民法改正運動の展開
家裁認可制法案(5)

さらなる撤退



ほかの人の意見の批判ばっかりやっているけれど、
そういう、たんぽぽは、家裁認可制法案について、
どう考えているのだというかたも、いらっしゃるかと思います。
このあたりで、わたしの意見を、述べておくことにしましょう。

国会に提出する法案は、審議にかけられる可能性が
すこしでも高いなら、家裁案でもよいと思っています。
自民党政権下では、反対派議員が頑迷な抵抗をつづけて、
法案提出の段階で、徹底的に妨害しています。
とにかく、なんでもいいから提出することが、まずはだいじでしょう。

理由づけは、「家裁案は、あくまで将来的に、
完全な選択制に移行するまでの、中間段階である。
法体系的に矛盾があり、不公平が残るものの、一部の人たちでも、
別姓が認められるので、これを一定の成果として受け入れる。」で、
よいでしょう。(容認派と同じ理由になりますが。)


ここで、注意しておくことは、
家裁認可制案は、国会への提出案である、
つまりこれから、国会で審議にかけられるものであって、
この案が施行されるのではない、ということです。

わたしの公算ですが、家裁案は、国会で審議にかけられれば、
その不備を徹底的に追求されることと思います。
(さすがに国会の場では、公明党や、野党各党の意見を、
すっかり無視することは、できないでしょうから。)
ほぼまちがいなく、公平な選択制か、それに近いものとなり、
推進派、賛成派の多くが納得できるものが、可決すると思います。

というわけなので、提出する法案については、
家裁案のような不公平なものであっても、
わたしは、ほとんど気にしていないのでした。


家裁案をめぐる議論は、これまで見てきたように、
容認のものも、反対のものも、ほとんどすべてが、
この案で可決されて施行されることを、前提としています。
わたしに言わせれば、この前提がそもそもおかしいと思います。

どうしても気になることでしょうし、議論するなとは言わないですが、
家裁認可のことは、ほどほどにして深入りしすぎないほうが、
時間と労力を無駄にしないですむと思いますよ。
(と言いつつ、わたしも、家裁案のことだけで、
5つもサブセクションを、使っていたりするんだけど...)


わたしがいちばん心配しているのは、家裁認可制案で、
はたして本当に国会へ提出できるか、ということです。
ようするに、反対派は、ここまで譲歩しても、
やはりがんとして認めないのではないかと、考えられるからです。

家裁案なら国会へ提出できるにちがいないという、
インターネットの市民団体の確信は、問題だと思います。
法案提出への過度の期待は、メンバーを疲弊させ、
活動を衰退させるもとに、なりかねないでしょう。
また、彼女たちが、無視できない数の、家裁案反対派を
押さえ付けることは、推進派側の分裂を即すことにもなるでしょう。


家裁案を提案したのは、ほかでもない反対派だと、
あなたは、言うかもしれないです。
ほかにも、家裁案で妥協しようかという
反対派議員もいくらかいるとも言われています。
それになにより、「おれの眼の黒いうちは絶対に許さん」と
息巻いていた、山中議員が、「例外的に実現させる会」の
最高顧問になったではないか、とも、おっしゃるでしょうか?

しかし、このように、まがりなりにも妥協せんかな、
となった反対派は、全体のごく一部にすぎず、
のこりの大多数の反対派は、依然として反対のままです。
このペースで続ければ、反対派の抵抗を抑えて、
民法改正法案が国会に提出できるようになるには、
何十年もさきのお話になるでしょう。

あるいは、上でお話したような、わたしの「公算」と、
反対派議員たちも、おなじことを考えているかもしれないです。
そうなれば、いつものように、なんとしてでも、
法務部会でにぎりつぶして、国会提出の阻止をはかるでしょう。


家裁認可制案が出たとき、わたしが思ったのは、
容認とか反対以前に、「さらなる撤退」でした。
婚外子差別の切り捨て、例外制に続いて、家裁案が出てきて、
やはりというか、頑迷きわまりない反対派を、
どうすることもできなくて、どんどん後退しているなと、思ったのでした。

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