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「発掘!あるある大事典」で捏造発覚

あるある捏造発覚 あるある捏造発覚(2)

07年のはじめに、関西テレビの、人気健康バラエティ番組である、
『発掘あるある大辞典』で、データの捏造が発覚しました。
1月7日放送の回で、「食材X」などともったいをつけた前振りで、
「納豆は食べるだけでやせられる」と、うたったのですが、
これがまったくのでたらめだったのです。

捏造があることをあばいたのは、『週刊朝日』です。
07年1月26日号で、「納豆ダイエットは本当に効くの?」という、
2ページの短い記事を載せたのが、スクープとなりました。
『週刊朝日』は、関西テレビに質問状を送ったのですが、
1月20日にいきなり捏造を認めての謝罪の会見でした。

謝罪会見のつぎの日の1月21日は、早くも放送中止となりました。
このあと、スポンサーの花王が、早々に引き上げたこともあって、
そのまま雪なだれ式に、番組打ち切りとなりました。
いままでずっと、わたしを含めて、「あるある」のとんでもぶりを
批判してきた人たちは、「ついに年貢の納め時か」と大騒ぎでしたよ。
http://otd11.jbbs.livedoor.jp/1105014/bbs_tree?base=13329&range=1
http://otd11.jbbs.livedoor.jp/1105014/bbs_tree?base=13428&range=1

このあと、過去に放映した番組まで、さかのぼって調べられ、
以前に行なっていた捏造も、つぎつぎとあばかれてしまいました。
そして、いいかげんな実験や、関係のない実験を行なっていること、
専門家のコメントが、都合よく「編集」されていること、
スポンサーが、番組内容に影響を与えていることなど、
以前から健康バラエティ批判をしてきたかたたちのあいだでは、
よく知られていたことが、明るみになっていきました。


ところで、「あるある」で捏造なんて、むかしからずっとだったのに、
なんで今度にかぎってきゅうに?と、わたしは思いました。
そのせいか、どこか醒めた感じのかたも、いらっしゃるくらいです。
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だってさー。もう常日頃からゆってるから驚かないけども。
ニセ医者にしゃべらせていたときは謝罪もなかったのに、
さすがに今回はあきらめたのかな。
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「あるある」で紹介された食材が飛ぶように売れて、
それがつぎの回で、べつの食材が紹介されるまで続くのも、
いつものことで、このとき始まったことではないです。
ある日、納豆がとつぜん売り切れるようになったので、
なにごとかと思ったら、「あるある」のせいだと知って、
なんだそうだったのかと、あっさり納得してしばしあきれる、
というのが、わけ知りの人たちの反応です。

「あるある」や、みのもんたの「おもいっきりテレビ」といった、
健康バラエティ番組が、いい加減な情報を流しているのは、
インターネットでは、2001-02年ごろには、すでに批判されていました。
そうした批判サイトを作っていたかたの中には、
『また「あるある大事典」にダマされた。』という本を書いたかたもいます。

これで個人レベルで、「あるある」のいかさまに
気がついたかたは、それなりの数いらっしゃっりました。
それだけでも批判サイトは、じゅうぶん役に立ったのだと思います。
それでも、日本社会全体に、広く知られることはなかったようです。
ウェブの批判など、あたかも存在しないかのように、
番組はつづがなく続けられていました。

『週刊朝日』のポッドキャストで、捏造をあばいたいきさつについて、
お話しているサイトを教えてくださったので、それを聞いてみました。
わたしの印象では、発覚したのはやはり偶然という感じです。
ここまで騒ぎが広がっていくとは、記者たちも思ってなかったようです。
「納豆ダイエット」捏造をスクープ!事実はいかに解明されたか
納豆ダイエットはTV局の「捏造の構図」から生まれた!

ダイエットに関心のある記者が、納豆が売り切れているのを見て、
何ごとかと思って調査に乗り出したら、事情がわかったみたいです。
さっきお話したように、「あるある」で宣伝された食材が、
飛ぶように売れるのは、毎度のことなのですが、
今回はあちこちのメーカーで売り切れがあいつぐなど、
いつもより度が過ぎていて、それで注意を惹いてしまったようです。

またいままでは、扱いかたが恣意的だったり、
科学的に意味がないものでも、「実験」はしていたし、
まがりなりにも「結果」も出していたのでした。
ところが「納豆」の回は、とりわけせっぱつまっていたのか、
ひどかったらしく、まったくなにもない状態での捏造だったようで、
それもあったのかもしれないです。

さらに、取材を受けたという「アーサー・ショーツ教授」が、
じつは納豆の研究をしていないなど、ウェブで検索をかける程度で、
しろうとでもわかるでたらめもありました。
いくつかの要因が、今回にかぎって重なったことはあるでしょう。
しかし長いあいだ、いいかげんな内容の番組を流していたのですし、
いつ発覚しても、おかしくない状況にあったのだと思います。


今度のことで、「だまされた!」「信じていたのに!」と、
猛烈に怒った視聴者たちは、もちろんたくさんいました。
「あるある」の信者なんて、いまもって多いのだろうと、
わたしは思ってはいたのですが、あらためて数の多さに驚かされましたよ。
楽をしてやせたい人がそれだけ多いのだと、言ってしまえばそれまでですが。

それでも、「あるある」で放映した食材が、毎週のように食べ続けられ、
番組内容への疑問が、まったく顕在化することなく、
5年も6年も続いたのは、ある意味驚異的なことです。
日本人はマスメディアの言うことを、信じやすく流されやすい
国民だそうですが、それを改めて実感させられたしだいです。

もしこれが、政治的に危険な内容であれば、
それこそ、取りかえしがつかないことに、なっているところです。
醒めた見かたをすれば、「健康バラエティだから、
このくらいですんでいる」とも言えるでしょう。

謝辞

『週刊朝日』のポッドキャストのサイトを教えてくださった、
galleryさま、まことにありがとうございます。

「あるある掲示板」で、わたしの疑問にお答えしてくださった、
Tama-miさまにも、お礼をもうしあげます。

参考文献、資料
  • 『週刊朝日』
    • 「発掘!あるある大事典II」(フジテレビ系)が絶賛した
      納豆ダイエットは本当に効くの?
      (07年1月26日号)
    • それだけじゃない 納豆ダイエットの大ウソ(07年2月2日号)
      「発掘!捏造あるある大事典II」 本誌スクープ取材にビビって緊急会見
    • 「捏造!あるある大事典II」納豆ダイエット おわび放送もデタラメだった!(07年2月9日号)
      独走追求第3弾 すべては、週刊朝日の報道で始まった
    • 単独スポンサー 花王の「関与」を徹底検証(07年2月16日号)
      独走第4弾 まだある「あるある大事典」のネバネバ疑惑
      ヘルシア緑茶 エコナ サクセス...
    • スポンサー花王にも「捏造騒動」の過去(07年2月23日号)
      独走第5弾 「あるある大事典」のウソ
      すべては本誌が納豆ダイエットのウソを見破ったことから始まった

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