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次世代法1周年にして...

2006年4月で、「次世代法」が施行されて1年になりました。
次世代法(次世代育成支援対策推進法)は、少子化対策として、
お仕事と育児の両立を即すために、企業やお役所に、
なんらかの対策をするよう義務付けたものです。

2006年3月24日の日経新聞に、もうじき1周年ということで、
次世代法についての記事が載せられました。
この記事に、法律の内容について、簡単な解説が述べられているので、
ここに全部書き写しておくことにします。
ご覧のように大企業中心的で、罰則もないですし、
たいしたことないと言ってしまえばそれまでですが。
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次世代育成支援対策推進法(次世代法) 2005年4月施行。
従業員301人以上の企業とすべての自治体に、
仕事と子育てを両立するために行動計画の策定を義務づけた。
それ以下の企業は努力義務にとどまる。 罰則規定はない。

育児休業や育児短時間制度の拡充といった具体策や数値目標など、
企業の実情に応じて必要な内容を盛り込むよう要請。
政府から「子育て支援企業企業」と認定されるには
「男性の育休取得者一人以上」などの基準を満たす必要がある。
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日経の記事は、次世代法が施行から1年で、状況はどうなったかを
書いたもので、具体的な対策をほどこしている企業の様子と、
対策の内容について、いくつか紹介されています。
リードのところを全部写しておきます。
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少子化対策の一環として仕事と育児の両立を支援する
体制づくりを官民が急ぎ始めた。
昨年4月の次世代育成支援対策推進法(次世代法)施行から間もなく1年。
大日本印刷が育児退職者の復職保障性を導入するなど
企業の行動計画が相次いで動き出す。

政府・与党も23日、対策検討の初会合を開いた。
とはいえ、男性の育児休業取得はいっこうに進まず、
国の支援も財源難で力不足。 打開には壁がある。
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また囲み記事で、政府・与党が対策のために、
協議会を開いたことと、その内容が簡単に述べられています。
財源の不足と、男性の育児休暇の取得が進まないことが、
大きなネックとなっているようです。
勤め人の大半をしめる中小企業で、行動計画を立てる
義務がないことも、大きく影響しているでしょう。

育児休暇の取得率の男女差には、わたしもあっけに取られましたよ。
2004年の時点で、女性は70%強ですが、男性はわずか0.44%なのです。
わたしが記事を読み間違えたとか、そういうことはないですよ。
44%でも、4.4%でもないです。 まちがいなくコンマ以下です。

びっくりするほどの低取得率ですが、これを裏付ける事実もあります。
ご自分がお住まいの、自治体の質問コーナーで、
次世代法が施行されてから、男性の育児休業を取る人が
どれだけいるのかお尋ねしたかたがいらっしゃっりました。

つぎのエントリで、そのようすが書かれています。
自治体から回答はありましたが、なんと06年3月現在でゼロですよ。
「市職員男性の育児休業・介護休暇取得率」
http://ameblo.jp/jijitsukon/entry-10010703036.html
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ご質問の男性職員の育児休業、介護休暇の取得率及び日数につきましては、
制度が制定されてから、未だに取得がされていない状況にあります。
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エントリにもあるように、権利を与えられたと考える
男性はほとんどないのでしょうか?
日経新聞によると、つぎのように書かれていますよ。
なんと、キャリアに隙間が空くことを、恐れているようなのです。
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企業の行動計画では男性社員の育児取得者を出すことが必須。
昇進に不利に働く懸念などから取得が進まず、
「企業にとって最大の関門」だ。
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わたしは、またまた、あっけに取られましたよ。
ちょっとキャリアに隙間ができたくらいで、出世が遅れるのではと
心配するというのに、少子化対策の支援というと、
お金のことに偏って、育児休暇のあとの職場への復帰に、
理解がまわらないというのは、どういうことなんでしょう?

そもそも女の人は、これまでずっと、育児休暇を取ってしまったあとは、
出世が遅れるどころか、もとの部署に戻れなかったり、
失職さえ当然のようにさせられてきたのでした。
そこへもってきて、この程度でなにをびくびくしているんだか、
というのが、わたしの率直な感想です。

参考資料
  • 日経新聞 2006年3月24日
    子育て支援 企業急ぐ 復職保障性を導入 ネットで在宅勤務
    囲み記事:政府・与党、支援税制など議論
    財源確保難しく 男性の育休取得進まず

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