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アメリカ合衆国の現在
第三次フェミニズムと結婚後の苗字

アメリカ合衆国における、夫婦別姓導入の運動は、
1970年代の「名前闘争」と呼ばれるものでした。
70年代の終わりごろには収拾がつき、日本に先んずること約30年です。

そのあと、現在はどうなっているのかは、気になるところです。
『(e)merging.』という第三次フェミニズムについて解説したサイトの
第6回に「結婚後の名字を考える意味」というコラムがあります。
これをご覧になると、そのあたりがわかりそうです。
http://www.macska.org/emerging/06-allyn-1.html
http://www.macska.org/emerging/06-allyn-2.html

ここに出てくる2組み4人の男女は、みなフェミニストとされているので、
一般の人たちよりは、結婚後の苗字についても、意識が高いものと思います。
それでも、アメリカの現状を垣間見るには、役に立つでしょう。
日本語のコラムは、2000年に書かれたものですが、
参照している英語の文章は、1995年と1999年になっています。
20世紀の最末期の事情と考えればよいでしょう。


くわしいいきさつは、リンクしたページを、
読んでいただくとして、登場する男女はみんな、
名字を自分のアイデンティティとして、大切なものと考えています。
そして、夫婦のどちらかだけが改姓することは、
不公平であるとも、もちろん思っています。
ところが、夫婦共通の名字を名乗りたい気もちもあって、
夫婦の双方が単純に非改姓も、したくなかったのでした。

これに加えて、音のバランスや、使いやすさまで考えながら、
いろいろと試行錯誤をしていくのですが、
1組み目のカップルは、夫婦の名字をハイフンでつなぐ結合姓を名乗り、
2組み目のカップルは、夫婦のミドルネームを1音節づつ取って
新しい名字を作ることで、落ち着いたのでした。

日本には、戸籍がありますし、音韻の体系も異なりますから、
まったく同じにはいかないところもあるでしょう。
日本人の名字の場合、結合姓はしっくりこなくて、使いにくいと思います。
新姓は、夫婦の名字を、1字ずつ取って作れるので、
音節を取る英語の名字よりは、作りやすいでしょうか。

それでも、これを読んだとき、わたしは、アメリカでの選択の自由は
日本よりずっと上を行っていると、あらためて思いましたよ。
日本の選択別姓導入も、個人の選択の自由や多様性という観点から
議論されてもいるのですが、アメリカ合衆国では、
夫婦別姓を認めるなんて、とっくに終わったお話で、
彼らにとっての「多様性」は、さらに広くなっているようです。


このサイトは、はじめにお話したように、第3次フェミニズムについて、
解説したコラムで、その現状のひとつとして、
結婚後の名字をどうするか、というお話を取り上げています。
くわしいことは、第1回「第3次フェミニズムとは?」を、
ご覧いただくことにして、簡単に言えば、多様性の積極的肯定や、
「自分らしさ」の追求が、大きな特徴となっています。

例に上がっている2組みのカップルも、自分たちにとって
もっともよい選択はなにかを、探っているのであって、
他人が見習うべき規範をしめしているのではないです。
さらに、既存の結婚制度や家族制度に、問題が残っていると
考えてはいるものの、結婚や家族それ自体を
否定しているのではない、という特徴もあるでしょう。

自分はフェミニストではないが、こういう考えかたなら、
自然と受け入れられるというかたも、これをご覧になっている中には、
たくさんいらっしゃるだろうと思います。

参考文献、資料

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