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民法改正運動の展開 - 2004年
神道政治連盟を報じないマスコミ

ところで、3月12日の毎日新聞と、4月3日の朝日新聞には、
選択別姓に反対する、支持団体の影響があることが、書かれています。
これらを見て、この「選択別姓反対の支持団体」というのは、
なんなのかと思ったかたも、いらっしゃるかもしれないです。
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しかし、反対派も徹底阻止に動いた。
「別姓に反対する団体から『部会で反対意見を主張してほしい』という
手紙やメール数十件が議員に寄せられた」と関係者は解説する。
========(2004年3月12日、毎日新聞)
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この会合では「法案提出が支持団体の反発を招き、
参院選で悪影響を与えるとの意見がある。」
「官邸の興味が薄い」などの意見が上がった。
========(2004年4月3日、朝日新聞)

たとえば、つぎのエントリでは、「支持団体」とはなんなのか、
朝日新聞の記事で、「...との意見がある」となっているが、
いったいだれを代表しているのかと、いぶかっています。
http://www.snowelm.com/~t/tdiary/20040404.html
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だから、参院選の票より国民の幸せを議論してくれっていってるのに・・・。
そもそも支持団体って誰よ。
団体としての姿をとっている少数の人たちより、
雌伏して夫婦別姓を待っている人たちのほうがずっと多いと思うんだが、

「悪影響を与えるとの意見がある」って、自分の意見じゃないってことか。
誰を代表しているのだ? 国民の代表じゃないの?
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つぎのエントリを書いたかたもまた、いつも自民党内の根強い抵抗で、
選択別姓法案がつぶされるのを、ふしぎに思っていたのでした。
それで、この「別姓に反対する支持団体」とはなんなのか、
ウェブで検索して探してみたのでした。
http://www.mypress.jp/v2_writers/talkingdrum/story/?story_id=327092

そうしたら、中村敦夫氏が質議した、2000年5月25日の
参議院法務委員会のコンテンツが見つかったのでした。
やはり支持団体とは、「神道政治連盟国会議員懇談会」でした。


実際問題として、これが出てきて、特に自民党の中で
反対意見が多くなってきたというのは、一九九六年三月三十一日に開かれた
神道政治連盟国会議員懇談会、これ今話題の会ですけれども、
ここにおいて選択的夫婦別姓制度の反対が協議されて、それ以来なんですね。
それ以降、神道政治連盟及び二百名以上いる同議員懇談会というところで
たびたびこの制度への反対が表明されているんですよ。

そうすると、いわばここのところが与党の中でも反対の総本山みたいな形に
なっているということで、臼井法務大臣自体この懇談会の
幹事を務められているということがあるわけですね。
さきのエントリのかたは、3月12日の朝日新聞に、 7月の参院選に影響が出る、という理由で反対する、 反対派議員がいたとあることから、これは選挙協力をしている、 自民党の宗教系の団体ではないかと、見当をつけたようです。 そして、「なぜこういう背景を報道しないのか、別姓に反対する団体 というのはなんだと、思うのではないか?」と、疑問を呈しています。

わたしも、あとから知ったのですが、菊のタブー(皇室)、
桜のタブー(警察)、鶴のタブー(創価学会、宗教)というのが、
日本のメディア界の、「3大タブー」と言われています。
このほか、「部落解放同盟」も、タブーなようですし、
中小規模のものも入れれば、もっとたくさんあるようです。

それで、「神道政治連盟」をはじめ、「遺族会」「日本会議」
「統一教会(国際勝共連合)」といった、宗教系の各種政治団体は、
メディアで言及されることがまれで、「○○の支持団体」のように、
ぼやかした書きかたをされることになります。

これらの団体は、選挙活動を行なうために必要な、
たくさんの人員を提供するので、とても影響力が強くなっています。
神道政治連盟が反対するので、選択別姓、民法改正法案は、
いつも法務部会でつぶされると、言ってもいいくらいです。
本当なら、国民のあいだで、もっと知られてもいいはずなのですが、
報道されることがあまりないので、その影響力が大きいわりに、
知られない存在となっているのでした。


新聞やテレビはこんな調子ですから、宗教系政治団体について、
話題にすることがあるメディアは、週刊誌や、
個人のウェブサイトなどで、散発的程度になります。

雑誌で出てくる例としては、『婦人公論』03年2月号の
「井戸端会議、『夫婦別姓』論議はどこに行ったのか」で、
自民党議員の支持基盤に、神道政治連盟というものがあって、
それが反対していることが、述べられています。
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福島 ただ自民党のなかにも賛成の人も多いんですよ。
佐々木 そう。ところが後ろに、「夫婦別姓は絶対反対」という
支持団体がいたりするじゃないですか。
すると、おおっぴらに夫婦別姓賛成とは言えなくなるんですよね。
田丸 強硬に反対している団体って、たとえばどこなんですか。
佐々木 神道政治連盟だとか……。
福島 神道政治連盟がいちばん大きいかもしれないね。
田丸 2000年に森喜朗さんの「神の国」発言の舞台となった団体ですよね。
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ウェブサイトでは、わたしが見たかぎり、さきの中村敦夫氏の
参議院法務委員会が、いちばんたくさん書いてあると思います。
このほか、福島瑞穂議員のページや、佐々木知子議員のページにも、
神道政治連盟のことが、すこしだけ出てきます。
さきの『婦人公論』の、「井戸端会議」に出てきたおふたりで、
ウェブでも、いつもおなじかたばかり、発言しているようです。


「マスコミは偏っている、信用できない」という論調は
いつでもありますが、神道政治連盟など、
宗教系政治団体が、メディアで報じられないことを、
取りざたする人たちは、あまり見当たらないです。
そもそもの存在が知られていないので、偏っていること自体、
気付かれないということかもしれないです。

選択別姓や、民法改正を扱っているサイトを探してみても、
個人のものでは、まったくといっていいほど、見当たらないのでした。
(どうやら、わたしのサイトが、ほとんど唯一みたい...)
マスコミが報じないことについては、なおさらなにも言われないです。
強力な選択別姓反対の団体が、批判はなおさらですが、
話題にもならないのは、民法改正の実現という観点からいっても、
このましくないことだと思います。

参考文献、資料
  • 婦人公論 2003年2月
    井戸端会議 「夫婦別姓」論議はどこへ行ったのか

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