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TBSの731部隊特集(1)
ことのはじまり
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2006年7月21日、TBSのニュース番組『イブニング・ファイブ』で、
太平洋戦争中に活躍した、旧日本軍の生物・化学兵器部隊である、
「731部隊」に関する特集がありました。
そのとき、安倍晋三官房長官(当時)の顔写真を
貼ったパネルが、すこし映るシーンがありました。

つぎの『ZAKZAK』の記事が、その映像の様子を伝えていると思います。
「TBS“偏向映像”放映…今度は安倍を狙い撃ち 」
http://www.zakzak.co.jp/gei/2006_07/g2006072605.html

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TBSのニュース番組「イブニング・ファイブ」が
今月21日に放映した旧日本軍731部隊に関する
特集コーナーの冒頭、ニュース内容とはまったく無関係の
安倍晋三官房長官(51)の顔写真が約3秒間も
放映されていたことが分かった。

注目の特集は、旧日本軍で生物・化学戦研究を行ったとされる
悪名高き731部隊の隊長だった石井四郎軍医中将が、
日本に上陸する米軍を細菌兵器で攻撃しようと
していたことを報じる内容。

冒頭、番組キャスターが報道内容のあらましを紹介した後、
カメラがTBS社内にある小道具部屋を伝って
電話取材中の記者に迫る途中、山積された小道具の一角に置かれた
安倍氏の顔写真が約3秒間もハッキリと映っているのだ。

このカメラが記者にたどり着くまでは約5秒。
印象的な速いコマ送りで放映されたが、安倍氏の顔写真が
画面中央に映ったときには、記者が「ゲリラ活動?」という声をあげ、
そのテロップが安倍氏の顔写真の下に重なるおまけも。

さらに、安倍氏の顔写真のすぐ横には、耐震強度偽装事件で
詐欺罪で起訴されたヒューザー元社長の小嶋進被告の
顔写真が張られた小道具も置かれていたのだ。

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わたしも、『YouTube』に、アップロードされていたのを
見たのですが(いまは削除されている)、雑然とものの置かれた
小道具部屋から、カメラがあわただしく動いて、
小道具部屋の外に出て、曇りガラス越しに
電話をかけているスタッフを映す、というシーンでした。

写真を貼ったパネルが、置かれているのはわかりますが、
カメラの動きが早いので、写真に写っているのが、
安倍晋三氏であることは、注意して見ていないと、
わからない人も多いだろうと思います。

写真パネルは、単に小道具部屋の小道具というだけで、
番組の内容とはぜんぜん関係ない、ただの背景だろうと思いました。
写真が安倍晋三氏だったのは、そのころの話題の人で、
メディアに登場する回数も多かったから、というだけでしょう。

TBSの釈明によると、小道具部屋に、安倍氏の写真があったのは、
まったくの偶然だとのことです。 
http://www.zakzak.co.jp/gei/2006_07/g2006072605.html
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VTRの冒頭での記者による電話インタビューの様子を、
報道局内にあるアナウンサーブース兼小道具部屋の
ガラス越しに撮影いたしました。 
その際、たまたま置いてあった小道具の顔写真の
ボードの一部が映り込んだものです。
従いまして、何の意図もありませんし、
ミスでもありませんし、全くの偶然であります。
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ところが、安倍晋三官房長官、くだんのビデオに、
えらく感情を害したようで、こんなコメントをしたのです。
「安倍「意図的なら…」…総務省「TBSから事情聴く」」
http://www.zakzak.co.jp/gei/2006_07/g2006072616.html
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「私もその(ニュース番組が録画された)ビデオを見た。
ちょっと驚いた。
もし、意図的になされたものであるとすると、恐ろしいことだと思う。
また、私の政治生命を傷つけようということであれば、
それは大変、大きな問題だ」と不快感を示した。
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731部隊は、悪名高い残虐行為がありましたし、
あまり気持ちのよい映像ではないだろうと思います。
見かたによっては、ある種の皮肉に取れるかもしれないです。
それでも、あとでお話するように、総務省が乗り出すことではなく、
「昔なら番記者を呼んで『あれはない。何か悪意でもあるの?』
『頼むよ。気をつけてよ』で済んだ話」でした。(06年9月23日 東京新聞)

実際、安倍晋三氏の、メディアに対する、
神経のとがらせかたは、かなりのものとなっています。
安倍晋三氏は、2001年に、NHKに圧力をかけて番組内容を
改変させているのは有名なお話ですが、とくに2003年9月の、
党幹事長就任以来、メディアへの介入が目立つようになりました。

そして、メディアもそれに押されるので、
ますますこの傾向に拍車がかかるのでしょう。
安倍氏にはもともと、ジャーナリズムが権力から独立し、
権力を監視するという認識がないのだろうと言われています。

ところで、TBSの731部隊の映像についてさわいだのは、
安倍氏本人だけではなかったのです。
安倍晋三氏の信奉者たちまでも、これは偶然ではありえず、
政治的な意図があると言いだすしまつです。
http://www.zakzak.co.jp/gei/2006_07/g2006072605.html
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メディア批評で知られる作家の麻生千晶氏も
「夕方のニュースは時間が詰まっていて、何の意味もない映像を
オンエアするとは考えられず、意図的にやっている」と分析。
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政治評論家の屋山太郎氏はこう言い切る。
「旧日本軍による残虐の象徴として731部隊をニュースで扱っているときに、
何の関係もない安倍氏の顔写真を映すなど考えられない。
いまは総裁選の最中であり、安倍氏は最も本命といわれる人物。
いくらTBSが『偶然だ』と言い張っても、言い張れるものではない」
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どうしてここまで過敏になるのか、わたしにはわからないのですが、
この事件は、総務省地上放送課が、調査に乗り出すことになりました。
結局「放送番組の適正な編集を図る上で遺漏があった」として、
TBSに対して厳重注意の、行政指導がくだることになりました。
「TBS:総務省、報道番組の安倍長官写真問題で行政指導」

総務省によると、放送法3条3項に違反するとあります。
つぎのような条文ですが、さきの顔写真パネルの映像が、
どう違反しているのか、わたしには、よくわからなかったです。
http://www.houko.com/00/01/S25/132.HTM#s1-2
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第3条の3 放送事業者は、放送番組の種別及び
放送の対象とする者に応じて放送番組の編集の基準
(以下「番組基準」という。)を定め、
これに従つて放送番組の編集をしなければならない。

2 放送事業者は、国内放送について前項の規定により
番組基準を定めた場合には、総務省令で定めるところにより、
これを公表しなければならない。これを変更した場合も、同様とする。
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それでも、これで解決がなされた雰囲気になったようで、
顔写真パネルのさわぎは、収拾がついた感じになっていきました。

参考文献、資料
  • 東京新聞 2006年9月23日
    「安倍新政権にメディア戦々恐々?」

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