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民法改正運動の展開 - 2006年
統一教会に祝電を送る安倍晋三(1)

安倍晋三と統一教会 安倍晋三と統一教会(2) 安倍晋三と統一教会(3)
安倍晋三と統一教会(4) 安倍晋三と統一教会(5)

祝電事件リンクリスト 興味がわいたかたは、これもどうぞ。

統一教会祝電事件
2006年5月13日のことです。
安倍晋三官房長官をはじめ、自民党を中心とする、
たくさんの政治家たちが、おどろくべきことに、
統一教会の合同結婚式に、祝電を送る(!)という事件があったのです。
http://www.janjan.jp/government/0606/0606206368/1.php

いえいえ、なにかのまちがいでは、決してないはずです。
『世界日報』という、統一教会の機関紙が、
報じているのですから、たしかでしょう。
「西欧社会のみに追従する日本、真の家族を回復すべし
UPF祖国郷土還元日本大会」
http://hamnidak.exblog.jp/d2006-06-05

「天宙平和連合(UPF)」という、統一教会系列の機関が主催したもので、
5月13日から24日まで、日本の主要都市を巡って開かれたとあります。
そして、「福岡大会では安倍晋三内閣官房長官や
法務大臣の経歴を持つ保岡興治衆議院議員など、
国会議員7名が祝電を送った」と、報じられています。


新聞記事だけではなく、大会のようすを収めたビデオもあります。
マリンメッセで開かれた、福岡大会のビデオを観ると、
「祝電がいっぱい届いておりますが、その中から数個ご紹介を申し上げます」
「岸信介元総理大臣のお孫さまでいらっしゃり、
現内閣官房長官、衆議院議員の安倍晋三さま」と、
日本統一教会会長の、大塚克己氏が、紹介しています。

また、保岡やすえ氏(保岡興治議員の妻で、本人の代理出席)、
岩下栄一氏、宮島大典氏が、直接出席していることがわかります。
記念品の贈呈もあり、保岡やすえたちが、トロフィーを抱えて、
韓鶴子氏(統一教会の副総裁)に手わたすシーンも映されています。


6月に入ると、ようやく日本でも、祝電のことが知られるようになり、
メディアでも、報じられはじめたのでした。
マスコミの取材を受けた、安倍晋三官房長官は、
「私人としての立場で地元事務所から
『官房長官』の肩書で祝電を送付したと報告を受けた。
誤解を招きかねない対応で、担当者に注意した」と、コメントしました。

なんだか、おかしな表現ですが、安倍事務所側も、
祝電を送ったことだけは、まがりなりにも認めました。
しかし、たとえば、統一教会とはどんな関係にあるのかとか、
なぜ祝電を送ったのかといった、それ以上のくわしいことは、
なんら釈明も言及もないままです。

統一教会の反社会的行為
統一教会(「統一協会」と書くかたもいますが)や、
合同結婚式がなんなのかは、ご存知のかたも多いと思います。
「世界基督教統一神霊協会」が正式名称で、
文鮮明氏を総裁とする、キリスト教をベースにした、
宗教右翼的な、韓国のカルト教団です。

日本は、重要な拠点であり、活動がさかんに行なわれ、
マインドコントロールを用いて、信者を獲得していきます。
また、霊感商法(「霊が憑いている」などとおどして、
供養のためと言って物品を売る、詐欺的商法)により、
壺などを不当な高額で売り付けるといった、
犯罪的な方法で、活動資金を集めたりもしています。

統一教会には、婚前交渉の極端な忌避や、
男権的な家庭の賛美といった、狂信的な家族思想が背景にあります。
さきのUPF日本大会を報じた、『世界日報』の記事の見出しにも、
「真の家族を回復すべし」とありますが、
こうした、家族思想の普及を、呼びかけているものです。
「純潔キャンディ」を配ったり、信者を大勢集めて、
文鮮明が一方的に結婚相手を決める、「合同結婚式」という、
イベントを行なうことも、彼らの家族思想にもとづいたものです。

合同結婚式は、洗脳によるので、婚姻の自由に反するという、
最高裁判所からの判例も、出ているくらいです。
最近では、合同結婚式に参加した女性約6500人が、
行方不明になるという、気味の悪い事件も起きています。


こうした、統一教会の活動は、信者やその家族の人間関係を、
破壊するなど、深刻な被害をもたらしています。
「全国霊感商法対策弁護士会」などの弁護士会は、
たとえば、つぎのようなパンフレットを配って、
統一教会の活動にかかわらないよう、警告をよびかけています。
http://beyond.2log.net/akutoku/topics/topics1999a.html#0227
http://beyond.2log.net/akutoku/topics/topics1999a.html#0402

かかる違法的カルト教団に、政治家が祝電を送ったとなると、
彼らの活動に、お墨付きを与えているとも、考えられます。
また、政治家が特定の宗教に、てこ入れすることで、
政教分離の原則に、違反するおそれもあります。

被害者救済にあたる弁護士会は、安倍晋三氏をはじめ、
祝電を送った議員に対して、統一教会に祝電を送った事情はなんなのか、
といったことなどを問いただす、公開質問状を送りました。
しかし、まともに回答を返して来た議員は、いないのでした。

政界との結びつき(1)
統一教会には、「国際勝共連合」という、政治部があります。
彼ら統一教会の思想を、実現するために作られた政治団体です。
「勝共」とは、共産主義に打ち勝つという意味で、
反共イデオロギーを標榜しています。
そして、この団体に賛同する議員を、「勝共議員」と言います。

いささか古い資料ですが、「カルト被害を考える会」というサイトに、
統一教会、勝共連合にかかわりのある、政治家のリストがあります。
中曽根(親子で)や福田(親子で)も、賛同者となっていて、
数多くの有力議員とのあいだに、深いつながりがあることがわかります。
今回のUPF日本大会の合同結婚式に、祝電を送った事件は、
たまたまそのつながりの一角が、発覚したものだと言えます。


国際勝共連合が設立された1968年は、
「プラハの春」事件があり、またベトナム戦争の最中で、
冷戦はいよいよ、はげしくなっていたときでした。
また、日米安保条約の期限が切れる、すこし前であり(1970年)、
継続反対を主張する、学生運動もさかんでした。

もともと、日本の旧支配層は、太平洋戦争の敗戦処理のときに、
アメリカの反共政策に、全面的に協力することと引き換えに、
存続することを、保証された人たちでした。
したがって彼らは、反共イデオロギーを維持して、
アメリカとの同盟を、継続する必要に迫られました。

また、このころは、高度経済成長による、
地方の都市化で、自民党の古くからの支持基盤である、
農村の伝統社会が、くずれてきていました。
さらに、公害や物価の上昇が社会問題となり、
自民党政治への批判が、強まってもきていました。
そのためにも、新しい強力な支持基盤を、彼らは必要としていたのでした。

こうした日本の保守層の思惑に、アメリカの反共政策、
さらに、本国韓国で立場を追われた、文鮮明の保身が結びついて、
このような政治団体が、おそらくは、作られたのでしょう。

政界との結びつき(2)
宗教団体は、一般にお金も人も、たくさん動員できるので、
組織票集めや、活動資金、そして選挙活動のための人員の確保、
といったさまざまなことで、これを支持基盤とすることは、
議員にとって、都合がいいことになります。

あまりよく知られていないことですが、選挙で当選するために、
もっとも効果的なことは、人海戦術にものを言わせて、
ビラ配りや、ポスター貼り、戸別訪問といった、
地味なことを足を使って行なう、いわゆる「どぶ板選挙」です。

そのため、多くの人的資源を提供できる団体は、
国会議員の支持基盤として、有力になってきます。
統一教会も、選挙になると、信者たちがくり出して、
「どぶ板選挙」の活動員として、ボランティアベースで、
候補者のために働いてくれるらしいです。

すこし古いお話ですが、韓国の統一教会が発行している、
『統一世界』1990年4月号には、「日本の今度の選挙だけでも、
私たちが推してあげたのが百八議席当選した。」
「派閥で見れば、中曽根派は六十二議席にもなって、
安倍派は八十三議席。 私が全部そういうふうに作ってあげた。」と、
自分たちの活躍を、自慢げに書いています。


また、統一教会は、秘書を何人も議員に送り込み、
その有力なスタッフとして、強い影響力をおよぼしています。
彼らは、教会内で特別な教育を受け、また秘書の給料は、
教会から払われていて、議員には、無料で配属されています。
自民党を中心に、100人以上の国会議員が、
統一教会員を、秘書として雇っていると言われています。

議員からは無給なので、秘書給与の不正流用に、当たることになります。
このことを、発覚させられたくないゆえに、
統一教会との関係を、だまっている議員も、すくなからずいるようです。

(このあたりは、『統一教会とは何か』(90-107ページ)などにくわしい。)

政界との結びつき(3)
安倍晋三氏が、尊敬してやまない祖父、岸信介氏は、
ほかでもない、国際勝共連合の、設立者のひとりでした。
もちろん、統一教会に対する理解も、ひじょうに深く、
こちらの写真にあるように、文鮮明とも親交がありました。

国際勝共連合の設立にかかわった、久保木修己氏も、
「岸先生は、しばしば統一教会の本部や
勝共連合の本部に足を運んでくださいました」
「岸先生に懇意にしていただいたことが、勝共運動を飛躍させる
大きなきっかけになったことは間違いありません」と、
自著、『愛天 愛国 愛人』で、岸信介氏が、
統一教会のよき理解者であったことを、回想しています。

安倍晋三氏の父、安倍晋太郎氏も、国際勝共連合の機関紙、
『思想新聞』に、勝共議員として紹介される、統一教会の賛同者でした。
勝共連合の理事長だった、梶栗玄太郎氏は、
統一教会の雑誌、『祝福家庭』の連載、
「怨讐を愛せよ」という記事で、「安倍晋太郎氏とも、
毎月会って統一運動について説明しました」と、書いています。

安倍晋太郎は、国際勝共連合が主催のパーティー、
「新春の集い」に、「日ごろ各種選挙でお世話になっているので、
そのお礼の意味をこめて出席」したこともあります。(88年2月19日)
自民党議員が、統一教会から、選挙協力を得ていることが示唆されます。
http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20060710#1152474765


安倍晋三官房長官は、典型的な世襲議員ですから、
彼の支持基盤(三バン)は、おじいちゃんや、
パパの「七光り」に、相当頼っているだろうと思われます。
祖父の代からの、統一教会との人脈も、おそらくは、
そっくり引き継いでいるに、ちがいないと考えられます。

さきの祝電披露のビデオの中でも、安倍晋三を紹介するとき、
「岸信介元総理大臣のお孫さま」と、ことわっています。
安倍晋三氏は、統一教会にとって、そうした関係にある、
特別の人だということを、司会者の大塚氏は、強調しているのでしょう。

安倍晋三氏本人は、だまりきったまま、まったく語らないですが、
おそらくは、統一教会や国際勝共連合の、熱心な賛同者であり、
中心的立場にさえあるのではと、わたしは憶測します。
彼の力量から察するに、統一教会や勝共連合の下支えがなければ、
選挙で当選することも、むずかしいのではないかと思います。


安倍晋三氏の話題の著書、『美しい国へ』は、
久保木修己氏の遺稿集、『美しい国 日本の使命』と、
その内容に、いくつもの共通点が見られます。
集団自衛権や、教育基本法改正、家族思想などの、
安倍氏の政治構想は、統一教会や勝共連合のイデオロギーと、
とてもよく似ていることは、すくなくとも、たしかなことです。

統一教会側も、そんな安倍晋三氏を、全面的に支持しています。
たとえば、教会の週刊誌、『サンデー世界日報』9月10日号は、
「憲法と教育基本法は、国家の理念的根幹をなす二本柱であり、
なによりも先に改正に着手すべき重要課題と考える。
その意味で、安倍官房長官の姿勢は大いに評価できる」と書いています。
また、国際勝共連合の機関誌、『世界思想』9月号も、
『美しい国へ』を絶賛して、安倍晋三氏のことを、
「この国が必要とする指導者にふさわしい」と、期待を寄せています。

参考文献・資料
  • (→)『週刊現代』(06年9月30日号)
    安倍晋三「空虚なプリンス」の血脈 第6回 安倍晋三と統一教会
  • (→)『週刊朝日』(06年10月20日号)
    統一教会との不思議な関係 機関紙コラムで「期待」された安倍首相

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