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民法改正運動の展開 - 2002年前半(1)
民法改正実現の見通し
わたしの見解

2002年前半のいま、民法改正とその周辺の政治の現状について、
さまざまなことが、わたしたちの知るところとなりました。
マスコミも、選択別姓、民法改正に関して、
議会や部会のようすについて、自民党の内情や体質まで突っ込んだ、
かなり立ち入ったところまで、報じたりもしました。

自民党内における、反対派議員の数や勢力も、見当がついたし、
神道政治連盟という、圧力団体のことも知ったし、
自民党の反対派議員たちが、法務部会で
どんな議論をやっているのかもわかりました。
また、別姓に反対する人たちのメンタリティや、
説得される可能性についても、考察してきたのでした。

「テキを知りオノレを知れば、百戦危うしからず。」と言いますが、
その「テキ」の姿が、だいぶ見えてきたようです。
民法改正実現の見通しが、はっきり立てられるだけの情報が、
そろってきたのはないかと思います。

このあたりで、わたし、たんぽぽの見解が、
どんななのかを、一通りお話しておきたいと思います。

民法改正の実現をはばむ主体は、だれなのか?
それは言うまでもなく、自民党内にいる反対派議員たちです。
彼らこそが、直接の仕立て人であり、
かかる彼らの「がんばり」によって、民法改正法案は提出さえもできず、
陽の目が見られない状況が続いているのでした。

法案提出がはばまれる要因を、もうすこし、くわしく見て行くと、
つぎのようになるでしょう。


(1) 反対派の精神構造と思考構造

最大の原因は、やはり、反対派というのは、
本質的に説得不能で、カルトか疑似科学の信者のように、
自説を妄信していることになるでしょう。

民法改正には反対である、というはじめに結論ありき、
根拠のない、家族崩壊シナリオを妄信し、
それを、共産主義とフェミニズムの陰謀論で補強する、
その精神構造や思考構造は、疑似科学者のそれと同じだと思います。
いくら自分たちのまちがいを示されても、自説にしがみつくだけで、
けっして理解することなど、ないでしょう。
(実際、法務部会での反対派は、何年ものあいだ、
態度も主張もずっと同じで、変化が見られない。)

何回会議を開いても、恥も外聞もなく、感情むきだしで、
ヒステリックな反対をして、法案提出をつぶし続けるメンタリティは、
まさにここから来るにほかならないでしょう。
あえてどきつい言いかたをすれば、
こうした頑迷きわまりない、「とんでも」な反対派議員たちは、
国政の場から追放する以外に、民法改正の実現はありえない、
くらいに考えたほうが、いいと思います。


(2) 宗教右派系団体の圧力

民法改正の反対派には、宗教右派系の団体がついています。
これらは概して、組織力があり、国政へも強い影響力を与えています。
その中で、もっとも影響力があるのが、「神道政治連盟」であり、
自民党議員の有力な支持基盤となっています。

政治家にとって最大のお仕事は、
「つぎの選挙で当選すること」ですから、
そのために必要な、票田や、資金や、選挙のための活動を
提供してくれる組織の意向を裏切るのは、とてもむずかしいでしょう。
このため、内心では、民法改正に賛成だけど、
不本意ながら反対している議員も、すくなからずいるようです。

また、こうした宗教右派系の組織は、マスコミがタブーにしていて、
取り上げなかったりするので、一般に知られにくく、
批判のほこ先が向かわなくなる、というのも、
彼らの活動を、いっそうやりやすくしているもののようです。

ここまでのふたつは、民法改正にかぎった事情ですが、
自民党全体の体質に関係していることとして、つぎのことがあります。


(3) 事前審査・承認制度と党議拘束

自民党は、政府提出の法案を、審議にかける前に、
事前審査を通すのが慣例になっています。
これは、自民党が、党内の統一性を保つために
導入された慣例であり、ここで取り決められた法案は、
党議拘束がかけられるなど、強制力がとても強くなっています。

会議は自民党議員ならだれでも参加できて、
しかも全会一致が前提ですから、反対派議員たちは、
これに出席して、ひたすら反対を続ければ、
法案提出が阻止できることになります。


反対派の主張は、反対派のあいだにしか説得力がない、
「とんでも」な内容で、議会で議論したら、
まずかなわないという自覚が、反対派議員たちにはあるのかもしれないです。
たとえば、議会の外では、はっきりと反対と言うことさえ、
したがらないのに、自民党の内輪の会議である、
事前審査の法務部会になると、猛烈な反対に出るというのが、
それをしめしていると思います。

事前審査・承認制度の密室性が、はからずも、
民法改正の反対派議員たちにとっての、
絶好の法案つぶしの場所を、作っていることになります。

こうしたやりかたに対して、
「不透明で非民主的だ、国会という開かれた場に持ってきて、
国民が納得できる議論をするべきだ。」という批判が出てくると思います。
これはもっともな言いぶんだし、また必要な批判だとも思いますが、
無視されるだけだと思います。

事前審査の法務部会で反対しなければ、
ほかに妨害できるところが、どこにもなくなってしまうので、
反対派議員が、みすみす素通りさせるはずもないからです。
結局、自民党が、法務部会の事前審査を省略して、
直接国会への提出をさせることは、ありえないでしょう。

(4) 賛成と反対の勢力

自民党内には、確実に賛成している議員は、45人います。
しかし、反対している議員は、116人もいます。
(やっかいな反対派が落選していなくなったと思うと、
いままでだまっていた反対派が、とつぜん声高だかに、
反対を言い出すらしいですが)、自民党の議席の半分くらいが反対では、
賛成派は、劣勢と言わざるを得ないでしょう。

(03年11月の衆議院総選挙で、自民党の民法改正反対派議員の
大量落選がありましたが、それでも75人の反対派が残っています。
法案提出を、阻止し続けるには、じゅうぶんな数でしょう。)

それに、当選回数主義のせいで、民法改正に反対が多いであろう、
長老格の議員ほど、党内での発言力が強くなっているし、
また、女提協(女性議員政策提言協議会)の影響力は、
たいしたことないと言われてます。
議員の影響力まで入れて考えると、
賛成派は、ますますもって、劣勢ではないかと思います。


それでも、国会全体となると、状況が変わってくるようです。
公明党、野党各党が賛成していますから、
これに自民党の賛成派が加われば、民法改正賛成の票が、
議会で過半数をこえるのは、まちがいないでしょう。

ようするに、自民党の中に議論をとどめておけば、
反対を続けられるが、国会に提出されたら最後、
民法改正法案は、きっと可決してしまうだろうという、
反対派にとっては、とても切迫した状態にあることになります。

したがって、自民党が、民法改正の党議拘束をはずして、
議員立法による発議を認めることも、ありえないでしょう。
(もちろん、かなわないので、議会で、
まともに審議したくないものあるでしょうが。)


ちなみに、民主党をはじめ、野党各党は、
毎年のように、民法改正法案の発議を続けてはいます。
しかし、自民党は、自分たちが議会の多数派として、
政権を握っているかぎり、これを無視することができますし、
実際、野党発の民法改正法案は、ろくに相手にしていないです。

民法改正をとりまく現状は、どうなっているのか、
なぜ法案提出さえも、阻止され続けるのか、これまでのお話で、
だいたい状況が、把握できたのではないかと思います。
そんな中で、民法改正の実現にすこしでも近付けるには、
どうするのがよいでしょうか?

(1)は、反対派の本質に根差していることですし、
どう働きかけても、変える余地はないと、覚悟したほうがいいでしょう。
説得を試みたところで、「とんでも」さんを相手にしたときならではの、
不毛な議論に陥るのは、まちがいないと思います。

ごくまれに、考え直してくれる反対派もいるようですが、
それまでの説得には、かなり長い時間がかかるし、
そんなペースでは、民法改正実現は、何十年もさきになりそうです。


(2)も、(1)の理由で、組織の思想を、外からの働きかけで
変えるのは、思いもよらないでしょう。
また、彼らの組織規模や、自民党の強力な支持基盤に
なっていることを考えると、効率よく反対派組織の活動を
妨害するのも、むずかしいでしょう。

変える余地があるのは、かかる組織に対する、
まわりや社会のありかただろうと、思います。
さしあたっては、彼ら反対派組織の、ヒステリックな活動実態を
多くの人たちに知ってもらうのが、よいだろうと思います。

とはいえ、マスコミは口をつぐむし、市民団体の人たちも、
知っていてか、知らなくてか、言及したがらないので、
目立った状況改善は、あまり期待できないようです。
できるのは、せいぜい(わたしのサイトみたいに)、
個人でちまちまと情報発信する、くらいでしょうか。

(3)は、民法改正にかならずしも関係ないですが、
党の運営全体にかかわっているので、かえってやっかいかもしれないです。
自民党内では、依然として、党内の統一性を保つため、
事前審査・承認制度は必要、という「慎重論」が強くなっています。
事前審査の緩和や省略も、あまり期待できないもののようです。
(上に述べた理由で、民法改正に関しては、なおさらでしょう。)

(4)は、多少は動かす余地が、ありそうです。
しかし、(1)の理由で、賛成への転向がありえないとなると、
選挙を通じた落選で、地道に反対派議員を、議会から追い出していき、
熱心に賛成する議員をふやしていくしかなさそうです。
 
わたしたちにとって、さいわいなのは、
選択別姓に反対している議員は、落選傾向にあるということです。
とはいえ反対派議員は、自民党内には、
すくなくとも過半数に届くくらいはいます。
(03年11月の衆議院総選挙ののちも、3分の1くらいいます。)
部会の会議で、民法改正法案の提出を、つぶしてしまうには、
まだまだじゅうぶんの数でしょう。

推進派議員が彼らを押し切れるくらい、反対派が微弱な勢力になるには、
今後何回も選挙を経なければならなさそうです。
反対派議員が減るにこしたことはないですが、
それだけでは、民法改正は、何十年もさきのお話になるでしょう。


結局、自民党が政権を取っているうちは、
頑迷きわまりない、「とんでも」な反対派が、
事前審査・承認制度の密室性を利用して、莫大な発言力を行使して、
法案提出の阻止ができるので、どうやってもだめ、ということになります。
この際ですから、自民党政権下では、民法改正の実現はありえない、
そう言ってしまっても、いいだろうと思います。

となると、民法改正を実現するのに、取りうるオプションで、
残っているうち、いちばん確実そうなのは、政権交代になるでしょうか。

民主党は、党内に反対派がすこしいるので、
政権を取ったとしても、いざ民法改正法案提出のとき、
ひと悶着が起きることが予想されます。
それでも、選挙公約にし続けてきた政策であるし、
かなりの確率で、法案は国会に提出されるでしょう。
そうなれば、まちがいなく可決すると思われます。


そんなこと言ったって、民主党が政権を取る可能性なんて、
ほとんどないのではないか?
これをご覧になっているあなたは、思うだろうと思います。

2002年の民主党の勢力では、つぎの選挙で政権を取る可能性は、
きわめて小さいと、かくいうわたしも思っています。
(2003年11月に衆議院総選挙では、民主党はかなり議席を
のばしたけど、政権担当までは、まだまだでした。)
もうあと、数回の選挙を経ないと、政権交代はむずかしいでしょう。
しかし、それでも、このまま自民党政権に期待するよりは、
ずっと早くて確実だろうと、わたしは思うのでした。

自民党への働きかけを、続けたところで、
かなり地道な努力を、しいられるのは、まちがいないでしょう。
どのみち地道にやるしかないのですから、そのような労力は、
政権交代のために振り向けたほうが、
ずっといいように、わたしは思います。

これをご覧になっているあなたは、いかがでしょうか?

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