トップページ別館ジェンダーの部屋日本だけ特異的な...

日本と韓国が孤立(ジェンダー)


ジェンダー分野に関しては、日本と韓国の2国が
近い位置に寄り添って、ほかのOECD加盟国から
孤立して離れていることがよくあります。
ジェンダーに関する国際的立ち遅れは、
日本と韓国とで同じくらいということです。

2011年7月にノルウェーのオスロとウトヤ島で
右翼によるテロが発生しましたが、テロの実行犯は、
日本と韓国は反フェミニズムの理想の国と言っていました。
テロリストの感覚は統計でも示されるということです。

「ノルウェー連続テロ」

日本と韓国でいがみ合っていると、近親憎悪にも見えてきそうです。

賃金のジェンダー格差
日本と韓国の2国は、国際的に見て
賃金のジェンダー格差が大きい国となっています。
日本と韓国だけが孤立という観点では、
賃金は槍玉にあげたいところだと思います。

フルタイム労働者に関する賃金格差についてのOECD統計
(女性賃金が男性賃金と比べてどれだけ低いか)を見ると、
もっとも新しい2012年時点で、欧米やオセアニアの民主主義国は
どこも格差は20%以下(女性賃金は男性賃金の80%以上)です。

日本の格差は26.5%(女性は男性の73.5%)で、
1990年以降、ジェンダー格差は解消傾向にあるものの、
図中の他国と比べるとずっとジェンダー格差が大きくなっています。

韓国の格差は37.4%(女性は男性の62.6%)で、
日本よりさらに賃金のジェンダー格差が大きくなっています。
諸外国が10-20%の範囲に集まる中、日本と韓国は
孤立して賃金格差が大きいことになります。

男女賃金格差の推移(フルタイム賃金ベース)


ISSPが2012年に行なった「家族と性役割に関する意識調査」の
フルタイム労働者の賃金のジェンダー格差も示しておきます。
男性賃金が女性賃金の何倍かを示していて、
日本と韓国の2国だけが1.7倍を超えて、
飛び抜けて賃金のジェンダー格差が大きくなっています。





これらのデータはすべてフルタイム就業者に限っています。
このほかにさらに、パート、アルバイト、派遣といった
低賃金の非正規雇用の就業者がいるわけです。
日本のジェンダーべつの正規と非正規の
年収の年齢依存を示しておきます。




女性管理職の割合
女性管理職の割合は、欧米の民主主義国と比べて、
日本と韓国が孤立して近い位置に来る例です。

総務省統計局の発表する『世界の統計2014』によると、
議員・行政官・管理職の女性の割合は、
日本と韓国は8-9%くらいでほぼ同じ割合です。
アラブ・イスラム圏の国ぐにと同じレベルです。

欧米の民主主義国においては、女性管理職の割合は
30%から40%以上の領域にあります。
日本と韓国は明らかにここから孤立して、
べつのクラスターを作っています。





この図は横軸に専門職の女性の割合を取っています。
日本と韓国は45%程度であり、欧米の民主主義国と比べて
大差がないことがわかります。

女性管理職の割合で大きく差がついているので、
2次元の図で見ても、日本と韓国はきわめて近い位置に
プロットが寄り添っていて、欧米の民主主義国のプロットが
集まるクラスターから離れることになります。

女性の労働力率(M字カーブ)
女性の年齢階層に対する労働力率を調べると
M字カーブを描くのは、日本と韓国だけの特異現象です。
欧米の民主主義国はどこもM字カーブを描かないです。
以下に総務省統計局『世界の統計2015』を元にした図を示します。

M字カーブというのは、出産・育児の適齢期に
女性の労働力率が下がることで、くぼみができることです。
M字カーブを描くのは、女性にとって出産・育児と
仕事の両立がそれだけ困難ということです。

日本と韓国は欧米の民主主義国と比べると
いまもって、女性が子どもを持つと仕事を
辞めざるをえない状況が根強く残っていることになります。





ILO労働統計年鑑と、日本の国税調査による、
各国の過去からの推移も示しておきます。
欧米の民主主義国は20世紀中にM字カーブの
くぼみがなくなっていますが、
日本と韓国は厳然と存在することがわかります。

「女性の年齢別労働力率の推移(欧米との比較)」

女性の年齢別労働力率の推移(欧米との比較)(1/2)
女性の年齢別労働力率の推移(欧米との比較)(2/2)


総務省の『就業構造基本調査』によると、
日本のM字カーブのくぼみは、だんだん小さくなってはいます。
それはパート、アルバイト、派遣といった、
非正規雇用を増やすことで、女性の労働力率を
高めていることも、指摘しておきたいと思います。

M字カーブは存在自体がジェンダー格差なのですが、
日本はくぼみの解消のしかたも、ジェンダー格差を
残したままであるということです。




男性の家事時間
男性の家事時間の短さも、日本と韓国の2国で、
他国から孤立して近い位置にいます。

2013年のOECDの調査を見ると、1日あたりの男性の家事時間が
もっとも短いのは韓国であり、ついで短いのは日本です。
これら2国はどちらも1日あたり50分ほどで
同じくらいの時間の長さとなっています。

下から3番目のポルトガルは100分近くあり、
4番目のイタリアより上は100分以上あります。
日本と韓国の2国だけが飛び抜けて、
男性の家事時間が短いということです。





6歳以下の子がいる夫婦共働きの家庭でも、
日本の男性の家事時間は、欧米の民主主義国の男性と比べて
きわだって短くなっています。
(韓国がどうなのかはわからない。)
総務省『社会生活基本調査』(2011年度版)の
データを見ると以下のようになっています。




日本の男性は妻が働いていても、家事をしないのであり、
「日本は専業主婦率が高いから、男性の家事時間が短い」
というわけではぜんぜんないということです。

関連エントリ

参考資料

「日本だけ特異的な...」にもどる
「ジェンダーの部屋」にもどる
「別館」にもどる
トップにもどる


inserted by FC2 system