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民法改正運動の展開 - 2002年前半(1)
法案の成否をわけそう?

「例外制」法案が出てきたことで、
頑迷な反対派たちから譲歩を引き出す可能性が、
また見えてきた(と思った)からでしょうか?
推進派の議論や活動が、ふたたび活発になってきたのでした。
議員や市民活動家たちの集会も、さかんに開かれるようになりました。

その集会のひとつに「民法の一部改正
(選択的夫婦別姓制度の取扱)をめぐる議論に関する報告会」
というのがありました。
場所は、参議院議員会館で、2002年4月23日に行なわれています。
自民党(与党)の推進派(与党女性議員政策提言協議会、女提協)
の集会で、もちろん野田聖子代議士が、中心となっているものです。
 
 
この集会に、一般の参加を呼びかける案内が、
ネットのあちこちの掲示板に、投稿されていたのでした。
ほとんど同じ内容の文章でマルチポストです。
そのうちのひとつが、この記事なのですが...
「この集会の盛り上がりが、法案の成否を分けそうです。」
というのは、いったいなんなのだ!?

頑迷きわまりない、反対派議員たちの前に、
法案提出の見通しなんて、ぜんぜん立っていないはずでは!?
わたしは、むしろ、「例外制」に「撤退の序曲」を感じたし、
成否をわけそうなんて、瀬戸ぎわにいるとは思えないです。

こうした予想は、この時点では突飛だということもないですよ。
さきの掲示板の管理者のかたも、すぐに出てきて、
「『この集会の盛り上がりが、法案の成否を分けそうです』
 などという認識はもってはおりません。」と、レスをしています

「法案の成否をわけそう」という情報を流して、
この集会への参加をうながしたのは、
投稿にはってあるリンクさきを、ご覧になればわかるように、
例のインターネットの市民団体です。

この市民団体のメンバーで、
非公式に、集会への参加を呼びかけているかたもいます。
これを見ると、どうやら「法案の成否をわけそう」というのも、
それなりに信用しているもののようです。
http://www.taetika.com/hakka/onegai.html
 
 
この4月23日の集会とは、いったいどんなものだったのか?
この非公式な呼びかけをされたメンバーが参加していて、
そのときのレポートを書いています。
これを見れば、ある程度集会のようすを、
思い浮かべることができそうです。
(とても優等生チックなレポートだというのが、たんぽぽの印象だけど...)
http://www.taetika.com/hakka/m7_01.html

要約すると、集会は平日にもかかわず満員御礼、
テレビカメラも詰めかけるほど注目されていて、
参加したかたたちは、予想以上の熱意に包まれていたのだそうです。
また反対派の抵抗も、それ以上にすさまじかったとあります。

そして、自民党にも賛成の議員はたくさんいて、
それを年齢や性別にとらわれずに見極めること、
議員さんにお願いをするのは特別なことでなく、
別姓が必要なんだという、自分の気持ちを伝えることが大切なのだ、
という思いを新たにして、家に帰ってきたみたいです。
 
 
市民団体の代表世話人のかたも、
もちろん集会に参加していまして、その報告がここにあります。
「予想以上の与党議員の熱意を知って、意を強くした集会」だったそうです。
http://www2.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=141423&log=20020425
 
ようするに、レポートのかたと、代表世話人のかたとは、
基本的におなじ意見というわけです。
(4月30日の日記で、「ぜひ、ご一読を!」なんて絶賛されていますしね...)
ちなみに、代表世話人のかたの日記は、4月24日からはじまっています。
この集会に触発されたのも、あるのでしょうか?

あちこちの掲示板で、さかんに触れ回られていただけあって、
この集会に行ってきた市民団体のメンバーは、
ほかにもたくさんいました。

案内にあるように、集会は平日の午後3時からです。
参加したかたは、ほとんどがお仕事を休んでいることになります。
また参加できないかたは、電報やFAXを送ってくださいとありますが、
本当に電報を送ったかたも、たくさんいたのでした。
これらからも、ネットの市民団体が、
この集会に熱心だったことは、うかがえることと思います。

彼女たちの集まるネットの掲示板では、
集会の前後数日のあいだは、この話題がなされていました。
(電報の送りかたも、掲示板で話されていた。)
これら掲示板で発言していたかたたちも、
この集会に対する見解や印象は、代表世話人や、
さきのレポートのかたと、だいたいおなじです。
みなさん、民法改正のために、大いなる貢献をしたような
気分に浸っていたもののようでした。

「別姓の必要性が、議員さんたちに伝えられた。」
「だまっていないで、現実に行動することが大事だと実感した。」などなど、
集会に参加したことで、それまでの自分たちの意識を、
いよいよ強めていったみたいです。
「法案の成否をわけそう」も、疑問視する意見なんて、
ちっとも出てこなかったのは、言うまでもないでしょうね。


ところで、この手の集会に出てくる議員は、
顔ぶれがだいたい決まっています。
彼らは、いまさらなにも言われなくても、
選択別姓の実現の必要性は、じゅうぶんわかっているし、
すでに熱心に活動しているかたたちばかりです。
そして、なぜか、市民団体の人たちは、
すでに伝わりきっている人たちにばかり訴えて、
自分たちの必要性が伝わったと、満足しているような感じです。

本当に必要性を伝えるべきは、こうした集会に出てこない人たちでしょう。
しかし、これらの人たちは、参加しないゆえに
あいかわらず伝わらないままでいます。

このあたりの状況は、つぎのひとことが、当たっているかもしれないです。
http://sea.ap.teacup.com/eighsaqu/34.html
========
関心がある人だけの集会でテキトーな三文芝居を上演して
「集会は成功」とか自己満足していたような、
========

わたしの知り合いで、この集会に行ってきたかたもおりまして、
たんぽぽは、そちらからも、お話をうかがっているのでした。
(市民団体の人たちが、掲示板であまりにさわぐので、
どんな集会なのかと、見てみることにしたそうです。)

参加議員は14人だったのですが、議題の中身は、
いままでのくりかえし、とくに新しい内容はなかったのでした。
つぎの日(24日)の新聞には、この集会のことは、
ほとんど取り上げられず、一般のセンセーションも、
やはりたいしたことないようだと、見ていました。
(さきのレポートには、「テレビカメラも何台か見えます」
とあるけれど、テレビはどうだったのかな?)


そもそも、選択別姓のプロジェクトを進めている協議会の、
自民党内での影響力なんて、たいしたことないというお話です。
(のちの太田議員の「レイプは元気」発言に対する、
超党派の議連の抗議に、与党議員は加わらなかったこともあるし、
まことに失礼ながら、あながち偏った評価でもなさそうです...)

この集会は、与党主催のもので、市民団体の主催ではないので、
自民党の推進派議員たちが、有権者や支持者に対して
「わたしたちは、選択別姓のためにちゃんと働いていますよ」と
示すための、いわば「ガス抜き」ではないかと、推測していました。
この程度の集会のために、お仕事を休んで出てきたり、
電報まで送った人までいたことに、閉口していましたよ。

(この評価は、さすがにちと辛いかな? という気もしないでもないです。
直接参加していない、わたしが判断するのも、はばかられますが...)

それでは、そういうたんぽぽは、くだんの集会の目的は
なんだと思っているのだ、となると思います。
おそらく、これは、頑迷きわまりない反対派対策の
ひとつではないかと、わたしは見ています。

選択別姓の支持者たちは、これだけたくさんいて、
かくも真摯である、ということをしめしてあげれば、
党内の反対派議員たちも、必要性をいくらかは納得するのではないかと、
推進派議員たちは、考えたのかもしれないです。
なので、参加した議員たちのあいだでは、
それ相応の熱意も、たしかにあったのだろうと思います。

また、このために、市民団体の人たちに、重要な集会であるように、
触れまわったことも、考えられそうです。
(わたしのお知り合いのかたは、詰めかけた市民団体のほうが、
「自分たちにはこれだけ支持者がいるんですよ」と
思わせるために、自民党の推進派グループに
利用されているとも、邪推していました。
うがった見かたとも言えますが、一面の事実もあるかもしれないです。)


なんにしても、選択別姓の実現を望む、熱心なかたたちを、
いくらたくさん見たところで、考えをあらためる反対派たちでは、
ぜんぜんないだろうと思います。
すくなくとも、この集会が、「法案の成否をわけそう」
なんてことがないのは、まちがいないでしょう。

しかし、市民団体のかたたちは、たとえば、
盛り上がってあたりまえの集会だ、のようなことは、
すこしも思っていないようです。
ましてや、自分たちのほうが利用されている、のような可能性は、
まったく想像さえしていないみたいです。
彼女たちのフィーバーぶり、自分たちに対する無批判ぶりには、
わたしも、しばしへきえきしましたよ。

(それで、結局どうだったのか、
やはり「法案の成否をわけそう」だったのかを、
早く知りたいかたは、こちらをご覧ください。)

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