トップページ「民法改正の関連トピック」

「消えた年金」と結婚改姓

消えた年金と改姓

2007年は、「消えた年金記録」で、大騒ぎになりました。
払われた年金そのものはあるので、だれが納めたのか、
その記録がなくなっている、というほうがより正確です。

苦労して納めた年金がなくなって、肝心のときに
もらえないとあれば、これが深刻でないはずがありません。
もともと年金に対する不信感は、蔓延していましたし、
それがあおられるかたちになったのでしょう。
社会保険庁のていたらくも、だいぶ前から言われていましたが、
とうとうここまできたか、という感じです。

この「消えた年金」は、民主党の長妻昭議員が、
かねてから調査を続けていたのですが、6月ごろから、
世間一般のあいだでも知られるようになります。
これ以降、年金のことを長らく放置してきた、
安倍政権への批判が、加速度的に強まることになります。
7月29日の参院総選挙では、自民党は記録的な大敗を喫し、
参院の第1党を、民主党に明けわたすことになりました。


ところで、年金を納めたというデータが、
消えている可能性が高いのは、どんなかただと思いますか?
『オーマイ・ニュース』の、山崎元氏という
経済評論家によるコラムで、すこしだけ出ています。
「山崎元の経済用語の新常識(39)〜山崎元コラム〜」
http://www.ohmynews.co.jp/news/20070528/11561
========
5000万件とは国民年金と厚生年金の年金記録で、
対象者が分からないものの合計だという。
例えば過去に年金保険料を納めていたが、結婚による改姓を期に、
本人の届けの誤りや社会保険庁の事務ミスなどの理由で
この記録と本人との結びつきが切れてしまったような事例が、
多数あるということだ。
========

なんと結婚によって、苗字を変えたかた(!)だそうですよ。
言うまでもなく、名前が異なるので、同一人物の判定が難しくなり、
だれが払ったかわからなくなるためです。

結婚改姓にともなって、同一人物性が証明できなくなり、
「名寄せ」(銀行口座などの名義が、いくつかに分散しているものを、
ひとつにまとめること)の作業に支障をきたす、
といったことは、かねてから言われていたのですが、
ここまで見事に直撃するとは、わたしも思っていなかったです。

結婚したら苗字を変えることが多い、というか大部分ですし、
被害にあわれたかたは、そこら中にいるはずです。
本当ならこれを契機に、結婚改姓に対する
疑問や批判が強まることも、あってもよいのだと思います。
ところが、「消えた年金」自体は、猛烈な批判があったのですが、
こうした方面からの議論は、残念ながらほとんどなかったのでした。

「民法改正の関連トピック」にもどる
トップにもどる


inserted by FC2 system