政党」である民主党の公約だから、
反日国家である中国、韓国の陰謀だと言いたいのでしょう。


このほかにも、自民党で選択別姓を推進する
議員のところには、「夫婦別姓=共産主義・フェミニズム」とか、
「自民党から出て共産党へ行け」と書いたファックスが、
大量に送りつけられることもあります。

大量のファックスを送るのは、このような
政治的立ち位置の人たちが、しばしば使う方法です。
組織ぐるみで行なっているのでしょう。
陰謀にとりつかれてヒステリーになっているのでしょうが、
威圧的とも言ってよく、送られたほうは、
事務に差し支えが出ることもあります。


さらには、「この委員会はサヨクに占められている」とか、
「あの自治体はフェミが圧力をかけている」とか、
「そっちには在日の利権が関与している」とか、
あちこちの権力機関や学術団体などが、
「サヨク」や「フェミ」や「ザイニチ」などに、
牛耳られている、などと言うことがあります。

これらは直接または間接の証拠が、しめされるのでもなく、
また対費用効果を考えただけで、荒唐無稽なことが多いので、
反対論者以外に信じる人は、ほとんどいないようです。


「陰謀論」には、自分たちのかかえている社会不満を、
なにかに転嫁して晴らす、自慰的な効果をもたらします。
また、「そうか、そうだったのか!」と、
一般の人たちが知らない事実を知って、
「意識が高くなった」気分になれたりもします。
反対論者(ビリーバー)たちの、選択別姓や、
男女共同参画に対する不満と、その自己正当化がうかがえます。

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