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9.11同時テロ自作自演説
9.11同時テロ自作自演説とは?

9.11同時テロ陰謀論
2001年9月11日、ご存知のように、アメリカ合衆国で、
ウサマ・ビン・ラディン率いる、イスラム原理主義グループ、
「アルカイダ・ネットワーク」による、同時テロが起きました。
民間の飛行機を乗っ取って、世界貿易センター(WTC)ビルなど、
主要な建物に飛び込むもので、至上空前のテロとなったのでした。

ところで、この同時テロ、「アメリカ合衆国政府が
引き起こした陰謀だ」、などと主張する人たちがいるのです。
彼らに言わせると、アルカイダが主犯ではなく、
ブッシュ大統領をはじめ、アメリカ合衆国の政府や軍、
諜報機関などによる、壮大な「自作自演」なのだそうです。
あるいは、イスラエルや、「ユダヤ権力」が関与しているのだと、
「ユダヤ陰謀論」を主張する人たちもいます。

こうした人たちは、ハイジャックされた民間機ではなく、
アメリカの軍用機が、ビルに飛び込んだと主張します。
あるいは、飛行機を突入させたのではなく、
爆弾を仕掛けてビルを破壊した、などと言う人もいます。
さらには、その爆弾は「純粋水爆」という、常温核融合で着火する
核兵器が使われた、などと言う人たちもいます。

ほかには、ハイジャック機がビルに突入したことや、
アルカイダ・ネットワークの犯行は認めているものの、
ビン・ラディンは、ブッシュ大統領と取り引きしていたとか、
あるいは、ブッシュ大統領は、テロを起きるのを知っていて、
わざと見のがした、などと言う人たちもいたりします。


これらが本当なら、相当におどろおどろしたお話ですが、
もちろん、こんなことは、まったくないですよ。
9.11同時多発テロは、まちがいなくアルカイダが主犯です。

爆弾で破壊されたのでも、軍用機が使われたのでもなく、
民間の航空機が乗っ取られて、ビルに飛び込んでいます。
合衆国政府が、テロを未然に防げなかったのは、
まったくの過失によるもので、裏の仕立て人でもないし、
アルカイダと、取り引きがあったのではないです。

「陰謀論」に対する検証は、すでにいくつもなされています。
気になるかたは、こちらの資料をご覧になるとよいでしょう。

対費用効果に見合わない自作自演
こうした「自作自演説」が、根拠がきわめてとぼしいとわかる、
簡単な理由として、かかるコストに比べて得るものが少なすぎて、
見合わないという、「対費用効果」があります。
「費用」とは、お金だけでなく、時間や人的資源、
情報の管理など、ありとあらゆるコストをふくみます。

日本の信者がよく持ち出す、自作自演をした「理由」として、
戦争をしかける口実を作りたい、というものがあります。
しかし、そのような目的であれば、飛行機で飛び込むのは、
どこか1か所でじゅうぶんなはずです。
莫大な犠牲を払って、わざわざ3か所も4か所も
飛行機で飛び込ませる必要などないでしょう。

その前に、飛行機でビルに飛び込むこと自体、荒唐無稽です。
「口実」ですから、もっと被害の小さいささいな事故を起こして、
深刻なテロが起きたかのように騒いだほうが、ずっと得策です。

たとえば、満州事件の引き金となった、
日本軍による、南満州鉄道爆破事件(柳条湖事件)は、
奉天の中心から北に7.5kmという、人里離れたところで起きています。
また爆破事件のあとに、急行列車が通過したくらい、
小規模な爆発だったとも、言われています。


大都会の真ん中にある超高層ビルを破壊するために
爆弾をしかけるには、機材を運びこんでセットするために、
たくさんの人と何週間もの時間が必要になります。
これらを、ビルで生活している人たちに、
一切知られないよう、実行する必要があります。

同時テロは、大勢の人たちが見ているところで、なされています。
実際、航空機が飛び込んだという、目撃証言もたくさんあります。
ほかにも、事故のあとしまつにあたった、消防士をはじめ、
たくさんの人たちが、救助や復旧作業にあたっています。
これらの人たちを、どうやってごまかすのでしょうか?

同時多発テロは、準備段階においても、あとの始末の段階でも、
口裏をあわせるか、だますべき人たちが、大勢いることになります。
これだけいれば、だれかが良心の呵責にさいなまれそうですし、
どこかしらから、情報がもれているところでしょう。

蔓延する陰謀論
一般に、「陰謀論」を信じるメンタリティは、
自分の持つ不満を、なにかに転嫁して解消することにあります。
したがって、日本で「自作自演説」を信じているかたは、
反米感情の強い人が多くなりがちです。

また「テロとの戦い」という名目で、合衆国のブッシュ政権は、
アフガニスタン攻撃や、イラク戦争をはじめていますから、
反戦・平和活動に関わる人にも、多く見られます。

さらに、イスラエルのしわざだったという、
ユダヤ陰謀論もあるので、「ホロコーストなかった」と信じている、
歴史修正主義者も、自作自演説を唱えることがあります。
9.11自作自演説も、歴史の捏造のうちですから、
手法がおなじという点でも、相性がよいことになります。


また、「陰謀論」を信奉する人たちは、
ものごとを「単純化」するのが、お好きでもあります。
「アメリカの戦争目的は利権であり、そのために石油の多い
中東を攻撃したくて、同時テロを自作自演したのだ」という、
単純明解な「説明」が、あまたの中に入りやすいみたいです。

現在の戦争の原因は複雑ゆえに、おうおうにして、
単純な説明を求めたがるというのが、一般的傾向のようです。
「陰謀論者」たちも、ご多聞にもれず、複雑なアメリカ社会や、
イスラムの現状分析や、国際情勢の解析はお気に召さないようです。

歴史的な重大事件が、単純な原理で起きるのはまれで、
たいていは、いくつもの要素や背景が、複雑にからみあうのは、
これをご覧のあなたでしたら、言うまでもないでしょう。
ところが、「世界は本当は単純なのに、複雑だと言うのは、
真相を知られたくない人たちの陰謀だ」などと言い出す
「陰謀論者」もいるので、もう救いようがありません。


陰謀論者たちが求めているのは、「事実」ではなく、
「精神安定剤(トランキライザー)」なのだと思います。
お手軽に「世界の秘密」を知って、自分の不満を
スケープゴートに転嫁して、しかも意識が高い気分になれるのが、
とても気持ちがいいのでしょう。

「トランキライザー」の対価は、同時テロの犠牲者の苦痛や、
事件の解明や分析を続ける人の努力です。
「他人の苦しみで、自分の安楽を得る」、
これこそ、陰謀論者のやっていることなのだと思います。

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