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反対派の精神構造と思考構造
「みんないっしょ」の精神構造
反対派の同調圧力

くどいお話ですが、これから日本で導入を
しようとしているのは、別姓でも同姓でも好きなほうを
選べるようにしようという、「選択制」です。
したがって、この制度導入に反対する、ということは、
「他人さまであっても、夫婦別姓なんて許さない、
結婚したらみんな同姓でなければならないんだ」と、
言っていることを、意味することになります。

夫婦の苗字をどうするかなんて、まったく個人的なことで、
よそさまの知ったことではないはずです。
それなのに、反対派たちはなぜに執拗に、
自分と同じことを押し付けようとするのだと、
選択別姓の賛成派ならなおさらですが、
そうでないかたでも、いぶかしく思うことにもなります。

この「いっしょじゃなきゃだめ、みんなと違うものは
排除しよう」という精神構造は、日本人は元来
均一指向が強いからと、理解されることが多いです。
実際、日本人というのは、みんなと同じにしていると、
とりあえず落ち着く人も多いようですし、
他人と違う発想をするという、オリジナリティに
とぼしいというのも、すこし前までは、
(いまでも?)言われていたことでした。


ところで、夫婦同姓をふくめた家族に関しては、
もとから日本民族が持ち合わせていた
均一指向だけでなく、わりあい最近に作られた、
もっと大きな要素もあるのではと思います。
現在の家族観は、太平洋戦争後に定着したのですが、
じつは経済復興の必要から、国策で導入されたものでした。

これがほかでもない、夫婦と子どもふたりの
2世帯の家族で、夫が外で働き、妻は専業主婦と
役割分担をされた、「標準家族」と言われた家庭です。
子どもはたくさん作らず、ふたりにすると手がかからないし、
家の中も静かで望ましいと、根拠もないのに言われました。
実際に社内教育で、従業員にそれをすすめる
指導がなされたりして、定着していったのでした。

子どもをすくなくするよう指導したのは、
企業としては、従業員に子どもが多いと、
負担が増えるしくみだったこともあります。
こうして経済の発展のために、国民は「標準家庭」を作ることが
効率がよいとされ、「少産社会で会社に専念」という
「国家目標」が立てられることになったのでした。


国家目標ですから、「標準家族」が「理想の家族」として、
しあわせになれるよう導かれ、またそう考えらるようにもなります。
さらには、みんながいっせいに「国家目標」に向かうことが、
社会全体のしあわせにつながるとも考えられます。
高度経済成長期は、大平洋戦争の壊滅からの復興のために、
みんな必死でしたから、なおさらだったでしょう。
その普及の早さと徹底ぶりが、よくしめしていると思います。

そうなると、「理想の家族」に従わない人がいると、
国の発展のためにも、よろしくないとも思われることになります。
それで、社会の利益のためと思って、
みんながいっしょの家族構成でなければならないと、
各人のプライベートなことに対して、
同調圧力をかけようとする人も、出てくるのかもしれないです。

夫婦別姓は、高度経済成長期の「標準家族」にはないものです。
それで希望するかたに対して、みんないっしょの
夫婦同姓でなければイカンと、圧力をかける人が
出てくるのではと、わたしは考えてもいます。

参考文献、資料
  • 『<非婚>のすすめ』 森永卓郎著、講談社現代新書
    25-31ページに、企業主導による産児制限のことが書かれています。
    1955年に、労使協力研究会が編集した、『日本繁栄の道』に書かれた
    家族計画運動が発端で、国策によってまたたく間に、
    家族構成が「標準家族」に、規格化されていくことになります。

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