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民法改正運動の展開 - 2007年
共産党哀歌(2)

共産党の支持者やシンパたちの、攻撃性や排他性は、
「自分たちこそ正義」という自負が強いからだと思います。
わたしのこのページを見ても、自分たちが、
いかに正しいことを言っているかを、主張するだけでしょう。
そうした、セントリズム(中心主義)が、嫌がられているのですが、
それにはたぶん、思いいたらないだろうと思います。

こういう認識のかたは、異なる意見に出会えば、
相手がまちがっていると、考えることになります。
そして、自分たちの主張が通るのが正義、という意識ですから、
まちがった考えは排撃するのが、世の中のためと思って、
意見の異なる人たちへの攻撃に、遠慮がなくなるのでしょう。

さらに、こうしたメンタリティのかたたちは、
自分たち以外に対する不信感も、強くなってきます。
共産党支持者たちがよく口にする、「マスコミは信用できない」や、
「民主党は信用できない」も、この現われなのでしょう。
それゆえ本来なら、信頼してよい人にまで背を向けて、
限られた少数の人たちとしか、まとまれないのだろうと思います。


意見がぶつかったとき、譲歩するのは、いつも相手と考えますから、
ときおり非妥協的となり、他者との協力や共闘が苦手になります。
もともと身内や、立ち位置の近い人たちであっても、
細かい意見の違いが、受け入れられないことも多くなります。

それで、たがいに相手を排除する、つまり分裂を起こすことになります。
「左翼の内ゲバ」と言いますが、一般の組織や思想集団と比べて、
いわゆる「左派勢力」に、内輪もめや分裂がありがちなのは、
たぶん、こういうことだろうと思います。

このころ、「9条ネット」という、新しい政党ができたのでした。
もともとは護憲勢力の統一会派を、作りたかったようですが、
とくに共産党の、非協力的態度のため頓挫してしまったのです。
それでも、なにもしないよりましと思って、独自の政党を作ったのでした。
これを見て、「また分裂しているー」と思ったかたも、
いらっしゃるだろうと思います。


また、中心主義が強いかたは、まわりが見えなくなりがちです。
自意識過剰になって、自分自身を客観視できなくなるわけです。
このエントリコメント欄に、「コミュニスト」と名乗る、
共産党の支持者が、現われたのですが、護憲運動は、
「実に多様に展開されて」いるなんて(2007.03.03 13:50)、
広範の支持があるようなことを、まじめに言っていました。

わたしは、このコメントを見て、あっけに取られましたよ。
護憲運動なんて、どう見ても泡沫化が進んで、分裂をきわめています。
喧伝のために、わざと誇大に言うのかとも思ったのですが、
そうではなく、本当に状況が見えないのかもしれないです。

「自分たちこそ正義」という意識が強い人は、
具合の悪いことを、「他人のせい」や「環境のせい」にして、
自分自身の中にある原因を、探らなくなる傾向が強くなります。

共産党の支持者たちやシンパたちが、よく持ち出すこととして、
自分たちが凋落するのは、現在の衆議院の選挙が、
小選挙区制度だからだ、というものがあります。

政党の数=選挙区の定数+1になりやすいという、
「デュヴェルジェの法則」というものがあるのですが、
小選挙区は定数が1ですから、2大政党制を作りやすく、
小さな政党には理不尽だと言いたいわけです。


実際には、はじめて小選挙区が導入された、
1996年の衆院選では、共産党は議席を増やしていました。
また、2000年の衆院選では、社民党が議席を増やしていて、
自由、社民、共産の3党合わせて60議席以上ありました。
このときはまだ、野党の票は分散していて、
2大政党化が進んだとは、言えない状況でした。

さらに、近年の共産党は、小選挙区の比率の低い、
参議院や地方議会でも、議席数を減らしています。
これもじゅうぶんに説明できなくなります。

共産党(社民党もですが)が、凋落傾向にあるのは、
選挙制度は原因のひとつではあるのかもしれないです。
より本質的な原因は、選挙制度と関係ない、べつのことだと思います。
全部の定数が比例区になれば、議席が10から20に増えるくらいは、
あるのかもしれないですが、目先の寿命がのびるだけで、
慢性的な凋落傾向が、解消することはないでしょう。


現在の衆議院総選挙は、選挙区と比例区の両方に、
重複立候補ができるようになっています。
比例で取った議席を、選挙区で惜敗率の高い候補者の
復活当選に使えるので、完全な「勝者皆取り」ではなく、
デュヴェルジェの法則が、単純にあてはまる
選挙システムではなくなっています。(注1)

2大政党が促進されるのは、選挙制度によって、
第3党以下が淘汰されるだけではなく、有権者から積極的に、
それを望んでいる一面もあるのだと思われます。

2007年7月29日の参議院総選挙では、共産党は大敗でした。
比例区は4から3議席、選挙区は東京選挙区の議席をなくしてゼロ、
両方あわせて、5議席から3議席になるという、2議席減でした。
減少率は40%で、自民党とほぼおなじくらいです。

この選挙結果を伝える、07年7月30日の
『しんぶん赤旗』の記事は、じつにみすぼらしいです。
http://www.jcp.or.jp/giin/senkyo/2007_sanin/2007sanin_kekka.html
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二十九日に投・開票がおこなわれた参議院議員選挙で、
日本共産党は、比例代表選挙で三議席を獲得しました。
これは、一議席減の結果ですが、得票数では、
前回および前々回の得票を上回る四四〇万票(7・48%)
という地歩を維持することができました。
選挙区選挙では、議席を獲得することはできませんでしたが、
東京、大阪、京都などで得票を増やしました。
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比例区ですが、01年からの過去3回の選挙を見ると、
ほぼ得票数は一定と見てよいでしょう。
全体の得票率の高低で、3議席になったり、4議席になったりするのですが、
「地歩を維持」できたと言っても、21世紀に入ってからは、
コアな支持者だけしか投票せず、新たな支持者や投票者は
獲得できなくなっていることをしめしています。

1998200120042007
得票数(万票)820431436440
ところが、こちらによると、比例区でコアな支持者から 25万票が流れ出たことが指摘されています。 http://kinpy.livedoor.biz/archives/51030394.html http://www.geocities.jp/sazanami_tsushin/dc01/situation2/s07085.html そうだとすると、選挙期間中に手ごたえがあったのは事実で、 無党派からの投票は得られたけれど、コアな支持者から見放されて、 たまたま増減がつり合ったことになります。 見放したコアな支持者は、今後はもう共産党に 投票しない可能性がありますから、つぎの選挙は とくに追い風のないかぎり、さらに得票が減ることが考えられます。 より深刻なのは、選挙区でしょう。 約半世紀のあいだ、どんな逆風のときも議席を維持してきた、 東京選挙区の議席がなくなったからです。 しかも、こんどの選挙は、定数が4から5に増えています。 政権与党に、はげしく逆風が吹いているのに、 共産党の候補者は7位で、次点にも入らなかったのでした。 http://www.geocities.jp/sazanami_tsushin/dc01/situation2/s07081.html
当選大河原雅子 民主1,087,743
当選山口那津男 公明794,936
当選鈴木 寛 民主780,662
当選丸川 珠代 自民691,367
当選川田 龍平 無所属683,629
 保坂 三蔵 自民651,484
 田村 智子 共産554,104
 杉浦ひとみ 社民209,053
党勢の後退は、もはや歴然としたものと言えます。 ところが、共産党は「解党的出直し」をするのでもなく、 選挙結果の分析も、ほとんど自己保身に徹するものです。 ご紹介の記事のように、選挙区で民主党に投票した支持者の声を、 比例区の得票減の原因であるかのように見せかけるといった、 トリックまで使って、敗因と向き合おうとはしないのでした。

共産党やその支持者たちの問題点については、
すでにたくさんのウェブサイトや、書籍が出ています。
わたしの知識は、しょせん通り一遍ですので、
ここで取り上げなかった「民主集中性」など、さらにいろいろなことを
知りたいかたは、これらをご覧になるといいでしょう。
熟読すれば、わたしより、はるかにくわしくなれますよ。 書籍では、つぎのものが評判がいいです。
(わたしは読んだことがないですが、うわさだけで紹介。)

(注1)
1996年の衆議院総選挙では、(旧)民主党は、
選挙区と比例区の両方に、重複立候補という方法を採ったのですが、
これによって、当選1回の候補者をかなりの数、
比例復活で救いあげて、再選させることができています。
議席は伸びなかったけれど、改選前の52議席と同数が取れて、
自民・新進の二大政党のはざまに、埋もれずにすんでいます。

参考文献、資料
  • 「デュヴェルジェの法則」
    選挙区の定数がMのとき、候補者の数はM+1になりやすいという経験法則。
    このとき各政党が、ひとりしか候補を立てないとすると、
    政党の数はM+1になります。
    小選挙区は、すべて定数が1(M=1)ですから、二大政党制(M+1=2)を
    作りやすくなり、第3党以下の政党が淘汰されるようになります。

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