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民法改正運動の展開 - 2005年
News23〜夫婦別姓法案の行方(2)

『News23』の特集「夫婦別姓法案の行方」には、
「夫婦別姓法案はなぜ通らない」という、サブタイトルがついています。
その「なぜ」にお答えするべく、反対派が登場します。
この特集では、法案に反対する国会議員に
焦点を当てていることが、大きな特徴だと言えるでしょう。

はじめに、あの西村真悟議員が写し出されます。
「この法案を阻止するために、日本人の良識をかけて
闘わせていただきます」発言が紹介されます。
それから、元祖家裁認可制の、西川京子議員です。
「何度も何度も、この選択的夫婦別姓制度の話をくり返すよりも、
もう絶対日本人は同姓でいくんだよと」発言が出て来ます。

つくづく思うのですが、これらの議員たちは、
選択別姓に対して、「聖戦」でも挑むのかという雰囲気ですね。
これらはおそらく、むかし撮った録画だろうと思います。
2002年4月17日に開かれた、日本女性の会の主催した、
「夫婦別姓に反対する国民の集い」のときと思われます。(参考)

01年から02年にかけては、自民党内でも、
民法改正を実現しよう、という動きが高まっていました。
それで、反対派たちは、いよいよ「本丸」が危ないと思ったのでしょう。
それで、前年の01年から署名を集めたりと、
反対派たちの活動も、かなり活発になっていたのでした。


この特集のために、新しく取材をされたのは、自民党の森岡正宏議員です。
このかた、「家族ばらばら法案」発言を、繰り広げてくれます。
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やっぱりこれは家族バラバラ法案ですよ。
子どもは「なぜ私はお父さんと一緒の姓だけど
お母さんと一緒じゃないの?」とかなるでしょう。
家族の一体性とか、ご先祖に対する感謝の気持ちとかが
だんだん希薄になってきますよ。
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番組の前半で、実際に別姓の家族が出てきます。
これらの人たちは、苗字で苦労していることをのぞけば、
なんの変哲もない、どこにでもいるような家族です。
夫婦で苗字が違っていても、お子さんは疑問に思っていないし、
どこも「ばらばら」になっていないのはあきらかです。
森岡議員のもの言いが、いかに虚構に満ちたものであるか、
多くの視聴者が実感できるのではないかと思います。

森岡正宏氏は、夫婦別姓だと一体感がなくなるとか、
離婚が増えるとか、少年犯罪が増えるとか、教条的に信じていて、
スウェーデンを目のカタキにする、典型的な反対派のひとりです。
当時おさかんだった、バックラッシュの影響を受けたのでしょう。
2003年7月18日の衆議院法務委員会でも、その偏見にまみれた
選択別姓法案に対する認識を、ご披露してくださっています。

西村真悟議員と、西川京子議員の力みぶりに、
森岡正宏氏の「ばらばら」発言は、番組をご覧になった、
一般の視聴者のかたには、異様に映るだろうと思います。
「選択別姓法案に反対する人は、かくもおかしいのか」という印象と、
「法案が成立しないのは、こういう人たちのせいなのか」
という認識が、いくらか広まったのではないかと思います。

これまでの民法改正運動にかかわる人たちは、
どういうわけか、反対派の抵抗を過小評価する傾向があり、
ほとんど問題視しないことが、多かったのでした。
それよりも、自分たちの選択別姓制度の必要性を
理解してもらうほうが、効果的と考えていて、
反対派の批判を、あまりやりたがらないきらいがありました。

それどころか、反対派批判というのは、政敵に釘を刺すことで、
悪いことだと思ったりして、積極的に避けるきらいさえありました。
とくに、「多様なカチカンの尊重」というお題目を、
標榜していたので、反対派批判は不寛容と決めつけて、
積極的に忌避する人たちもいたのでした。


ところがこの特集で、反対派を批判することや、
あるいは、反対派がどんな人たちで、なにをしているのか、
その実態を知らしめることが、案外効果あることが、
運動にかかわる人たちのあいだで、多少実感できた感じです。

反対派対策に重点を置くのがよい、というのは、
わたしのかねてからの持論だったのでした。
『ニュースアイ』で、法案成立をはばむ大いなる壁として、
反対派議員を紹介されたことに続いて、この『News23』の特集で、
反対派批判は効果的という雰囲気が、さらに出て来た様子です。

はじめに出てくる、夫婦別姓を実践している家族の例も、
よく考えてありますが、それ以上に、反対する国会議員が
どんな人たちなのかを知らせる内容だったのも、
よく考えたことだと思います。
筑紫哲也さんさすがですと、あらためて感心するしだいです。

参考文献、資料

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