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「左派的理念」の普遍的価値化

孫引きで恐縮ですが、つぎのエントリに、
『ニュースウィーク』2009年10月12日号の
「Europe’s Right Turns Left(ヨーロッパ右派の左傾化)」
という記事が紹介されています。

「右が左に」

2009年10月の総選挙で、ドイツ連邦共和国では、
保守系政党のキリスト教民主党が、政権を取りました。
じつは、ドイツだけではなく、ヨーロッパの
ほとんどの主要国で、ここ数年のあいだに、
右派政党や中道右派政党が、政権を取っています。

その原因として、右派勢力がそれまで左派的とされてきたこと、
「福祉国家」や「市場万能主義の否定」、
「ジェンダー平等」や「マイノリティの保証」を、
みずから推進するようになったからとあります。


孫引きの部分に、"Conservative leaders are not 
just stealing from the left, they're also stealing ideas.
(保守派の指導者たちは、左派的政策を単にまねしたのではなく、
みずからの理念として取り込んだ。)"とあります。
保守派の左シフトは、単なる票取りのためでなく、
推進するべき理念と考えたからのようです。

これは、「左派的政策」は、左派的なイデオロギーではなく、
「普遍的価値」として、定着したとも考えることができます。
女性差別や民族差別が過去のものとなるべく、
また一歩踏み出したと言えるかもしれないです。

実際、現代社会は、「左派的政策」を推進しないと、
有権者の支持が得られないという指摘があります。
上記のような「左派的政策」を否定して、
政策に差をつけることは、もはやできないというわけです。

「憎悪を基盤に置く保守主義」


日本はどうかというと、公平性、公正性や
個人の自立と共生に基礎を置く民主党は、
さまざまな「左派的政策」をかかげていると言えるでしょう。
そして民主党には、従来の保守系の政治家が、
多数入りこんでいますから、これを保守勢力が
左シフトしたと見ることができます。

また、現在政権を取って、まがりなりにも実行に移しています。
有権者も「左派的政策」を標榜しない政党は、
支持しなくなっていると、考えることができます。

したがって、日本でも、上記の「左派的政策」は
「普遍的価値」になったと、言えるかもしれないです。
(ついでですが、民主党はみずからの立ち位置を、
「民主中道」と位置付けています。)

「民主党-政策>基本理念」
「民主党-政策>基本政策」

ところが民主党内には、「左派的政策」に
反対する議員が、すこしだけいます。
そしてなにより、凋落したとはいえ野党第1党の自民党が、
マイノリティ差別や、反ジェンダー平等に走っています。
よって「普遍性」の度合いは、ヨーロッパにくらべて
まだまだ弱いことになりそうです。

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