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民法改正運動の展開 - 2002年前半(1) 反対派の抵抗 反対派たちの集団ヒステリー |
大量FAX攻撃
2002年の前半は、いつになく、推進派たちの活動が さかんだったためと思われますが、 反対派たちも、対抗のために、活動がさかんになってきました。 この年は、ついに選択別姓法案が可決するのではないかと、 本気であせっていた反対派もいたというお話です。 わたしは、自民党の法務部会の実態を知って、 法案可決の可能性は無理だと、はっきりさとったのですが、 反対勢力にとっては、自民党推進派を中心とする一連の動きに、 かなりの焦燥感を受けたようです。 それで、反対派たちも、妨害する必要を強く感じたようで、 これまた、活発に動きだしたのでした。 民法改正の反対派たちが、議員たちに 意志を伝える手段は、FAXが中心となっています。 (推進派、賛成派は、メールが中心です。 この手段のちがいは、反対と賛成とで、 かなりくっきりとわかれるもののようです。) 毎年法務部会で、民法改正法案の議論がなされると、 自民党の推進派議員のところに、FAXが送りつけられてくるのです。 http://www.sasaki-law.com/memberof/concern5.htm臨時国会での審議開始後、これまでは激励メールだけだったのが その量をはるかに超えて(大部分は組織的活動と思える) 反対ファックスが私の所にも毎日それこそ山のように送られてきました。 反対意見の多くは、議員のそれと同様、残念ながらかなり感情的です。 理由は大体以下に要約できるようです。 少年非行の増加、学級崩壊などの中、家庭が崩壊する危険性。 子どもが可哀相。日本の伝統文化を守れ。 あるいは夫婦別姓=フェミニズム・共産党。即刻自民党を辞めて 共産党に行け、という過激な(!)ものもありました。こうした、おびただしい数のFAX攻撃は、 おそらくは、神道政治連盟をはじめとする、 宗教右派系の団体が、組織ぐるみで行なっているのだろうと思います。 内容も、家族崩壊、国家解体という、彼らが信念をつらぬいている、 フェミニズム&共産主義陰謀論を並べ立て、 しかも、「自民党から出て行け」とまで、吐き散らしています。 内容、手口の両方とも、推進派議員や別姓夫婦に対して、 侮辱のかぎりをつくしていると言えます。 ここまでくると、集団ヒステリーと言ってもよいでしょう。 わたしは、この実態を知ったとき (ずいぶんむかしのお話ですが)、「幸福の科学」による、 講談社への大量FAX攻撃のことを、思い出しましたよ。 民法改正の反対派も、本当に狂信的な宗教団体が含まれますし、 相通じるところがあっても、ふしぎはないとも言えるでしょうが。 |
署名の数を偽称する反対派たち反対派たちは、いつもどおりの猛烈なFAX攻撃だけでは、 ふじゅうぶんと感じたのでしょうか、法案成立の阻止のために、 もっと直接的な効力のある、アクションにも出ました。 「日本女性の会」という婦人団体(会長は元参議院議員の安西愛子氏)が、 02年4月17日に「夫婦別姓に反対する国民の集い」 という集会を開いたのでした。 このとき、それまでに集めた、民法改正反対の署名を根拠として、 民法改正反対の議員をサポートしようというのですが、 なんでも、180万以上もの反対の署名を集めた、 というニュースが流れたのでした。 集会には、メンバー約1000人が参加し、 自民党を中心とする国会議員も、25人が駆けつけたとのことでした。 この集会と、180万の署名のことは、新聞をはじめ、 いくつかのメディアでも、取り上げられています。 ところで、180万の署名となれば、100人にひとり以上の人が 署名していることになります。 集め始めたのは前年(01年)の暮れからだというし、 そのくらいの規模なら、いやおうなしにうわさも入ってきそうです。 しかしそんなお話を、わたしは聞いたことがないのです。 どこかようすがおかしいものは、最初からあったのですが... じつはこの署名、本当の数は54000程度にすぎなかったのです。 http://www.shugiin.go.jp/itdb_seigan.nsf/html/seigan/1541900.htm 180万というのは、おそらくは反対している人が たくさんいると思わせたくて、反対派が流したデマだったのでしょう。 集会のほうは、実際にありましたが。 この偽称には、実は自分たちのほうが、非常識な少数派であるという、 別姓反対派のあせりもあったのだろうか? それにしても、2けたもさばを読むなんて... それこそ非常識じゃないのか? (もしかすると、「組織票」を加えたのかもしれないです。 神社や宗教右派系団体が、組織ぐるみでやっているでしょうから、 たとえば、神社関係者で、実際には署名していない人を、 署名したことにして、カウントしたことも、考えられなくもないです。) 虚構の署名数を使った活動が、 どのくらい功を奏していたのか、わたしにはわからないです。 (すくなくとも、国会に対してはうそは言えないでしょう。 しかし、国会の外の一般の場所では、この署名の数を使って、 示威行為をしていた、というお話を聞いています。) はっきり言えるのは、別姓反対派の中には、 選択別姓実現をひねりつぶすためなら、 「でっちあげ」も辞さない人たちがいる、ということです。 |
選択別姓法案、政府提出を断念推進派のあいだで、盛り上がりがあったものの、 2002年の通常国会は、結局、民法改正、あるいは選択別姓の 国会への法案提出は、断念になってしまいました。 自民党法務部会で、反対派議員たちが、聞く耳を持たない ヒステリックな反対をしたのですから、 つぶれてしまって、当然と言えるでしょう。 反対派たちの大量FAX攻撃や、数を偽称した署名が、 どのくらい効果があったのかは、わからないですが。 6月5日の法務委員会で、法案提出が断念になったことについて、 水島議員からの質議があります。 森山氏をはじめ、自民党の推進議員たちも、かなり長いこと、 選択別姓法案の提出に、尽力してきたのですが、 頑迷きわまりない反対派を、どうすることもできなかった、という回答でした。 http://www.mizu.cx/sitsumon/homu/homu020605.html こうして、ひとまず、自民党の推進派のあいだでは、 政府提出は、ほぼ断念することになります。 そして、以後は、議員立法による発議を 模索するようになっていきます。 これをご覧になっている、あなたは、 このような状況のまま、いつまでも膠着しているのなら、 反対派はやはり説得できない、という意見が、 推進派のあいだで顕在化しないのかと、思うかもしれないです。 じつは、反対派の説得可能性を、疑問視する意見も、 ないこともなく、水島議員はつぎのようなことを、質議しています。大臣の率直な御感想として、反対議員という方は 説得可能だと思われますでしょうか。そもそも説得が可能なのか、 あるいは、そのような議員が国会からいなくならない限り この法案というのは成立しないんだろうか。また、森山氏も、以下のように、反対派の頑迷な態度が、 はじめのころから変化がないことを認めています。今、民事局長から御説明申し上げたような議論で 反対していらっしゃる方は、もう最初からそうなんですね。 それで、この話が表に出てきてから、平成八年の法制審議会の 答申から考えますと六年近くたっているわけでございますが、 その間にそのような議論をずうっと続けてきまして、 どうしても、どんなやり方でも絶対反対と おっしゃる方がまだかなりの数残っておられまして、 説得というのは大変難しいのではないかというふうに思っております。 |
反対派の対策大量TAX攻撃に代表される、集団ヒステリーとでも言うべき、 反対派の活動実態を見て、あなたは、いかが思われたでしょうか? 「これでは、当の議員からも、相当印象を悪くするだろう。 反対派たちは、こんな異様なやりかたでしか、 意思表示できないくらい、追い詰められているようだ。 それなら、民法改正は、時間の問題にちがいない。」のように、 お考えでしたら、楽観的すぎるのではないかと、わたしは思います。 相手は、おそらくは、神道政治連盟をはじめとする、 宗教右派系団体であり、自民党議員の選挙活動を支え、 組織票を投じてくれる、貴重な支持基盤です。 むしろ、「おまえが当選できるのは、われわれのおかげだ!」 という態度のほうに、近いのではないかと思います。 彼らが支持を裏切られることは、そう簡単にはないでしょう。 実際、反対派たちは、1996年ごろから、 このような、恥も外聞もない活動を続けているし、 それでいて、彼らの望み通り、民法改正は実現せずじまいです。 このようなとき、わたしが考える好ましい戦術は、 かかる宗教右派系団体に、もっと批判を向けることだと思います。 またこうした、彼らの異常な実態を、できるかぎり 多くのかたたちに、知ってもらうことだと思います。 一般の人たちが、こうした宗教右派系団体に対して 批判を向けるようにして、彼ら反対派たちを 社会の中で孤立させることになれば、強大な影響力を持った彼らも、 反対を続ける自信を、なくすかもしれないです。 反対派の団体が、平然と狂態をさらけだして、悪びれないのは、 考えようによっては、カウンターを入れる、格好の隙でもあります。 ましてや、「宗教」というだけで、うさんくささを 感じる人がたくさんいる(マルクスもうらやむ?)日本の社会です。 彼らに、批判の集中砲火をあびせるための 「インフラ」は、じゅうぶん整っているのだと思います。 議員の態度が、直接変わらないなら、 支持基盤からくずしていくのが、よいだろうと思います。 |
参考文献、資料
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