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同棲なんてやめておけ?

同棲はよくない?

なかなかすごい記事があります。
同棲などやめておけと言う脳科学者がいらっしゃるのです。

「「賢い女性なら、同棲なんてするものではない!」と脳科学者」
(はてなブックマーク)

そのロジック展開があまりにばかばかしくて、
しかもエキセントリックなので、はてなブックマークも
批判的なコメントを中心に、たくさん寄せられています。

この脳科学者に言わせると、つぎのような理由で
同棲はよしたほうがいいのだそうです。
結婚は自分の遺伝子を繁栄させるため、と前置きしたうえで、 「男性というのは相手かまわず自分の遺伝子を まき散らしたい生き物です。 ですから、性欲を常に満たすためにも簡単に同棲をしたがる。 でも、女性にとって大事なのは『安定』です。 そんなわけのわからない相手の子どもを つくるリスクなんて負う必要なし!」と断言する。
同棲すると、特定の女性といっしょに過ごすので、 ほかの女性との出会いが減って、「安定」すると思いますよ。 「相手かまわず」に「性欲を常に満たすため」なら、 むしろ同棲などしないように思います。 この脳科学者氏には、「同棲は安易にくっついたり わかれたりできる」という偏見があるのでしょう。 これと「男は性欲を抑えきれないものだ」という 思い込みとが、結びついたものと思います。 ここで、わたしが思ったのは、「男の性欲は本能だから、 性被害にあわないようにするためには、 女性が自衛するしかない」という、被害者落ち度論です。 「女性の自衛」に相当するものが、「同棲するな」というわけです。 同棲がよくないというのなら、男性にも言うべきことでしょう。 ところが、女性にだけ「同棲するな」言って、 男性にはおなじことを言わないところも、 性被害の被害者落ち度論と、似たところがあると思います。 それから、あとのほうでこんなことも言っています。
さらに先生は、「もともと女性は直感的に 人柄を見抜く能力にたけている」と話す。 「長時間一緒にいればより相手のことがわかるかといえば そんなことはありません。自分の感情が加わることで 人間の本質的な部分が歪曲して見えることも大いにあるからです」。 「結婚したいなら、同棲は絶対、短期決戦」と言う。 なぜなら「脳科学的に男が結婚相手に選ぶのは できるだけ若い女」だからだ。
「女性は直感的に人柄を見抜く」わけではないですし、 「男が結婚相手に選ぶのはできるだけ若い女」 ということも決まっていないでしょう。 このあたりは、劣化した「男女脳」という感じです。 また、「長時間一緒にいればより相手のことがわかる」 というのはとうぜんで、どこも間違っていないでしょう。 長くいっしょに暮らすことで、すこしつき合っただけでは わからないことが見えて来るのであり、 同棲が「結婚のお試し期間」と言われるゆえんと思います。 残念なことに、日本社会ではいまもって 同棲は「不道徳なもの」として、避けられる傾向があります。 実際、婚姻届けを出して結婚することが、 男女の「正しい」関係と考えるカチカンが強いですし、 社会保障もそのような前提にもとづいています。 この「同棲なんてするものではない」という記事は、 若い世代の女性に向けられてはいますが、 むしろこのような、同棲に否定的な人たちに、 受けるためのものではないかと思います。 非科学的な内容ですし、そもそもが道徳のお題目を 説いているだけなのですが、説得力を持たせるために、 「脳科学的には」ということばを繰り返して、 「科学的」であるかのように見せているのでしょう。 この脳科学者と称しているかたは、澤口俊之氏ですが、 血液型性格診断を肯定したり、「母性神話」を主張したり、 「親学」を推進したりと、筋金入りのかたのようですよ。

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