福沢諭吉。
『学問のすゝめ』を書き、慶応義塾大学を建てたかたです。
この福沢諭吉ですが、結婚後の苗字について、
夫婦新姓を提案したことがあるのは、ご存知でしょうか?
『新婦人論』の中で、「畠山と梶原が結婚すれば、
山原という新しい家庭を作ればよい」と、書いていました。
ようするに、「畠山」の「山」と、梶原の「原」を取って、
これらをつないで「山原」ですが、両方の苗字から1字ずつ取って、
新しい苗字を作ればよいというわけです。
明治初期のころは、平民全員が苗字を名乗るようになり、
富国強兵策のため、新しい戸籍制度が施行されはじめました。
これにともなって、家族制度をどうするかという
民法典論争がさかんになされていたのですが、
結婚後の女性の苗字の扱いについても、夫の苗字と生来の苗字の、
どちらを名乗るのかで、議論になっていました。
福沢諭吉の案も、この一連の議論の中で出て来たのでしょう。
妻は夫の身分にしたがうのが、当然とされていた時代にあって、
ふたりから1字ずつ公平に取って、新しい苗字にするとか、
「新しい家庭を作る」という考えは、当時としてはかなり斬新で、
自由な発想だったのではないかと思います。
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