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襲われる女性が悪い?

女性に対する暴力撤廃デー

11月25日は、国際連合の「女性に対する暴力」撤廃デーです。
日本でも11月12から25日を「女性に対する暴力をなくす運動期間」
としていて、女性センターの案内を改めてしたり、
また自治体でも、臨時に窓口を開いたりしています。

この日にちなんで、『アムネスティ・アップデート』という、
アムネスティの日本支部が出しているメールマガジンは、
11月22日号で、とてもショッキングな数字を出しています。
http://blog.mag2.com/m/log/0000209623/109180643.html
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■生涯を通じて少なくとも3人に1人、つまり10億人の女性が殴られたり、
性交を強制されたり、あるいはその他の虐待を受けたりしています。
■殺害された女性の70%は、男性パートナーに殺されています。
■女性の5人に1人は、生涯を通じて強かん、
または強かん未遂の被害者になります。
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これは全世界の平均ですから、女性の人権に対する
意識の高い地域は、ずっとすくないと思われます。
したがって、多いところには、これよりはるかに多くの
女性に対する暴力や強姦が、なされていると考えられます。
日本は開発途上国に比べれば、すくないのだろうと思いますが、
それでもこの数の多さは、身の毛がよだってくるものがあります。


このような記念日があるのは、とりもなおさず、
「女性への暴力は犯罪であり、なくす必要がある」ということが、
じゅうぶん理解されていないからにほかならないです。
実際、現在の日本でも、「殴られたり襲われたりするのは、
そうされる女のほうが悪い、落ち度がある」などと
考えている人は、まだまだいるのではないかと思います。

2008年2月11日に、沖縄県の沖縄市で、在日米軍の海兵隊員による、
女子中学生への暴行事件という、衝撃的な事件がありました。
このとき、産経新聞を中心に、「アメリカ兵に対して無警戒だった
女子中学生が悪い」などと言う人たちがあらわれたのでした。(参考)

さらに少し前の1月20日には、東京フェミニストセラピーセンターの
所長によるDV防止のための講演会が、反対派によって、
圧力をかけられて、中止になったことがありました。
このとき、DV防止法に反対する人たちの中には、
「DVは殴られる女にも落ち度があるはずだ」と言うものもいました。

一般の強盗や殺人であれば、被害者にどんな
「すき」があっても、「強盗におそわれるほうが悪い」とか、
「殺されるほうに落ち度がある」とは、ならないと思います。
ところが、性犯罪を受けた女性になると、被害者に責任があるという考えが、
いまもって蔓延していていて、根の深さを感じます。

性犯罪を受けた女性であっても、ほかの犯罪被害者と同様、
被害者に責任があることは、まったくもってないことです。
その女性が美人であろうと、セクシーなお洋服を着ていようと、
あくまで悪いのはおそうほうです。

つぎのサイトは、セクハラの相談員になったかたが読むための、
マニュアルの一部なのですが、一般のかたが、性犯罪の被害にあった
女性と接するときにも、役に立つのではないかと思います。
わたしが、このページでお話していることが、
わからないというかたは、これもご覧になるとよいでしょう。
http://sunrise.hc.keio.ac.jp/~mariko/feminism/sur_kihon.html


「おそわれる女が悪い」という意識が、蔓延しているからでしょうが、
この手のハラスメントがあると、まわりの人たちは往々にして、
被害者を説得しようとすることがあるようです。
本当に説得する必要のある相手は、加害者なのですから、
「きれいごと」を言いたいなら、加害者に言うことだと思います。

「加害者は立場の強い人間だから、なにも言えない。
それで立場の弱い人にだけ、ものを言うのだ」のような
判断が働くとしたら、それこそもってのほかです。
そういう自己保身が大事なときは、なにも言わないほうがいいでしょう。

面と向かってお話しているのが被害者なので、
そうなりがちというのも、あるのかもしれないです。
それでも当人は、被害者のための親切だと思っているようで、
そうした「説得」が、相手をかえって追い詰めたり、
よけいに傷つけてしまう「セカンドレイプ」にもなりかねない、
ということに、気がつきにくくなっているようです。


さらには、被害者に「落ち度がある」とされたり、
「説得」されたりすることで、加害者が不問となりますから、
自分はとがめられないと思われて、また同じことが
起きるという、悪循環を招くことになります。
こうして、女性に対する暴力は、いつまでもなくらないことになります。

被害者の「説得」は、表面的な「解決」にすぎなくて、
根本的に性犯罪をなくしたければ、加害者を罰しなければならない、
ということも、もっと理解されることだと思います。

参考文献、資料

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