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それにしても、すごい議論になったものです。
http://fb-hint.tea-nifty.com/blog/2005/08/post_6b82.html
http://fb-hint.tea-nifty.com/blog/2005/09/post_5084.html

わたし(たち)と議論になったかたは、
超党派の法案発議なんて、簡単にできると、信じきっているようです。
そして、反対派の抵抗のおそろしさが、どうしても理解できず、
民法改正法案が、国会に出されないのは、
推進派議員の怠慢のせいと、決めてしまっているみたいです。

野党や政権交代に対する不信、反対派の抵抗の過小評価、
専門家の能力の矮小化と、自分の考えの過大評価、
夢まぼろしのような政界再編への期待、などなど、
かつて活動していた、インターネットの市民団体と
あまりにも考えが似ているので、その残党かと、
わたしは、思いそうになりましたよ。
(与党の推進派議員も酷評するなど、細かい違いはありますが。)

「たんぽぽさんこそ、批判ばっかりでなく、
実現への現実的な手法を、私にしめしてください。」
のような、「殺し文句」まで、そっくりです。
でも、家裁認可制法案のことも、知らないようなので、
かつての、インターネットの市民団体とは、おそらく無縁で、
本当にごく最近になって、民法改正に関心を持ちはじめたかたなのでしょう。


なぜか自負がとても強く、「超党派で法案を発議して、
民法改正する方法があるはずだ」と、執拗に言い続けるのです。
そこまで言うなら、具体的にはどうするのかと、
わたしは訊いてみたのですが、「自分はしろうとだから、
くわしいことはわからない」などと言うのでした。
それでは、考えなどないに等しいではないかと、思うのですが、
おかまいなしに、はじめの主張(信念)をくりかえすのです。

政権交代のきざしが見えないと、いまの政権下で、
うまいこと実現しようして、こんな考えに
とりつかれるかたが出てくるのは、必至なのかもしれないです。
ところが、政権交代に否定的になることと、
反対派の抵抗を過小評価することは、反対派の利益につながるので、
かえって悪影響なことさえあります。

かつての、インターネットの市民団体のような活動は、
彼女たちだけが特別ではなく、運動の初期のころから、
似たようなことが、くりかえされているのではないか、
そして、そのときの失敗の知識や経験が、受け継がれないので、
あとの人たちが、おなじわだちを踏むのではないかと、
わたしは考えているのですが、すこし確証に近付いたようです。

インターネットの市民団体は、集団妄想(集団ヒステリー)に、
陥っていたのではないかと、わたしは考えているのです。

彼女たちの会が、さかんに活動していた01〜02年は、
自民党の推進派議員の動きも活発で、自分たちの働きかけで、
民法改正が実現するかも、という雰囲気が、高揚していました。
そこへ、代表世話人のような、求心力を持った人物が現われ、
カリスマとそれを信奉する人たちという(ことばは悪いですが)、
カルト集団的状況になったのだと、考えられます。

この市民団体は、自分たちのやりかたで実現するという
自負がとても強く、反対する人に対して排他的でしたが、
これはまさに、集団妄想に陥った人たちに、典型的な態度です。
そして、2003年の法務部会の茶番劇が、彼女たちを集団妄想から
目を覚まさせる、契機となったのでしょう。
結局はまわりに、悲劇を残しただけで終わり、
あとは無視黙殺を決めこむというのも、カルトにありがちな末路です。

じつは、むかしから、民法改正の市民活動は、
そうした状況ができると、おなじような集団妄想に、
取り付かれたのかもしれないです。
そして(自民党を信奉したかはべつとして)、おなじ失敗をして、
フェードアウトするのを、繰り返していたのかもしれないです。


9月11日の総選挙では、民主党が大敗して、
政権交代がふたたび、夢のまた夢ものがたりになってしまいました。
それで、かかる市民団体のように、自民党にこびる動きが
ふたたび出てくるのではと、考えるかたもいると思います。

わたしが見た限りでは、2005年10月現在では、
この可能性は小さいだろうと見ています。
自民党の大勝で、反対勢力が強くなりすぎたせいか、
自民党に働きかければ、民法改正が実現するかも、
という雰囲気は、ほとんど出てこないからです。
また、代表世話人のような、カリスマのある人物も見当たらないです。
(わたしの知らないところに、いるかもしれないけれど。)

しかし、さきにお話したような、自分の考えるやりかたに
みょうに確信を持つ人も、まだまだいるようです。
また、自民党、あるいはかつての自民党の
議員に対する信奉も、依然として強いようです。
したがって、同じような集団妄想が、いつ再発しても
おかしくない基盤は、まだあると言えるでしょう。

参考文献、資料
  • 『魔女とカルトのドイツ史』 浜本 隆志著、講談社現代新書
    ドイツにおける、集団妄想の歴史を述べた本です。
    上の文章の「カルト」も、この本の意味で使っていると
    思っていただけたら、さいわいです。

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