さて、世の中には、恋愛相談とか、その前に恋愛なんて、
くだらないとお思いのかたも、たくさんいるのでした。
恋愛とか結婚とか、家族に関係したことは、政治や経済といった、
天下や国家の話題とくらべると、取るに足りないという考えがあります。
これが恋愛相談を、「くだらない」ものとしているのもあるでしょう。
あるいは、学問や芸術といった「高級」なこととくらべると、
恋愛なんて、ずっと俗っぽいことでもあるでしょう。
こんなカチカンも、「くだらなさ」をかもし出していそうです。
そもそも、恋愛相談に寄せられる、質問そのものが、
第三者から見ると「なんでこんなことで悩んでるの?」と
思いたくなるような、くだらないものがあると思います。
実際に当事者になれば、だれしも「こんなこと」で、
悩んでしまうものですし、それは経験があればわかることです。
ところが、「くだらない」という人は、たいてい経験がなかったりするし、
経験がない人にわかってもらうのは、ひどくむずかしいですので、
どうにも手のほどこし用がなかったりします。
「あなたは、本当に人を愛したことがないから、わからないんだ」
とでも言って、お引き取り願うしかなさそうです。
ところで、これをご覧のかたの中には、政治や経済のことは男性的、
恋愛や家族のことは女性的という、ジェンダー色があるので、
そうしたジェンダー・バイアスに逆らいたくて、
恋愛のことを避けたがる、女性のかたもいるかもしれないです。
最初にお話したように、天下国家のことは高級で、
恋愛や家族は低級という、考えかたがあります。
それで、「男性は高級なものが好きで、女性は低級なものが好きだ」と、
言われているようで、そうしたイメージと結び付けられたくなくて、
なおさら遠ざけたくなるむきも、あるかもしれないです。
貴女がそう思うというのなら、それはそれで好みですから、
あえて止めるつもりは、わたしにはないです。
でも、わたしは、前のページでお話したように、
恋愛相談をくだらないとは思わないですし、天下国家の話題と、
おなじくらい大切と考えていますから、ひけめを感じることはないですよ。
それに、「天下国家の話題より、恋愛相談のほうがくだらない」
という「序列」自体が、男性社会が作ったものです。
そうした「男性の基準」に、いちいち合わせてあげる必要はない、
という考えも、わたしにはある、というのもあります。
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