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ハーグ条約・共同親権と拉致問題

日本右翼のアメリカ旅行

日本は国際離婚についてのルールを定めた
ハーグ条約への批准を、いまもってしていないのでした。
これは、日本の民法で共同親権が認められていないなど、
国内法の不備が大きな原因になっています。

このため、国際結婚が破綻したとき、日本人親による
子どもの連れ去りが、国際的に深刻な問題になっています。
諸外国からも、日本は一刻も早くハーグ条約に
批准するよう、強い要望が相次いでいます。


日本のハーグ条約批准が、いっこうに進まない中、
アメリカやカナダは、ハーグ条約問題と、
北朝鮮による拉致問題を、平行して解決することを主張してきました。

「米が日本にハーグ条約加盟迫る 「拉致問題支援に悪影響」」
「北朝鮮包囲網、ハーグ条約が壁? 日加首脳会談」

日本政府のハーグ条約に関する対応が
あまりに鈍いので、業を煮やしたのかもしれないです。
日本にとって大切と考えられる、拉致問題を持ち出すことで、
子どもの連れ去りも深刻であることを訴え、
日本政府に解決をうながそうというのでしょう。

これにより、日本はハーグ条約に積極的に取り組まないと、
拉致問題に関して、アメリカやカナダなどの協力を
得られないことになるでしょう。

産経の記事を見ると、政府・与党の中には、
「ハーグ条約を放置すれば、北朝鮮非難を訴える
日本への理解も低下する」という声が出ているとあります。
多少は受け止めている人もいるようです。

こうなると、日本で拉致問題を専門に考えている人たちは、
ハーグ条約や共同親権のことを、
どう考えているのかと思うところです。

2012年の5月6日から1週間をかけて、
家族会や、救う会、拉致議連の人たちが共同で、
拉致問題の解決のために訪米団を派遣したのでした。
ワシントンで彼らと面会したキャンベル務次官補は、
当然ここでも、ハーグ条約・共同親権問題の解決を
平行して行なうことを提示してきました。

「「子の連れ去りと同一視」=米高官発言に抗議ー拉致家族会」
「拉致:米国務次官補ハーグ条約問題持ち出す 家族会会談で」

ところが、日本の訪米団はというと、
「親権は夫婦間の問題だが、拉致は国家的な犯罪だ。
重ねることは容認できない」とか、「このような姿勢では
米国が拉致問題を軽視しているとしか思えない」
などと言って、にべもなく拒否をしたのでした。


ようするに、彼らはハーグ条約や、共同親権のことなど
興味がないのだろうと思います。
日本では家族の問題は、往々にして軽視されがちです。
拉致問題関係者のような「国士さま」たちにとっては、
なおさら「小さな問題」ではないかと想像します。

拉致問題と子の連れ去りを重ねる
アメリカの言い分には、議論の余地はあると思うし、
実際、問題の性質の違いはあるとは思います。
しかしそれは、アメリカにとっては、
北朝鮮の拉致とおなじくらい、子どもの連れ去りは深刻だ
ということをしめしているわけです。

実際、アメリカでは(というか外国では)、
子どもの連れ去りは刑事上の犯罪になります。
家族問題に関する、アメリカと日本のカチカンの違いを
はっきりしめされたとも言えるでしょう。


それにしても、日本の訪米団の態度はつまるところ、
「俺たちはお前らに協力はしないが、
お前らは俺たちに協力しろ」ということになります。
こんな態度でなにが解決できると言うのでしょうか。

こういうときは「リップサービス」であっても、
「ハーグ条約についても全力で取り組みます」と、
言いそうに思うのですが、その程度のこともしないのです。
外交姿勢としても、とんでもないと言えるでしょう。
彼らがいかに独善的であるかが、はっきりしめされたと思います。

アメリカやカナダが拉致問題の解決と平行して、
共同親権問題の解決をすることを、提示してきたとき、
ハーグ条約や共同親権が、ミギミギしい課題となるのかと、
わたしはちょっと思ったのでした。
今回の拉致問題の訪米団の態度を見るかぎり、
そうしたことはなさそうです。

ハーグ条約に日本でもっとも強く反対しているのは、
じつは女権団体で、日弁連もその影響を強く受けています。
そのため、ハーグ条約や共同親権を推進する声は、
反フェミニズムに傾倒しやすくなります。

拉致問題に関心のある国粋主義者たちは、
一般にフェミニズムとは相性が悪いでしょう。
したがって、彼らが共同親権の推進派と共闘することは、
あながち不可能でもないのかもしれないですが、
実際には、手を結ぶことはないようです。


拉致問題の関係者たちが、ハーグ条約や
共同親権の解決に乗り出さない理由は、
第一には前にお話したように、彼らは家族問題のような
「ちまちましたこと」には興味がないからと思います。

そのほかに、家族観の相違もあるかもしれないです。
拉致問題の関係者のような、ミギ側の人たちは、
高度経済成長期の標準家族を、「理想の家族」として
信奉していると思います。
共同親権は「理想の家族」の構造の中に、
含まれないですから、冷たくあしらうのかもしれないです。

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