トップページ本館民法改正運動の展開

民法改正運動の展開 - 2009年
衆院でも女性議員過去最多

女性当選者過去最多

2009年の衆院選も、女性当選者が過去最高となりました。
これは2007年の参院選に続いて、連続なのですが、
なぜかほとんど話題にならないのでした。
8月31日の朝日新聞日経新聞の記事なんて、
世襲の話題といっしょになっていますよ。

当選者全員のリストは、「mネット」のページにあります。
女性の当選者は54人で、全体の11.25%です。
今回はじめて10%を超えたのですが、
新記録とはいえ、やっとという感じです。

 

これはとりもなおさず、いままでが、
あまりに少なすぎた、ということですね。
郵政選挙のときは、女性当選者は43人で8.96%でした。
コイズミが「刺客」と称して立てた候補者に、
女性がたくさんいたので、多かった印象があるし、
このときも記録更新だったのですが、
それでも10%には達しなかったのでした。


政党別で、女性当選者がいちばん多いのは、民主党で40人です。
全体の当選者は308人ですから、女性の比率は12.99%になります。
民主党の目標値は、じつは30%なので、
まだまだおよばないのではありますが。

自民と公明の大物相手に、女性の候補者をぶつけて、
つぎつぎと当選したのが、大きかったです。
また、小選挙区で大量に当選したので、
単純比例で下位の候補者まで当選したのですが、
その中に女性が結構いたのもありました。

これまでの推移を見ると、今回の総選挙で、
人数、比率ともに、急激に増えていることがわかります。
前回の郵政選挙のときは、大幅に落ち込んでいたのでした。
全体の落選者が増えると、女性当選者の割合は、
それ以上に減り、たくさん当選すると、それ以上に
女性の数が増える傾向にあるようです。



下院(衆議院)で女性の割合が11.35%というのは、
国際的にはとてもすくない、というのは、
これをご覧のかたでしたら、言わずもがなと思います。
世界全体の平均は18.8%なので、はるか及ばないです。

列国議会同盟(Inter-Parliamentary Union)が、
世界各国の女性議員の割合を調べています。
その抜粋を下に表として載せておきます「Women in National Paeliament」

09年の衆院選前は、日本は134位だったので、
これでもだいぶ改善されたのですが、
それでも97位という、低い水準になっています。

アフリカのルワンダが1位になっています。
これは、大虐殺による動乱のあとの復興過程で、
国連の指導で「女性議員を全体の30%以上とする」という
クオータ制を憲法で規定したことによります。
「国際シンポジウム「世界は進む、日本は進まず」」
女性議員:ルワンダ56%で世界1位、日本11%で97位」


ところで、女性議員の割合のお話をすると、
こんなことを言うかたもいらっしゃるのかな?
「09年総選挙を終えて--“女性”の代表とジェンダー」
========
私は女性の当選者の数が増えたと聞くと、
まず単純に「うれしい」「良かった」と思ってしまう。
そのような心情を知人にもらすと、
きまって「たとえ○○のような人でも当選して嬉しい?」
(○○には、サッチャー元英首相や保守派、
タカ派と言われる女性政治家が入る)と訊かれる。
========

タカ派や保守派の女性が当選するくらいなら、
ハト派やリベラルな女性は、もっと当選しやすい環境に
なっているでしょう、とでもお答えしておきましょうか。

国際的には低水準と言っても、日本でも女性議員の割合が、
じわじわと増えはじめているのもたしかです。
まがりなりにも、女性議員が受け入れられる
傾向にあるのは、どうした背景によるものなのか、
その考察は、つぎの記事に書かれています。
わたしから、とくに言うことはないだろうと思います。
「09年総選挙を終えて--“女性”の代表とジェンダー」

簡単に言うと、55年体制時代の会社本位主義と、
それを支える「男性稼ぎ主型」の家族構成が、
「古い政治」であり、従来置き去りにされた
都市部の生活者の政治や、ジェンダー平等のシステムが
「新しい政治」ということになります。

コイズミカイカクも、「古い政治」と対峙する
新しいものだったので、郵政選挙でいったん
受け入れられたのだろうと思います。
ところが、これは新自由主義的政策が中心だったので、
やがて破綻していったのでした。

2009年の選挙では、コイズミカイカクでも、
「古い政治」でもない、「新しい政治」が求められたのでしょう。
そして、自民党の大物政治家は「古い政治」、
民主党の女性候補者は、「新しい政治」の体現者として、
有権者からは見られ、支持されたことになります。


その意味で象徴的だったのは、石川2区だと思います。
自民の候補は首相経験者の森嘉朗氏、
民主の候補は、新人の田中美絵子氏です。
8月の後半に入って、森陣営は、猛烈な逆風が吹き付けて、
落選の危険があると見たのでしょう。
あわてて「組織の締め付け」に入ったようです。

森陣営はベテランを強調するのですが、後援会組織にいたっては、
「派遣で国会議員の資質が備わるのか」などと、
田中美絵子氏の経歴をあげつらったりもしました。
(わたしも、派遣経験があるので、かちんと来た。)
これはいわば、「古い政治」の正当性と、
「新しい政治」の否定でもあると言えます。

結果は森嘉朗氏が当選、田中美絵子氏が比例復活でしたが、
惜敗率が96.4%ですから、森はかろうじての当選と言えます。
「組織の締め付け」をはじめるのが、
もうすこし遅かったら、落選していたと思いますよ。
選挙直後は、マスコミでは田中氏のほうが、
注目されていたことで、一矢報いたでしょうか?


もうひとつ特筆することは、公明党の小選挙区での全滅です。
とくに太田代表と北側幹事長が、ともに落選したことが衝撃的でした。
ふたりとも、比例区との重複立候補はせず、
背水の陣で臨んだので、そのまま議席をなくしています。

その太田代表の東京12区から出馬した、
民主党の対立候補は、青木愛氏です。
参議院議員だったのですが、小沢一郎氏から抜擢され、
衆院選に鞍替えとなるという大胆さです。

「青木さんはこれからこの選挙区内のすべての町目を回る」と
小沢代表代行がコメントしていますが、
おそらくは、小沢氏が伝授する、選挙区をくまなく歩きまわって
支持を堅める選挙を、地道に実行したのでしょう。
その結果、約1000票の差を付けて、太田氏を破って当選でした。

世界各国の女性議員の割合
「Women in National Paeliament」の中から、 1位から5位までの国と、「男女共同参画社会の実現を目指して」「2 政策・方針決定過程への女性の参画をめぐる状況」の 表に出てくる国を選んで入れてあります。  
順位国名下院または1院上院
選挙年月全体女性女性の割合選挙年月全体女性女性の割合
1ルワンダ2008.9804556.3% 2003.1026934.6%
2スウェーデン2006.934916447.0%
3南アフリカ2009.440017844.5% 2009.4541629.6%
4キューバ2008.161426543.2%
5アイスランド2009.4632742.9%
7フィンランド2007.32008341.5%
18ドイツ2009.962220432.8% N.A.691521.7%
47カナダ2008.103086822.1% N.A.933234.4%
51中国2008.3298763721.3%
51イタリア2008.463013421.3% 2008.43225818.0%
58イギリス2005.564612619.5% N.A.74614719.7%
64フランス2007.657710518.2% 2008.93437521.9%
70アメリカ2008.114357316.8% 2008.11981515.3%
85韓国2008.42994113.7%
97日本2009.84805411.3% 2007.72424418.2%

参考文献、資料

「民法改正運動の展開」にもどる
「本館」にもどる
トップにもどる


inserted by FC2 system