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民法改正運動の展開 - 2006年
統一教会に祝電を送る安倍晋三(2)
さらなる強敵...

安倍晋三と統一教会 安倍晋三と統一教会(2) 安倍晋三と統一教会(3)
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祝電事件リンクリスト 興味がわいたかたは、こちらもどうぞ。

バックラッシュとの結びつき(1)
統一教会の、狂信的な家族思想は、自民党の一部をふくめた、
日本の保守層たちの、「正しい家族」幻想と、多く重なるので、
イデオロギー的にも親和性があり、賛同を受けることになります。
http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20051004/

つぎのリンクでは、「新しい歴史教科書をつくる会」という、
極右団体の家族思想が、紹介されています。
この団体のメンバーの多くは、統一教会にも賛同していて、
活動においても、連帯することも多いらしいです。
http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20051002

統一教会の政治部である「国際勝共連合」も、
あまり表立ってはいないですが、背後から全面的に、
賛同する国会議員のサポートをしていると、考えられます。
また、統一教会の機関紙、『世界日報』も、
純潔思想に賛同する、政治家や識者の論文をさかんに掲載して、
貴重な情報発信メディアの役割を、担っています。
http://www6.big.or.jp/~beyond/akutoku/topic/topics2004b.html#0705


統一教会や、国際勝共連合の、純潔思想、
あるいは、日本の保守層の「正しい家族」幻想は、
一般に男権的であり、女性差別的なものとなっています。
したがって、彼らの家族思想は、フェミニズムや、
男女共同参画、ジェンダーバイアス・フリーへの敵視
(いわゆる「バックラッシュ」)というかたちで、
政治的にあらわれることになります。

バックラッシュたちは、ジェンダーフリー教育は、
過激な性教育が含まれるとして、攻撃することもあります。
もともと、ジェンダーバイアス・フリーとは、
関係のない性教育が、槍玉に上げられるのも、
純潔思想の敵と思われているので、いっしょに責任転嫁されるのでしょう。

また、バックラッシュたちは、共産主義陰謀論を唱え、
「正しい家族」の敵として、共産主義を攻撃することもあります。
(敵視する相手を、共産主義の手先と、決めつけることもあります。)
国際勝共連合が、反共イデオロギーにもとづいているので、
このあたりの影響も、あるのかもしれないです。


こうした、バックラッシュたちの主張は、
たとえば、「ジェンダーフリーは性差の否定だ」
「男女同室で着替えをさせている」など、
曲解にもとづいたものが多く、「3歳児神話」や
「少年犯罪増加論」など、根拠のない虚構が、ほとんどです。
彼らのフェミニズムや、共同参画に対する批判も、
当然ながら言いがかり同然であり、むしろバックラッシュの、
家族思想こそ破壊的で、個人のしあわせのためにも、
社会全体のためにも、有害と言えます。

カルトとむすびついた、虚構の主張が、
現実の政治に反映されれば、多くの不幸を招いたあげく、
決定的な破綻につながることになります。
統一教会と、政界とのつながりをはっきりさせ、
その危険な主張を、だれかが批判する必要があるでしょう。

バックラッシュとの結びつき(2)
統一教会の機関紙、『世界日報』は、その虚構の思想を
正当化するために、事実をわい曲した報道をしたことがありました。
ところが、取材をした本人から抗議が来て、
それが破たんするという、茶番劇を演じたのでした。
http://macska.org/article/111
http://macska.org/article/112
http://macska.org/article/106

ことの発端は、「ふたごの症例」と言われる、
性自認に関する、ジョン・マネー氏の実験の失敗を、
ミルトン・ダイヤモンド氏が摘発した、という事件です。
(『ブレンダと呼ばれた少年』という本で、有名になった。)
マネーの実験とは、事故でペニスを損なった男の子を
(ふたごのうちのひとりだった)、性転換させて
女の子として育てようとしたけれど、
女性の性自認を持たせられなかった、というものです。

八木秀次氏が、これを見つけて、「性自認は後天的に決まるという、
フェミニズムの根拠は崩れた。 男らしさ、女らしさは、
産まれつきであり、子どもたちはそう育てるべきである」と、
内容をだいぶ曲解して紹介しました。
それで、この事件は、日本のバックラッシュたちのあいだで、
よく知られるところとなりました。

実際には、性自認が、後天的に決まるケースもあるし、
フェミニズムも、ジェンダーフリーも、
マネーの理論を、根拠にしてはいません。
そもそも、「ブレンダ少年」の教訓は、男らしさ、女らしさを、
他人が外から押し付けてはならない、ということです。
(マネー氏が、無理に「女らしさ」を、押し付けようとしたから。)
八木秀次のような、「らしさ」の押し付けの正当化こそ、
もっとも批判されることにほかなりません。


『世界日報』の記者、山本彰氏は、反フェミニズム
反ジェンダーフリーを主張するべく、特集を組むために、
ダイヤモンド氏に取材をしました。
1回目は、事情をよく知らなかった、ダイヤモンド氏を、
うまくだまして、彼が「ふたごの症例」を根拠に、
ジェンダーフリーを否定したという、自分たちに都合のいい記事を、
でっちあげることができたのでした。

記事を見たダイヤモンド氏は、言ってもないことを、
言ったことにされたと、当然ながら怒りました。
2回目の取材では、言質を取られないよう、彼は用心深く答えたので、
「ジェンダーフリー」という、和製英語の意味を正しく理解し、
これに賛同できるという主旨の、返事をしたのでした。


たとえば、ひな祭りと、端午の節句についても、
「女の子と男の子のおまつりの日が、それぞれ別個にあるだけなら、
べつにかまわないと思う。 しかし、五月人形に興味ある女の子や、
ひな人形がほしい男の子がいたら、それは認められるべきだ。」という、
ジェンダーフリーの一般的な考えと、ほぼおなじことを、
ダイヤモンド氏は、お答えしたのでした。

「ジェンダーフリーは、ひな祭りや端午の節句といった、
伝統行事を否定し、男らしさや女らしさを、抹殺する運動だ」という、
回答を引き出したかった、『世界日報』の山本氏は、
すっかり当てがはずれたことになります。

ほかにも、「そうとは知らず、上野千鶴子氏のことを、悪く言ってしまった」
「『ふたごの症例』事件を、フェミニストたちが、
どう利用しているかなんて、ぼくはまったく知らないよ」
「日本の読者が混乱しているのは、『世界日報』が、
おかしな記事を書くからだよ」と、ダイヤモンド氏の回答は、
山本彰氏にとって、惨さんたるものだったのでした。

(このいきさつは、『バックラッシュ!』の、5章1節でもくわしい。)

バックラッシュとの結びつき(3)
国際勝共連合の後押しを、強く受けているであろう
自民党も、彼らの信じている、「正しい家族」幻想を、
正当化させるための、活動することがあります。
「過激な性教育・ジェンダーフリー教育に関する
実態調査プロジェクトチーム(自民党PT)」なるものがそれで、
チームの名前から、純潔思想の推進が目的と、見当がつくと思います。

この自民党PTの座長は、じつは、安倍晋三氏にほかならないのです。
そして、事務局長が山谷えり子氏で、このふたりが、
いわば首謀格ということに、なるでしょう。


このプロジェクトチームは、「過激な性教育・
ジェンダーフリー教育に関する実態調査」というアンケートを、
全国の教育委員会を相手に、行なったことがありました。
本来の目的は、彼らの信じる虚構の家族思想の正当化で、
アンケートで、それを裏付けようという魂胆でした。

アンケートの内容ですが、たとえば、
「A.-1.コンドームなど避妊具の使い方実習」の設問では、
「全国各地の小学生の父母から悲鳴が上がっています。」と
選択肢の前に書き添えて、「ない」と答えにくくするなど、
あきらかにバイアスがかかっています。
さらには、八木と西尾の著書、『新・国民の油断』を同封して、
読ませようともしていて、はじめに結論ありきのものと言えます。

ところが、ここまで露骨に偏ったことをやっても、
現実と虚構のギャップは、どうにもならなかったようです。
集まった意見は、ジェンダーバイアス・フリーや、
性教育を問題視しないものや、肯定的なものがほとんどだったのです。
自民党のやりかたに、批判的なものまであるくらいでした。


このアンケートは、全部で3520件の回答が、寄せられました。
ところが、「行き過ぎた教育」の事例と呼べそうなのは、
ごく少数しかなく、多く見積もって、せいぜい250件でした。

それでも、虚構にしがみつきたかったのでしょうか、
自民党PTは、少数の事例を、ウェブサイトの、
はじめに持ってきて、そうした「行き過ぎた教育」の実例が、
多く寄せられたかのように、見せかけました。
しかも、自民党の公式サイトでは、
「約3500の実例の中から主なものを」と紹介されています。
3500は「回答」の数ですが、ここでは、あたかも「実例」が、
それだけあったかのように、書いています。

『産経新聞』が、これを取り上げたのですが、
「実例が3500件あった」という主旨の記事を書いています。(05年11月11日)
それで、このアンケート調査によって、「行き過ぎた性教育や、
ジェンダーフリー教育の実例が、3500もあった」かのように、
一般のあいだでは、信じられることになりました。


2006年は、男女共同参画5か年計画の、更新の年度でした。
基本計画の意見書を、公明党が、猪口邦子男女共同参画相に
提出したのを皮きりに、各政党ともつぎつぎに、
おなじような主旨の意見書を、出していきました。

自民党PTも、意見書を出したのですが、
ここでもまた、「3500もの実例」と書いています。
こうして彼らの虚構の家族思想は、実在したかのように取り繕われ、
これが「根拠」として、実際の政治に反映されることになりました。
http://www.jimin.jp/jimin/daily/05_12/12/171212c.shtml
========
寄せられた3,500もの実例を調査・分析した結果、
「ジェンダーフリー」という名のもと、過激な性教育、
家族の否定教育が行われていることがわかった。
========

(このいきさつは、『バックラッシュ!』の、5章4節でもくわしい。)

統一教会を報じないマスコミ
内閣官房長官で、次期首相の最有力候補をはじめ、
100人単位の国会議員が、カルト教団の行事に、
祝電を送ったのですから、大事件のはずです。
ところが、日本のマスコミは、ほとんど報じていないのです。
弁護士団が、公開質問状を送ったとき、
あまり大きくない扱いで、これを報じたくらいでした。
そのあとは、週刊誌がときどき特集を組む程度です。

これを、ご覧になっている中にも、「統一教会に祝電なんて、
そういえば、聞いていないぞ? いつのまにあったんだ?」
というかたも、多いと思います。


2001年1月30日に放映の、NHKの「従軍慰安婦」番組に対して、
(『戦争をどう裁くか(2)問われる戦時性暴力』)
内容に改変をさせたことをはじめ、安倍晋三氏による、
メディアへの介入が、目に付くようになっています。
とくに、幹事長に就任した、2003年9月からは、
安倍による、メディアへの圧力や脅しが、いっそう盛んになってきました。

そのため、主要メディアは、なにかにつけて、
安倍のご機嫌を取るようになり、安倍に批判的なことは、
報道しなくなっていたのです。
そうした状況だったので、マスメディアは、
統一教会への祝電という、致命的なスキャンダルも、
見て見ないふりを、したかったのかもしれないです。

あるいは、相手が統一教会なので、信者たちによる嫌がらせを、
恐れたのもあるのかもしれないです。
最近では、韓国ですが、新聞社が統一教会の信者に
襲撃される事件がありました。
また、そのむかし、日本でおきた赤報隊事件のときも、
便乗したのか、統一教会が朝日新聞に、脅迫状を送っています。


今回あった祝電事件は、『世界日報』の韓国語版の記事が、
ウェブに載せられてから、3週間後くらいに、
「2ちゃんねる」で、貼られていたものが、
偶然見つけられたものです(『カマヤンの虚業日記』6月5日エントリ)。
それを韓国語のわかるかたが、日本語に訳してから、
(『薫のハムニダ日記』6月5日エントリ)
ネットを中心に、急速に広まっていったものです。

それから、ネットづてにして、知ったのだと思いますが、
共産党の『赤旗』が取り上げました。(6月13日)
そののち、弁護士団が祝電を送った議員に、
公開質問状を送ると、ようやくにして大手マスコミも、
もうしわけ程度の記事を、書きはじめたのでした。

このいきさつは、『janjan』の6月21日の記事にくわしいです。
「こうしてわかった安倍官房長官「合同結婚式祝電」問題」

さらなる強敵...
民法改正や、男女共同参画の反対勢力としては、
神道政治連盟という、政治的宗教団体があって、
これだけでも、じゅうぶん強力だったのでした。
ところが、統一教会という、さらにとてつもなくやっかいな強敵が
背後にひそんでいることが、いまさらのように、明らかとなりました。

統一教会は、これまでお話したように、純潔思想が背景にあるので、
男女共同参画に関係したものは、ことごとく反対することになります。
民法改正、あるいは選択別姓も、とうてい認めないでしょう。
実際、強靱な反対派議員の中には、今回行なわれた合同結婚式に、
祝電を送った人が、何人もいます。

ここで、統一教会の本国、韓国では別姓だというのに、
どうして日本ではだめなのかという疑問が、わくかもしれないです。
わたしにも、よくわからないですが、
韓国の別姓は、儒教思想由来の、男権的な家族思想だからよくて、
日本では、女性の自由と権利のためだから、
家族破壊となるので認められない、というあたりで、
納得しているのかもしれないです。


おはずかしながら、わたしは、統一教会は非政治的であり、
政治家との直接のつながりはないと、ずっと思っていました。
自民党PTが、なにをしているかも知っていましたが、
統一教会が、直接には、後押ししているのではないと思っていました。

バックラッシュどもが、機関紙『世界日報』に寄稿するのも、
自分たちの主張をよく載せてくれるからで、
信者というのではないと、思っていましたし、
『世界日報』のほうも、さかんに寄稿してくれるから、
彼らを取り上げる、くらいに思っていました。

『ジェンダーフリー・性教育バッシング』という本や、
「カルト被害を考える会」というサイトを見ると、
統一教会は、多分にオピニオンリーダー的であり、
ある種の人たちには、すでによく知られていることのようです。
神道政治連盟よりは、知名度がありそうです。
統一教会を知らなくて、神政連だけ知っていた、わたしは、
やはり興味が偏っていて、ひねくれものなのねと、思ってしまいましたよ。

参考文献・資料

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