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民法改正運動の展開 - 2004年
高市早苗氏が結婚(1)
高市氏はなぜ旧姓を通称として使うのか?

選択別姓、民法改正の反対論者でならしていて、
これをご覧のかたにとっては、恨みも深いであろう、
高市早苗氏が、なんと結婚することになったのでした。
お相手は、山本拓氏という福井2区の衆議院議員で、
高市氏とおなじ誠和会に所属していらっしゃります。

『大和の国から』という、高市早苗氏の活動日誌に、
結婚にいたるまでの経緯が書かれているので、
くわしいことは、こちらをご覧になるとよいでしょう。
「〜結婚のご報告〜 2004年09月23日」
http://rep.sanae.gr.jp/yamato/yamato_contents.html?id=63

きっかけは、2003年11月、高市早苗が落選した、
衆議院の総選挙にさかのぼります。
落選すると、それまで使っていた、国会の事務所や備品のあとしまつ、
そして雇っていた秘書の再就職さきを探す、といったことを、
短い時間でやらなければならないので、かなり忙しくなります。

そのとき、山本拓議員が、自分も落選したことがあるので、
直後の大変さはわかるから、なにかお手伝いできることがあったら
遠慮なく言ってくださいと、言ってくれたようです。
高市早苗の秘書のひとりが、弟さんなのですが、
この弟氏の再就職さきとして、山本拓氏が公設秘書として、
引き取ることになったのでした。


それから、半年ほどたった、04年5月、経済界の人たちと、
意見交換をする場で、ふたたび山本拓氏と同席したのでした。
このとき、高市早苗氏の結婚のお話が出てきました。
そこで高市氏は、企業の役員のかたと、結婚を検討しているので、
だれかいたら紹介してほしい、というお話をしていたのでした。

山本拓氏、この会話には加わっていなかったようですが、
しっかり聞き耳を立てて聞いていたようです。
6月のはじめに、高市氏のところへ、電話をかけてきて、
「真剣に結婚相手を探しておられるんでしたら、
僕もバツイチですので、立候補しますよ」と言ったのでした。

弟やFAX機に続いて、自分も引き取ってくれると、
とつぜんのプロポーズに、高市さんは、よろこんだのだそうです。
そのあとは、9月に入って落ち着いてから、ふたたびお話をすすめて、
ついに結婚までこぎつけたのだそうです。


これは、わたしの想像ですが、山本拓氏は、ずっと高市氏に
目を付けていて、すくなくとも、落選が決まってから
本格的にねらいを定めたのではないかと思います。
お近づきをかねて、選挙事務所のあとかたずけの
お手伝いを買って出たものと思われます。
5月の経済界の人たちとの集まりも、高市早苗が来ることを
見越しての参加も、あったのではと思います。

ところで、山本一太議員の活動報告『気分はいつも直滑降』の
608号によると、選挙で落選した高市早苗氏が、
この機会に結婚相手を見つけると、言ったのだそうです。
どうやら「つかまえ」られたようで、この目標は達成したことになります。
「No.0608 「負けるな、さなえ!」 2003年12月9日」
========
「あのサッチャーだって、落選中に結婚した。この機をとらえて、
いい男をつかまえるわ。」あくまでもポジティブな高市さんだった。
========

落選して浪人中とはいえ、選択別姓の反対派として、
中心的な活躍をしていたご本人が、結婚するというので、
メディアでは、ちょっとした話題になりました。
つぎのエントリに、新聞記事の抜粋があるので、ご覧になるといいでしょう。
http://fb-hint.tea-nifty.com/blog/2004/09/post_11.html

いちばん気になるのは、とうぜんながら、結婚後の苗字のことですね。
戸籍の苗字は「山本」なのですが、選挙活動は婚前の
「高市」を名乗ることになりそう、とのことでした。
たとえば、2004年9月23日の毎日新聞では、
「結婚後も"高市さん"で通す?」「夫婦別姓反対論者だけど...
選挙で名乗るか「検討中」」という見出しで紹介されています。

そして、記事本文中では、「別姓反対論者の高市氏が
旧姓のまま選挙に出れば、これまでの自らの発言を
否定しかねない」と書かれてもいました。
そのせいか、高市氏のところには、「いままで選択別姓に
反対していたのに、自分は夫婦別姓にするのはけしからん」
という主旨のメールが、たくさん届いたのでした。


そういうしだいなので、高市氏、9月23日の『大和の国から』で、
これまでの選択別姓反対の発言は、否定していないよと、
毎日新聞の記事に対して、反論をしていました。
「〜毎日新聞社に抗議します。夫婦別姓ではありません〜 2004年09月23日」
http://rep.sanae.gr.jp/yamato/yamato_contents.html?id=64

高市早苗氏の弁明によると、自分は選択別姓には反対していたが、
旧姓を通称使用するという案は、主張してきた、
そして、自分は戸籍の苗字は「山本」で、
改姓しているから同姓であり、「高市」は通称として使うから、
矛盾はしていない、ということになります。

『大和の国から』では、毎日の記事は、「夫婦別姓にするかも」
という見出しがついていると、高市氏は書いていますが、
わたしが確認したところ、そうなってはいないようです。
「これまでの自らの発言を否定しかねない」という本文の内容から、
そう言っているのだろうと、解釈したものと思われます。

高市氏はなぜ旧姓を通称として使うのか?
ところで、高市早苗氏は、どうして旧姓を通称として
使うことを「検討する」ことにしたのでしょうか?
いくら、主張している法案内容と矛盾しないと言っても、
選択別姓に反対している以上、通称使用でも夫婦別姓にするのは、
矛盾をきたしているような気がします。

ご本人は、大学や政治活動も、「山本早苗」を名乗りたかったのですが、
夫氏から反対され、通称として「高市早苗」を名乗ることになったのでした。
すこし長いですが、このあたりのいきさつについて、
9月23日の『大和の国から』に書かれているので、ここに引用します。
いままで「通称使用でじゅうぶんだ」と言ってきたのだから、
自分でも通称を使うことで、法案にふじゅうぶんなところを
探し出してもっと充実させるべき、ということのようです。

対外的にも夫婦同姓がいいから、通称を使うのはいやだ、
というのですから、通称使用も、夫婦別姓のうちと、
高市氏は思っている、ということではないか、という気もします。
それでも、前述のように、主張している法案内容と
矛盾はしていないということで、どうにか切り抜けたのでした。


今回、自分が結婚するに当たって、夫からは「姓をどうする?」と聞かれました。
何も迷わずに「戸籍は『山本早苗』でいいし、
せっかく結婚したんだから、大学や政治活動も
『山本早苗』でやりたいな」と言いましたら、夫に叱られました。

「それでは君が主張していた法案の内容を自ら否定することになるんだよ。
戸籍名も仕事上の名前も『山本』にするなら、君は楽でいいだろうけど、
現行法のままでよいと認めたことになるじゃないか。
自ら家の外で通称を使ってみて、免許証や健康保険証以外にも
不便な点はないかよく検証して、法案内容をもっと充実させろよ」
というのが夫の理屈。

「私は、通称使用を希望している人が便利になればいいなと思って
法案を書いただけで自分自身は対外的にも『夫婦同姓』を希望しているんだよ。
自らを実験台にして法案内容に追加すべき点を探せって言うの?」と
喧嘩ごしになる私に、夫は「これからも政治家として働くつもりなら、
自分を実験台にするくらいの根性を持てよ」と取り合ってくれず。

そんなわけで、夫の説得ができぬままに結婚の公表となったので、
「戸籍を入れ、同姓夫婦となったが、通称を使うかどうかは検討中」
という現状になったのです。

通称使用の法案を書いた?
ところで、9月23日の『大和の国から』ですが、
よく見ると、「(通称使用の)法案を書いただけで」とあります。
これはいったい、どういうことなのでしょうか?
高市早苗の通称案は、01年の産経新聞に構想が載っただけで、
具体的なかたちでしめされたことは、なかったはずです。

すこし前に行なわれた、04年の自民党の法務部会でも、
「対案は心の中にある」なんて言っている議員もいました。
高市早苗氏が、法案を書いていたなら、それを示せばよさそうなので、
きっとこのときは、まだ書かれていなかったのでしょう。
すでに書いてあったけれど、その議員が知らなかっただけ、
というのでしたら、ぜひ教えてあげればいいのにと思います。
「心の中」なんて、おかしなことは言わなくてもすむからです。


日誌には、つぎに引用するように、自分の案が紹介されています。
しかし、これは、「構想」が述べられているだけで、
01年12月の産経新聞にあったものと、同じレベルのものです。
あるいは、記事の長さの都合で、これだけしか書かなかっただけで、
法案のかたちになったものが、すでにどこかにあるのでしょうか?

もしあるなら、ぜひとも発表していただきたいですが、
この日誌で「書いた」という法案は、どこにも発表されていないようです。
その後も、公表されたというお話も、聞かないようです。
かりに本当に、書かれていたのだとしても、
だれもその内容は知らない、ということになりそうです。


3、1案と2案の中間(高市早苗案):
戸籍上は夫婦親子が同姓であるという現行法を堅持。
家族のファミリーネームは残すべきである。
ただし、職場等での通称として旧姓使用を希望する届出をした場合には、
各行政機関は通称使用の利便性に配慮する努力義務を負う
(現在、既にパスポートでは、戸籍名と通称名を併記できる。
同様に、免許証や健康保険証など、個人の同一性を示す書類は併記形式とする。
社会保険や税務事務でも同様の配慮をする)。

参考文献、資料
  • 毎日新聞 2004年9月23日
    結婚後も"高市さん"で通す?
    夫婦別姓反対論者だけど... 選挙で名乗るか「検討中」

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