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民法改正運動の展開 - 2007年
共産党哀歌(1)
わたしの共産党支持者体験

政権交代に役に立たない「たしかな野党」
社民、共産の2党(いわゆる護憲政党)も、民法改正に賛成しています。
これらの政党のことを、たんぽぽは、どのように見ているのだと、
お思いのかたも、いらっしゃることと思います。

いまからおよそ3年半前、2003年の秋も深まったころですが、
各政党の選択別姓のスタンスを分析する投稿が、
ネットの市民活動家たちの集まる掲示板でありました。
そのおしまいに、付け加えるように、こんなことが言われていました。
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失礼ながら、共産党さん・社民党さんは政権取る可能性が
ゼロなので関心ありません。
========

支持されているかたがいましたら、まことに失礼ですが、
こう言われても無理ないと、わたしは思います。
実際これらの政党は、自分たちの議席を増やすことに必死で、
政権に加わることなど、二の次、三の次ではないかと思います。

この投稿は、2003年11月の衆院選の前ですから、
社民、共産ともに2けたの議席があったときでした。
そのときでさえ度外視されているのですから、
両党の議席が1けたになった、2007年現在では、
なおさら無視されているでしょう。


民法改正が実現しない、もっとも直接的な理由は、
事前審査、承認制度にもとづく、自民党内の法務部会にあります。
ここでいつも、狂信的な反対派議員たちが、
法案を握りつぶすので、国会に提出されないのでした。
これを防ぐためには、自民党を下野させるしかなく、
となると、どうしても、民法改正の実現をめざす政党は、
政権を取るよりほかにないことになります。

他党との連帯を取ろうという姿勢のある、社民党はまだしも、
共産党は、他のどことも連帯せず、「たしかな野党」を
スローガンにして、政権に参加しないと表明しています。
したがって、この観点で言えば、共産党は、
民法改正の実現には、役に立たないことになります。

社民党は、福島瑞穂氏、辻本清美氏など、
個人的に関心のある議員もいて、興味が起きないでもないです。
しかし共産党には、上の理由でまったく興味がわかず、
長いあいだ、わたしの中では、どうでもよい存在になっていました。

はじめての共産党支持者体験
はじめてわたしが、共産党(支持者)の存在を意識したのは、
2006年10月の、衆院選補選のときでした。
2選挙区とも、少しの差で与党候補が当選したからですが、
「共産党が、独自候補を立てて、票を割ったのが悪い」という主張が、
インターネットのウェブログで、見られたのでした。

先に批判をされたのは、共産党(支持者)でしたが、
あとからの支持者たちの応酬は、さらにすさまじいものでした。
ひたすら自己主張と自己正当化で、開き直ったようです。

「共産党が票を割る」って、そういえば言われることあるなと、
なんとなく思ってはいたのですが、共産党に興味がなかったこともあって、
わたしはいままで、気にしたことがなかったのでした。
それで、かかる猛烈な応酬合戦を、まのあたりにして、
こんなに激しくなることなのかと、とてもびっくりしました。
この手の議論を見たことがなかったわたしは、過剰反応にも感じました。

ついでに、このとき、共産党の支持者やシンパが、
意外とたくさんいること、すくなくとも言論空間の特定の場所に、
たくさん集まっていることを知って、
わたしは、すこしばかり、発見の気分にもなりましたよ。


ちょうどこのころ、06年11月3日号の『週刊金曜日』に、
おなじみの政治学者、山口二郎氏による、
「戦略的投票」を呼びかける記事が掲載されました。
「選挙は結果がすべて 「よりまし」で手を結ぶことを
しなければ権力には勝てない。」
http://soba.txt-nifty.com/zatudan/2006/11/post_1dbd.html

これは、共産党の支持者たちに向けたメッセージです。
当選の見込みのない候補者に投票するより、
当選する可能性の高い候補者に投票して、
確実に野党の議席を増やせ、というものです。

わたしは、これを読んで、面くらいましたよ。
3年前の『週刊金曜日』にも、まったく同じ主旨の記事を、
山口二郎氏は、載せていたからです。
(まさに「既視感(デジャブ)」です。)
どうやら、共産党支持者たちの状況は、すくなくとも3年前からは、
まったく変わっていないと考えられます。

同じ人から、同じ雑誌で、同じことを、3年以上言われて、
全然変化がないとあっては、これからさきも、
どんな説得や批判をされても、ずっとこのままでしょう。
山口二郎氏のように、今後も説得を続けるかたはいるでしょう。
しかし、ウェブログの議論であったような、
支持者たちの応酬ぶり見ても、なにを言っても無駄だと思います。


共産党の姿勢や、彼らを説得することについては、
いろいろと意見があるだろうと思います。(注1)
しかし、「共産党が票を割る」論争に巻き込まれるのは、
わたしにとっては、まったく非生産的と思いました。

06年10月の、滋賀県の栗東市長選のように、
共産党候補のせいで票が割れることも、たしかにあるのですが、
そんなにしょっちゅうあることでもないです。
それで、わたしは、たいして惜しいとも思えず、
共産党に入る票は、はじめから存在しないと思って、
いままで通り気にしないのがよさそうです。

それにしても、ブログ間で議論になったときの、
共産党支持者たちの攻撃的態度には、へきえきさせられましたよ。
彼ら支持者たちは、民主党に対する、気分の悪くなることも言っていて、
わたしは、すこしばかり、感情を害しもしました。
おかげで、わたしは、共産党やその支持者・シンパに対して、
印象を悪くしたとだけ、もうしあげておきます。

飛んできた火の粉
共産党はこのままいけば、泡沫化が進むだけでしょうし、
支持者やシンパがなにをしようと、たいした影響はないでしょう。
「言論空間の片隅にいる、お騒がしい人たち」と思って、
だまって無視すれば、じゅうぶんだと思います。
ところが、ときには、火の粉が飛んで来ることもあるのでして、
そんなときは無視ではなく、振り払う必要も出てきます。

その機会は、さっそくやって来ました。(来なくていいのに。)
2007年4月に行なわれた、東京都知事選です。
現職の石原慎太郎都知事は、ご存知のように、
フェミニズムや、ジェンダー平等を敵視しているので、
東京都の男女共同参画は、惨さんたる事態になっています。

ところが、3選を目指す石原氏は、圧倒的に強かったのでした。
対立候補を立てるべく、民主党は、あちこちに打診していたのですが、
ことごとく断わられ、ぜんぜん見つからない状況でした。

そこへ、いったんは出馬を断わった、元宮城県知事の浅野史郎氏が、
支援者たちに説得されて出馬を決めてくれたのです。
浅野史郎氏は福祉政策にくわしい知事でしたから、
「福祉がまず無駄」などと言って、福祉を目のカタキにする、
石原慎太郎の対抗としては、もうしぶんないでしょう。
これで、ようやく「勝てる候補」が現れた、
まがりなりにも、イシハラを落選させる可能性が出てきたと、
わたしもふくめて喜んだかたも、たくさんいらっしゃったのでした。


ところが、浅野氏の出馬が、共産党の支持者や
シンパにとって、とても気に入らなかったのです。
いままでは、石原慎太郎氏の、公私混同の予算の使いかたを、
叩くなどして、石原氏の支持率を下げていたのですが、
なにを思ったか、それをきゅうにやめて、
浅野史郎氏のバッシングとでも言うべき、露骨な攻撃をはじめました。

共産党支持者に言わせると、浅野氏は、公共事業をやりすぎて、
宮城県の借金は、6000億円から1兆4000億円に膨れた、
だから、自民党以上に自民党的だとなるそうです。
ところがこれは、浅野氏の失政というより、地方は借金してでも、
公共事業をやれという、なかば強制的な国策によるものです。
赤字が膨れたのは全国的なことで、平均は2.33倍です。
宮城県は同程度ですから、とくにひどくないことがわかります。

それでも、共産党のシンパたちのあいだだけで、
言い回されているなら、あえて放っておいてもいいでしょう。
(え? もうじゅうぶんよくないって?)
ところが、彼らの浅野バッシングは、いつになく猛烈だったようで、
大手マスコミの聞くところともなったのでした。
そうなると、無視するわけにはいかなくなります。

石原氏の肩を持ちたいらしいメディアは、
東京都の借金は、石原のときに、14兆円から7兆円に減ったと言って、
宮城県の借金が増えたことと、比較していました。
これはコイズミ以来の、大企業優遇の経済政策のためで、
大企業の本社がたくさん集まっているがゆえに、
東京は税収が増えて、財政状態がよくなっただけだと思います。
これも国策であり、イシハラの都政がすぐれていたのではないでしょう。


ほかには、つぎのエントリを、参照していただくとよいでしょう。
党機関紙『しんぶん赤旗』に載ったものもあります。
共産党支持者やシンパの、浅野氏攻撃は、事実のわい曲も目立ち、
告示以後であれば、公職選挙法に抵触することだと思います。(注2)
(それとも、告示前のうちに、派手にやるのでしょうか?)
http://blog.livedoor.jp/zatsu_blog/archives/51378556.html

共産党の支持者・シンパによるバッシングは、
票が自党候補から、浅野史郎氏へ流れることを、
防ぎたいからだと、おそらくは思います。
共産党と票田が直接重なるのは、自民党やイシハラという
「遠くの敵」より、民主党や浅野史郎氏という「近くの敵」です。
それで集票効率がよいと思って(本当にいいのかは知らないけれど)、
遠くの敵より、近くの敵を叩くことに、血道を上げるのでしょう。

「自民も民主も同じ」という決めつけ
共産党のシンパたちは、浅野氏を民主党が支援
(推薦ではない)していたことも、気に入らないようです。
民主党は石原の政策に賛成した、「イシハラ与党」であり、
その候補者だから、浅野史郎氏はイシハラと同じなのだそうです。

石原慎太郎氏と浅野史郎氏の違いなんて、
これまでなにをしてきたかを見れば、歴然としています。
じつにばかばかしい主張をまじめにするものです。
ところが、浅野攻撃の正当化にも、実際に使われることがあったのでした。

この「イシハラ与党」とは、民主党の東京都議のことですが、
彼らは終始独自候補(菅直人氏)の擁立に、こだわっていました。
浅野氏の支援を決めたのは、民主党の執行部であり、
このため候補者選びで、都議とずっと対立していました。
最終的には、執行部の意見が通り、都議は反対されるのですから、
浅野氏は「イシハラ与党」の候補だ、などと言うのは、
言いがかりもはなはだしいというものです。


自分たち以外はみんな同じ、「オール与党」と決めつけるのは、
共産党が、他党や他候補者を攻撃するときの、常套手段です。
彼らの言いぶんを聞いていると、民主党の都議は、
全員石原を支援していて、いつも石原の法案に
賛成しているかのように、思ってしまいそうです。

前回03年の都知事選では、民主党の方針に「造反」して、
石原の応援をした、不埒な民主党都議はたしかにいました。(注3)
また一部の民主党都議が、イシハラに賛成したという法案もあるようで、
それはおそらく日の丸、君が代の義務化と思われます。

そういう親イシハラ都議は、わたしの知るかぎり8人だけで、
現職の34人全部がそうなのでは、もちろんありませんよ。
石原の法案に、いつも賛成するはずもなく、たとえば、
07年3月の石原の出した予算案に、民主党都議は全員反対をしています。
「民主全員が予算案反対 都議会「打倒・石原」、苦渋の結束」

今回の都知事選の浅野支援に、民主党は党議拘束をかけなかったのですが、
それでも民主党都議は全員が、イシハラの応援はしませんでした。
これは07年4月11日の毎日新聞で、記事になったのですが、
共産党の支持者・シンパは、すっかり無視のようです。
「記者の目:東京都知事選「無党派層」に問う」


「自民党も民主党も同じで、どこが違うかわからない」と、
共産党の支持者たちは、なにかというと喝破するのですが、
その多くはこのように、きわめて恣意的な解釈にもとづくものであり、
せいぜい一面的な事実でしかないものとなっています。

民法改正をはじめ、男女共同参画に関心のある、わたしには、
自民と民主がどう違うかなんて、あからさまです。
なにをもって、彼らはこんなことを言うのかと、いぶかしく思っていました。
それは、自分にとって都合のいい、かぎられた事実だけを、
ことさらに強調して、それが全体のように印象づけているだけのようです。

政治っぽい言いかたをすれば、「アジテーション」です。
「自民も民主も同じ」と決めつけることで、
泡沫化の進んでいる、自分たちの存在意義を正当化し、
また支持者を引き寄せよう、ということなのでしょう。

支持者やシンパたちは、大手メディアの報道は、
偏っていて信用できないと、つねづねご不満なようです。
それでいて、浅野氏や民主党について、もっと偏ったことを書く、
『しんぶん赤旗』を真に受けるのは、どういうことなのでしょう?
わたしは、この情報リテラシーに、「とんでも」を感じてしまい、
共産党のシンパたちには、要注意と思うようになりましたよ。

(注1)
共産党がすべての選挙区に、当選のみこみのない泡沫候補を立てるのは、
それぞれの選挙区内で、共産党の比例区で票を取るための
選挙活動をするためと言われています。

(注2)
共産党支持者たちの主張に対する反論は、たとえばつぎのエントリがあります。
  • 浅野史郎氏が東京都知事選に出馬の意向固める
    コメント欄に、「コミュニスト」というハンドルの、
    共産党支持者がいたので、わたしは議論してあげました。
    「あなた(共産党支持者)は、石原氏と浅野氏の、どちらを敵視するのか?」
    という、わたしの質問に、ついにお答えはいただけなかったです。

(注3)
たとえば、土屋たかゆき氏という民主党都議は、
そのむかし、つぎの歴史認識のサイトの掲示板に、大挙して投稿していた、
ネット右翼たちの、お仲間だったそうです。
http://www.geocities.co.jp/WallStreet/6930/

その後も、「お仲間」たちとネットを使って、
さまざまな活動を続けていましたが、とりわけ拉致問題に熱心でした。
2003年の都知事選では、民主党の方針に反して、
しっかりイシハラの応援をしていました。
(情報を提供してくださったかた、まことにありがとうございます。)

参考文献、資料
  • 週刊金曜日 2006年11月3日 山口二郎の政治時評
    選挙は結果がすべて「よりまし」で手を結ぶことをしなければ権力には勝てない
    つぎのエントリに、全文が載せられている。
    http://soba.txt-nifty.com/zatudan/2006/11/post_1dbd.html
  • 浅野史郎さんのハートに火をつけよう!
    http://asano46.exblog.jp/
    支援者たちによるウェブログ。
    選挙の様子がわかるでしょう。

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