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過去と向き合うには勇気がいる。とくに加害者には

『Honesty』などの作者、ビリー・ジョエル氏について、
いつだったか、わたしはこんなお話を聞いたことがあります。
ビリー・ジョエル氏は、ユダヤ系なのですが、
2代前の、彼のおじいちゃんにあたる、ヨエル氏は、
ニュルンベルクで繊維業者を営んでいました。
当時はドイツでも、指折りの大企業だったそうです。
 
1933年、ヒトラー・ナチスが政権を握ると、ユダヤ人の排斥にかかります。
1938年に、ドイツ経済生活からの、ユダヤ人排除のための
政令が布かれると、ユダヤ人企業は自由に経営ができなくなりました。
ヨエル氏の企業も、ただ同然で買い取られ、
ネッカーマン氏が、ゆずり受けることになりました。
それからのち、ヨエル氏の家族たちは、故郷のドイツも
追われるようになり、アメリカ合衆国へと逃れることになります。
 
 
戦争が終わり、ヒトラー・ナチスは滅び去りました。
それからときは流れて、ネッカーマン氏の企業は、
ドイツ連邦共和国で一、二を争う通販会社に成長していました。
しかし初代のネッカーマン氏は、自分の会社が大きくなったのは、
もとはといえば、ヨエル氏から会社を、奪い取ったからだということに、
罪悪感も羞恥心もなかったのでした。
(ユダヤ資本をぶん取って、アーリア化するのはとうぜんとでも、
思っていたのでしょうか...?)
 
ネッカーマン氏の孫たちは、自分たちの、
こんなおじいちゃんのことを、ひどく心苦しく思いました。
ヨエル家の子孫の中で、いちばんの有名人がビリー・ジョエル氏なので、
ネッカーマン氏の一族は、ヨエル氏の一族の代表として、
彼のところに謝罪に行ったのでした。
そのときビリー・ジョエル氏は、こう言ったのだそうです。
「過去と向き合うには勇気がいる。とくに加害者には。
ネッカーマンたちの勇気には、感服するよ」

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