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選挙があるから「先送り」

反対派の議員や支持団体の中には、選挙が近いことを理由に、
民法改正の法案提出を、先送りにしようとするかたもいます。
2004年の自民党の法務部会では、7月に参院選を、
控えていたことを受けて、保坂三蔵という反対派議員が、
「参院選挙後に仕切り直しすべきだ」と言って、
議論を打ち切ろうとしたのでした。

これは、まともに議論すると反対できないので、
「先送り」にして、うやむやのうちに過ごそう、
ということに、ちがいないでしょう。
選択別姓のような、家族に関係したことはくだらない、
という考えもありますから、選挙のように
「ほかに大事なことがある」と言えば、
あとまわしの口実にしやすくなるのもあるのでしょう。

選択別姓法案の議論なんて、これまでに何度となく、
さまざまな理由をつけて先送りされています。
このときで、すでに13回、自民党内では議論されています。
いったい、いつになったら、「仕切り直し」しないで、
まともに議論がなされるのでしょうか?


ところで、「選挙のため」というのは、先送りの口実だけでなく、
支持基盤、支持団体のことを気にしたのもあると思われます。
「支持団体」というのは、組織票を入れてくれるのですが、
ほかに人手のかかる選挙活動を、支えるための人員も提供します。
彼らが活躍してくれないと、選挙活動もままならなくなります。
それでときおり「支持団体」は、強い発言力を持つことになります。

選択別姓や民法改正は、「支持団体」が賛成していないのでしょう。
そうした彼らの選挙協力を気にして、あまり積極的に、
選択別姓の推進をしたくないのだろうと思います。

この保坂三蔵氏、参議院の東京選挙区なのですが、
2001年のときは、約141万票を取って、だんとつのトップ当選でした。
ところが、2007年の参院選のときは、安倍政権が「消えた年金」を
おろそかにしたので、自民党への批判は日ごとに
強まっていき、かなり苦しい状況になっていました。

それでも、定数が5に増えたので、安倍首相(当時)は、
色気を出したのだと思いますが、アナウンサーだった、
丸川珠代氏を引き抜いて、ふたり目の候補者に立てました。
丸川氏は、「支持団体」の協力を、一部自分にまわしてほしいと、
保坂氏に申し出たのですが、自分のぶんでせいいっぱいで、
まわしている余裕はないとのことでした。

結局どうなったのかというと、自民現職の保坂三蔵氏と、
新人の丸川珠代氏とで、競り合い(!)になってしまいました。
知名度を生かした丸川氏が、滑り込みで5議席目で当選し、
保坂氏は落選して次点、約65万票と01年の半分も取れず、
堅かった「支持団体」の基盤は、崩れ去ったのでした。
(不謹慎ながら笑えるんだけど...)

いくら今度は危ないとはいえ、保坂三蔵氏が落選して、
丸川珠代氏が当選するケースだけは、だれも想定していなかったのでしょう。
丸川事務所は、自分の当選確実が出ても、すなおに喜べなかったようで、
複雑な気持ちになっていたようですよ。


ちなみに、2007年の参院選の結果は、つぎのとおりです。
丸川氏の当選確実が出たのは、5人目で最後でしたが、
最終的な得票は、川田龍平氏を追いこして4位になっています。
http://seiji.yahoo.co.jp/guide/election/sangiin2007/list/tokyo/index.html

2007年参議院総選挙、東京選挙区(法定得票数以下は省略)。
当選大河原雅子 民主1,087,743
当選山口那津男 公明794,936
当選鈴木 寛 民主780,662
当選丸川 珠代 自民691,367
当選川田 龍平 無所属683,629
 保坂 三蔵 自民651,484
 田村 智子 共産554,104
 杉浦ひとみ 社民209,053

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