トップページ本館民法改正の基礎知識なぜ選択別姓が必要なのか?

結婚相手への従属感

大平洋戦争前までの日本では、結婚したら、
女性はかならず夫の苗字を、名乗らなくてはならなかったのでした。
これは、夫を家長とするイエ制度(儒教的な家制度と、
西洋からの家父長制の、組み合わさったもの)に、もとづいています。

これには、女性は結婚したら夫の家に入る、
つまり、妻は夫に従属する、という思想があったのでした。
結婚改姓にこうした、「嫁に入る」という感覚を思わせるので、
苗字を変えるのがいやだ、というかたもいることでしょう。

大平洋戦争後の日本では、イエ制度というものは、
なくなったことになっています。
結婚の際には、夫婦どちらの苗字を選ぶこともできます。
しかし実際には、98%近くのケースで男性の苗字が選ばれ、
50%近くにはなっていません。

またいまでも、婚家の親の中には、
息子の妻を「うちの嫁」扱いする人たちがいるようですが、
「嫁」が自分の家の苗字を名乗ることで、
そのような意識を強めることもあるようです。
こうしたことは、戦前のイエ制度の感覚が、いまでも社会通念として
まかり通っている一面もあるからだと言えるしょう。


イエ制度を抜きにしても、結婚にともなって
お相手の苗字を名乗ることで、従属させられた気持ちに
なるかたも、いることと思います。
たとえば、企業が合併したときの、会社名にも見られるように、
相手にも自分の名前を名乗らせるのは、
立場の強いほうが、弱いほうに対して行なうのが通常だからです。

なによりおたがいの信頼が大切とされる、結婚生活です。
パートナーの一方がもう一方に対して、
従属意識を感じてしまうとしたら、
それはひじょうに、好ましくないことだと思います。

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