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民法改正運動の展開 - 2006年
野党3党法案提出

野党3党法案提出 野党3党法案提出(2) 野党3党法案提出(3)
あの法案はいま


あの法案はいま
5月18日の日経新聞の、『永田町インサイド』というコーナーに、
「あの法案はいま」という記事があります。
これは、以前から話題になっているけれど、諸般の事情で、
成立をはばまれて、陽の目を見ない法案についての解説です。
成立しない法案の具体例として、「臓器移植法」
「永住外国人の参政権」「カジノ導入」「人権擁護法」が出ていて、
「選択的夫婦別姓(民法改正)法案」も、紹介されています。

この記事は、法律ができるまでのプロセスが、絵でしめされています。
(内閣提出法案で、衆院がさきという、もっとも一般的なケース。)
このあたりについて、あまりくわしくないかたは、
つぎのページも合わせて、ご覧になるといいと思います。
「法律のできるまで」

簡単に流れをお話すると、自民党内で法案を調整して、
衆院の委員会に提出、本会議で可決、
ついで、参院の委員会に提出、本会議で可決となっています。
野党がかかわれるのは、衆院に提出されてからです。
それまでは、自民党内の部会で、自民党の議員だけで、
もっぱら議論することになります。


法案が成立しない理由は、大きくふたつあります。
ひとつは、国会に提出はされているが、審議が進まない場合で、
もうひとつは、与党内の調整で難航して(いわゆる「つるし」の状態)、
法案の提出もされていない場合です。

与党内の調整については、自民党内の部会による事前審査であり、
参加議員の全会一致が原則となっています。
日経の記事は、囲みの部分で、そのすさまじいようすが書かれています。
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法案を左右する最初の関門は与党内の手続きだ。
自民党では政務調査会の部会で議論するが、有力議員が首を
たてに振らなかったり、若手が異論を唱えて紛糾することは珍しくない。
うるさ型のベテランが集まる総務会で、
執行部が集中砲火を浴びることもあった。
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選択別姓法案も、この与党内の部会で、狂信的な反対派議員により、
いつも握りつぶされているのは、すでに何度もお話している通りです。
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法務省は96年の法制審議会(法相の諮問機関)の
答申に沿って実現を目指している。
自民党内には賛同する声はあるが「家族のきずなが失われる」などの
反対論も根強く、党内論議が進む機運はない。
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日経の記事では、全会一致が原則だった、法務部会のシステムが、
郵政民営化のときにくずされ、執行部からの、
「トップダウン」的になったことが、触れられています。
法務部会で、頑迷きわまりなく反対する議員たちが、
「抵抗勢力」とも言いたげで、あたかもコイズミ・カイカクによって、
現状が打開されうるかのような印象をうけそうです。

しかし、いくら「トップダウン」方式になったところで、
執行部が民法改正に不熱心なら、進展は見られないでしょう。
むしろ、執行部には、有力議員がつくでしょうし、
彼らは民法改正には、反対しているかたも多いでしょうから、
「トップダウン」になったところで、かえって実現は、
むずかしくなるだけだと思います。

野党3党法案提出
5月31日に参議院から、6月8日には衆議院から、
民主、社民、共産の3党によって、民法改正法案が提出されました。
内容はいつものように、選択別姓の導入、
婚外子の相続差別の廃止、婚姻年齢を男女とも18歳で統一する、
女性の待婚期間の100日への短縮となっています。
「選択的夫婦別姓などの実現のための民法改正案を提出」

リンクした民主党のサイトにあるように、すでに過去に9回、
毎年のように、野党は共同で法案提出して、年中行事のようになっています。
そして、そのたびに、自民党によって無視され、
実質的に、まったく審議されない状態が、続いているのが現状です。
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同法案を参議院において野党共同で提出するのは、
第146国会から数えて9回目となるが、
今日まで自民党の反対で本格的な審議を経ることなく、
継続審議とされたり廃案とされたりということが繰り返されてきた。
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すぐ上でお話したように、法務部会という党内会議でも、反対派議員たちが、
狂信的な反対をして、法案提出を握りつぶすくらいです。
自分たちのアドバンテージがなく、もっと不利な議論になりそうな国会で、
審議したがらないのは、なおさらと言えるでしょう。
今年2006年も、自民党は審議に応じなかったのは、もちろんのことです。


どうせ自民党は、相手にしないとわかっていても、
民法改正は、決して揉み消されていないことを示すためでしょう。
民主党をはじめ、野党各党は、無視黙殺されるとわかっていても、
いつもこの時期になると、提出を続けるのだと思います。
(国会の会期が終わりに近い時期なので、審議のためというより、
政治姿勢をしめすための法案提出なのだと思います。)

ぜんぜんセンセーションがないニュースですから、
マスコミの扱いも、ときおり小さくなっています。
たとえば、5月31日の毎日新聞は、つぎのように短く報じています。
(それでも、記事になるだけ、ましとも言えますが。)

<選択的夫婦別姓>野党3党が民法改正案を提出
(毎日新聞 2006年5月31日)

民主、共産、社民の野党3党は31日、
結婚後も希望すれば旧姓を使用できる「選択的夫婦別姓」を
認める民法改正案を参院に提出した。衆院にも近く提出する方針。
改正案は選択的夫婦別姓のほか、結婚できる年齢を男女とも18歳にする
▽女性の再婚禁止期間を現行の6カ月から100日に短縮する――などが柱。
マスコミの扱いは小さかったけど、反響は結構あったみたいで、 わたしが検索をかけたかぎりでは、法案提出に関して、 話題にしているウェブログも、そこそこ出て来るようです。 世間的には、まがりなりにも関心が持たれていて、 法律改正を望んでいるかたも多い、ということかもしれないです。 (トンデモない反対論者たちの反響も、ありましたが。)


参考文献、資料
  • 日本経済新聞 永田町インサイド 2006年5月18日
    「あの法案はいま」
    中見出し:「臓器移植法改正 埋まらぬ死生観の溝」
    「永住外国人の参政権 夫婦別姓 カジノ 与党内固まらず」

    囲み記事:「法案成立、幾重もの関門」
    成立がはばまれて、陽の目を見ない法案の紹介で、選択別姓も触れられている。
  • 毎日新聞 5月31日
    <選択的夫婦別姓>野党3党が民法改正案を提出

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