トップページ本館民法改正の基礎知識なぜ選択別姓が必要なのか?

職業上の不利益

仕事上の不利益も、やはり仕事相手に、苗字+名前全体で、
自分を覚えてもらっていることからくるものです。

会社が小さいとか、部署を同じくして
しょっちゅう顔を突き合わせる同僚に範囲をかぎるならば、
少ない努力でなんとか覚えてもらえるかもしれないです。
(これだって、「そんな人いません」と言われて、
電話を取次いでもらえない、くらいのことはあるんだけど...)
しかし、すこし大きな会社(役所)になれば、
社員(所員)全員に、苗字が変わったことを知ってもらうのは、
ほとんど無理になります。

さらには、取り引きしている相手とか、
名刺交換くらいしかしたことのない、社外(所外)のかたもいます。
せっかく覚えてもらったのに、入ってくるはずのお仕事が
来なくなることもあるかもしれないです。
また、取り引きさきの相手にとっても、
せっかくのお得意さんがわからなくなって、
損をすることにもなるでしょう。


これを避けるには、わざわざ自分が結婚したことを、
仕事でつながっている人たち全員に、知らせてまわるよりないでしょう。
これはひどく非生産的だし、不可能なことでさえあります。

そこまでいかなくても、お仕事の相談をはじめるときに、
いきなり結婚のお話を切り出されて、
苗字が変わったことの釈明に時間をかけるのは、
効率の悪いことでしょう。
そもそも、お仕事でしかつきあいのない相手にとって、
結婚というプライベートには、興味のないこともあります。


職業によっては、資格の必要なものもあります。
免許に書かれた名前は、戸籍名ですし、
また会社や役所の書類も、戸籍名でかわされるのが日本では一般的です。
このとき、旧姓で書類を作ろうとすると、
受け付けられず、トラブルになることもあります。

さらに、社内(所内)の人事データベースでも、
名前が変わると、登録するときもそうですが、
検索を使うほうにとっても、不便になることがあるでしょう。
 
結婚改姓が、キャリアの不連続という、
職業上の支障をきたすことがあるのは、
本人だけでなく、周囲への影響もわりあいはっきり現われて、
わかりやすいからでしょうか?
反対派でも、そうした不利益があるという事実だけは、
目をそむけにくいらしく、認めていることが多いようです。


どんなお仕事をしていても、名前を変えるとそれなりに困るのですが、
それがいちだんと顕著なのは、研究職のかただと思います。

「研究者のための別姓」

研究者は、論文に書く自分の名前だけで、
世界中の同業のかたたちから、
なにをやっているのかを、おぼえられます。
もちろん、姿を見ることも、直接お話することもないでしょう。
(しかも世界のほとんどの国では、同姓強制は非常識で、
日本のきわめて特殊な事情など、知らないかたも多い。)

それゆえ、名前が変われば、
同一人物の論文だと示すのは、非常に難しくなります。
しかも、その論文によって、成果がきびしく評価され、
予算やポジションが取れるかが、決まってきます。
名前が変わることは、貴重な成果が消えてしまうも同然であり、
死活問題にもなりかねないでしょう。

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