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民法改正運動の展開 - 2004年
与党、法案提出を断念

自民党、法案提出を断念
自民党の推進派議員が、法務部会での意見集約を
あきらめたあと、議員立法をめざすことにしたのですが、
その約10日後の4月3日、ついに今国会も法案提出を断念しました。
「法案提出が支持団体の反発を招き、参院選で悪影響を与える」
「官邸の興味が薄い」というのが、おもな反対意見でした。

「支持団体」というのは、組織票だけでなく、
人手のかかる選挙活動を支えるための人員も提供します。
彼らが活躍してくれないと、選挙活動もままならなくなります。
それでときおり、強い発言力を持つことになります。
2004年は、夏に参院選を控えていますから、
あまり支持団体の意向に逆らいたくない、というのでしょう。

保坂三蔵議員は、「参院選挙後に仕切り直しすべきだ」と言って
法務部会での議論を打ち切ろうとしたのでした。
これは、いつものように「先送り」にして、
法案提出を妨害するためだと思いますが、
このほかにも、支持団体の選挙協力の心配もあったのでしょう。


自民党内では、どういう雰囲気が強いのかというと、
憲法改正や、防衛庁の省昇格といった、
「自民党らしい」政策をやりたいのだそうです。
これらを推進したほうが、支持団体の選挙協力も得やすいのでしょう。

インターネットの選択別姓の市民団体のみなさんは、
「自民党の議員さんにお願いすれば...」と
やたら信頼と期待をしていますが、やはりというか、しょせんというか、
自民党はこういうところなのだと、わたしは思います。

ほかに自民党内では、「もともと野党が言い出したこと。
もし法案が通ったら、(参院選で)『私がやった』と
宣伝されかねない」なんて言う議員もいました。
そんな言いかたするなら、あなたこそ、率先して実現させて
選挙で宣伝すればいいのにと思います。
ところがここで、脚の引っぱり合いに走るところにも、
選択別姓に対する彼らの考えかたが、現われていると思います。

野党の動き
野党各党は、毎年のように、独自に民法改正法案を提出しては、
自民党の抵抗にあって、審議されずじまいをくりかえしていました。
ところが、今年は自民党内の推進派勢力が、
強くなったことを受けて、戦略を練っていたようです。

04年3月12日の朝日新聞によると、与党から法案が提出されたら、
いつもどおりの野党3党案を、再提出する予定でした。
与党案と比較検討する、というのを理由に、
国会での審議入りをねらったのでしょう。
野党3党案は、もともとからの選択制ですから、
審議の中で、自民党の家裁案より、すぐれていることを主張して、
選択制を実現させようとしたのかもしれないです。

11日の朝、民主党議員のひとりが、自民党の推進派から、
また法務部会でつぶされそうという連絡を受けたのでした。
「これだけ(別姓の)条件を厳しくしたのに、
それでも(部会を)通らないなんて信じられない」と、
その民主党議員は、もらしたとあります。
(電話でやりとりした、民主党と自民党の議員が
それぞれだれなのかは、わからなかったです。)

与党から法案提出されると見て、準備していたのに、
出鼻をくじかれたわけで、落胆も大きかったようです。
わたしなんて、2002年2003年の自民党の法務部会の様子から、
どうせ今年もだめだろうと思っていたので、
心理的ショックはなかったのですが、与党の反対派議員が
大幅に減ったで、期待してしまうかたもいるのでしょうか?


自民党の「実現させる会」が、法案提出を断念して
1か月以上たった5月15日、野党3党は民法改正法案を提出します。
とはいえ、国会の閉会も近いですし、いつも通りの
「年中行事」になったことは、言うまでもないでしょう。

センセーションなんてあるはずもなく、
どこの新聞も、取り上げはしたのですが、ごく小さい扱いでした。
気がつかないかたも、いらっしゃると思います。
例によって、法案が審議入りされることもなく、
みんなから忘れられたまま、国会は閉会してしまうのでした。

参考文献、資料
  • 朝日新聞 2004年3月12日
    夫婦別姓法案 今国会提出見送りへ 自民部会で異論相次ぐ
    「改正法案 提出だけでも」 推進派の仕掛け実らず
  • 朝日新聞 2004年4月3日
    夫婦別姓法案の提出断念
  • 毎日新聞 2004年5月15日
    夫婦別姓認める民法改正法案提出

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