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あまりに保身的な
ゆゆしき事態の悪循環

あまりに保身的な(4)

これまでずっと、菅政権のゆゆしき体質を見てきました。
これをわたしは、菅直人氏の個人的な資質によるとしています。
それは多分に保身的で、政敵や論敵から攻撃されると、
自分の考えを後退させて、相手(官僚、野党、
国粋主義者)の主張になびくわけです。

ここで菅政権は、支持率が下がるのは、官僚や野党、
国粋主義者への接近がたりないからだと考えます。
それで、国民一般の支持を得るために相手の考えに
ますますすり寄るという、悪循環に陥ることになります。

ところが、支持してきた人たちは「それしきで
引き下がるのか」と、あきれて支持から離れていきます。
つまり菅政権が国民の支持を得ようとして、
相手側になびくほど、支持が離れるのですが、
支持率が下がる本当の原因は、むしろこちらなのだと思います。

叩く側(官僚、野党、国粋主義者)の目的は、
菅政権をつぶすことにあります。
したがって妥協したとしても、それは一時的なもので、
すぐにべつの口実を見つけて、また叩くことになります。
しかも一度びびらせたので、「この方法はうまくいく」と
自信を持ってしまい、こちらも悪循環にはまるわけです。


2010年7月の参院選のときで、すでにマニフェストを
だいぶ書き直していましたが、かかる悪循環にはまった菅政権は
とにかくマニフェストに対して破壊的だったと思います。

民主党内部や、古くから民主党を支持してきたかたたちからも、
このていたらくには、とうぜん強い批判がありました。
たとえば鳩山由紀夫氏などは、もっとマニフェストの理念を
大切にするべきだと、くりかえし批判をしていました。

とくに参院選で敗北して、議席を減らしたことで、
国会のねじれがより深刻になったのでした。
これによって、野党の自民や公明の賛成を取り付けないと
法案が可決しないと思うようになり、
マニフェストの破壊的態度や、野党への不必要な譲歩を
強化したのだと思います。

野党や官僚への譲歩と、マニフェストを守ることとのあいだで、
政権が板挟みになった様子が現れたのが、
「政治主導なんてうかつ」発言ではないかと思いますよ。

「「政治主導なんてうかつなこと言った…」枝野氏」
「今さら反省? 「政治主導とうかつなこと言った」民主・枝野氏」

参院選で大敗したので、官僚に寄り添って、
これで支持が回復するかと思ったら、
「政治主導を推進していない」と批判されたわけです。
それでどちらがいいのか「ゆっくり考える時間がほしい」
ということなのではないかと思いますよ。


一度このゆゆしき事態から抜け出す、絶好の機会がありました。
それはもちろん、2010年9月の代表選です。
政治主導の推進を標榜する、小沢一郎氏が出馬を決めたからです。

小沢一郎氏は、自民党時代に幹事長を勤めたとき
ねじれ国会を経験しているので、対処はよく知っているでしょう。
またかねてから、マニフェストの理念を大切にすることを
説いていましたから、菅直人氏よりはずっと忠実に、
マニフェストを守ることが期待できます。

ところが菅氏は、すでに官僚機構へ屈したのが
はっきりしていたにもかかわらず、再選したのでした。
小沢氏につきまとう「政治とカネ」の不信感が
それだけ強かったのでしょうか? 
鳩山政権時代の党運営の不満が残っていたのでしょうか?

10月に入ると、検察が小沢氏の強制起訴を決めます。
これはもしかすると、小沢氏が首相になると思って、
あらかじめ準備していたことも考えられます。
そうだとしたら、官僚に屈した菅氏よりも、
官僚と対決する小沢氏を、民主党の議員やサポーターは
選ぶに違いないと、予想したのかもしれないです。

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