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9.11同時テロ自作自演説
同時テロについての国際世論調査

9.11テロの主犯はだれ?

世界各国では、同時多発テロの自作自演説は、
どのくらい信じられているのでしょうか?
あるいは、アルカイダでも、合衆国政府でないとしたら、
だれがテロの真犯人と、思われているのでしょうか?

2008年9月11日、同時テロが起きてから7年目ですが、
合衆国メリーランド大学の関連機関である、各国研究センターの
合同プロジェクト「WorldPublicOpinion.org」が、
9.11同時テロの黒幕はだれか、という国際世論調査を行ないました。
「米同時多発攻撃の黒幕、世論一致せず=17カ国調査」
「No Consensus On Who Was Behind 9/11」
「Worldwide opinion differs on who carried out the September 11th attacks」


回答は自由形式で、選択肢を選ぶ形式ではないです。
結果は、「アルカイダ」「合衆国政府」「イスラエル」
「その他」「わからない」に、回答を分類しています。
「イスラム原理主義」「ビンラディン」は、「アルカイダ」に、
「アラブ」「サウジアラビア」「エジプト」などは、
「その他」に入れてあります。

対象国は、アメリカ合衆国を含まない、17カ国となっています。
日本は、残念ながら(?)、入っていないです。
これによると、調査対象国全部の中では、
「アルカイダ」が主犯と答えたのは、全体の46%でした。
「合衆国政府」が黒幕というのが15%、「イスラエル」が7%、
「その他」が7%で、「わからない」が25%でした。

「合衆国政府」と答えたのは、「自作自演」になると思いますが、
15%を多いと見るか、すくないと見るかは、意見がわかれそうです。
「オリコン」のアンケートによると、「アポロ計画で
人類は月着陸しなかった」と答えたかたが、18.5%でした。
この数字から考えると、自作自演説の信者が15%、
イスラエルを加えても22%というのは、案外すくないのかもしれないです。

9.11同時テロの真犯人はだれだと思いますか?
(回答は自由形式で、選択式ではない。)
"Al Qaeda"=「アルカイダ」、"US govt"=「合衆国政府」、
"Israel"=「イスラエル」、"Other"=「その他」、"DK"=「わからない」


WPOのオリジナルの記事、および、『エコノミスト』の記事を見ると、
調査した国ごとにわけた結果が、しめされています。
もちろん国によって、ばらつきが大きくなっています。

「合衆国政府」すなわち、自作自演とお答えしたのは、
パレスチナ人自治区では、27%でした。
これより割合が高いのは、トルコ(36%)と、メキシコ(30%)とです。
トルコは、もともと反米感情が強い国なので、
「合衆国政府」の割合が高くなるのでしょう。

メキシコは、1846-48年にアメリカと戦争をして、
カリフォルニアやテキサスなど、広大な領土を失なっています。
現在も、アメリカへの不法移民が、顕著になっていますが、
その原因である農民の貧困は、アメリカによる
自由貿易協定の押し付けという意識があるそうです。
これらから、メキシコでも反米感情は高いと考えられます。


「イスラエル」と答えた割合が高いのは、
エジプト(43%)と、ヨルダン(31%)で、
パレスチナ人自治区(19%)が、これらに続いています。
アラブの国では、テロ発生当初から「われわれをおとしいれる、
イスラエルの陰謀に違いない」と言う人がいたくらいですし、
イスラエルに対する反感が現れているのだろうと思います。

これに対して、トルコは「合衆国政府」の割合が
高かったのですが、親イスラエル国のためか、
「イスラエル」は3%と、きわめてすくなくなっています。

「わからない」が多いので、中国(56%)と、
インドネシア(57%)で、どちらも半分を超えています。
はっきりとはわからないですが、これらの国では、
同時テロ自体に、あまり関心がないのかもしれないです。

「アルカイダ」と答えた割合は、アフリカの2国、
ナイジェリア(71%)とケニア(77%)が高くなっています。
ナイジェリアも、イスラム教徒は多いのですが、
それよりも、これらの国は、アフリカの南南格差にともなう
反アラブ感情によるものかもしれないです。


これらの調査結果は、それぞれの国における、
アメリカ合衆国や、イスラエル、アラブへの好感や反感、
テロ自体への関心の有無が、反映していると見てよさそうです。
陰謀論を信じる精神構造は、しょせん感情的なものだという、
ある意味あたりまえの結果が出たことになります。

同時テロの真相は、ひととおりしかないですから、
これだけ結果がゆらぐのは、冷静な状況分析や情報収拾よりも、
感情的バイアスが、判断に強く左右されることにもなります。
べつのある意味で、とても困ったことでもあります。

謝辞
このページでお話した分析は、わたしのブログにご意見をくださった
くりずさまのコメントを、多く参考にしています。
情報提供、まことにありがとうございました。

参考文献、資料

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