あの法案はいま
5月18日の日経新聞の、『永田町インサイド』というコーナーに、
「あの法案はいま」という記事があります。
これは、以前から話題になっているけれど、諸般の事情で、
成立をはばまれて、陽の目を見ない法案についての解説です。
成立しない法案の具体例として、「臓器移植法」
「永住外国人の参政権」「カジノ導入」「人権擁護法」が出ていて、
「選択的夫婦別姓(民法改正)法案」も、紹介されています。
この記事は、法律ができるまでのプロセスが、絵でしめされています。
(内閣提出法案で、衆院がさきという、もっとも一般的なケース。)
このあたりについて、あまりくわしくないかたは、
つぎのページも合わせて、ご覧になるといいと思います。
「法律のできるまで」
簡単に流れをお話すると、自民党内で法案を調整して、
衆院の委員会に提出、本会議で可決、
ついで、参院の委員会に提出、本会議で可決となっています。
野党がかかわれるのは、衆院に提出されてからです。
それまでは、自民党内の部会で、自民党の議員だけで、
もっぱら議論することになります。
法案が成立しない理由は、大きくふたつあります。
ひとつは、国会に提出はされているが、審議が進まない場合で、
もうひとつは、与党内の調整で難航して(いわゆる「つるし」の状態)、
法案の提出もされていない場合です。
与党内の調整については、自民党内の部会による事前審査であり、
参加議員の全会一致が原則となっています。
日経の記事は、囲みの部分で、そのすさまじいようすが書かれています。
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法案を左右する最初の関門は与党内の手続きだ。
自民党では政務調査会の部会で議論するが、有力議員が首を
たてに振らなかったり、若手が異論を唱えて紛糾することは珍しくない。
うるさ型のベテランが集まる総務会で、
執行部が集中砲火を浴びることもあった。
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選択別姓法案も、この与党内の部会で、狂信的な反対派議員により、
いつも握りつぶされているのは、すでに何度もお話している通りです。
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法務省は96年の法制審議会(法相の諮問機関)の
答申に沿って実現を目指している。
自民党内には賛同する声はあるが「家族のきずなが失われる」などの
反対論も根強く、党内論議が進む機運はない。
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日経の記事では、全会一致が原則だった、法務部会のシステムが、
郵政民営化のときにくずされ、執行部からの、
「トップダウン」的になったことが、触れられています。
法務部会で、頑迷きわまりなく反対する議員たちが、
「抵抗勢力」とも言いたげで、あたかもコイズミ・カイカクによって、
現状が打開されうるかのような印象をうけそうです。
しかし、いくら「トップダウン」方式になったところで、
執行部が民法改正に不熱心なら、進展は見られないでしょう。
むしろ、執行部には、有力議員がつくでしょうし、
彼らは民法改正には、反対しているかたも多いでしょうから、
「トップダウン」になったところで、かえって実現は、
むずかしくなるだけだと思います。
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