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民法改正運動の展開 - 2007年
2007年参議院選挙(2)
女性当選者過去最多

女性当選者過去最多 参院選結果いくつか 参院選結果いくつか(2)

あまり目立たない話題なのですが、2007年の参院選は、
女性の当選者が過去最高だったという、新記録もあります。
「マドンナブーム」と言われた1989年は、22人でしたが、
それを上回る26人となり、割合も21.5%と、はじめて2割を超えました。
諸外国と比べると、まだまだ立ち後れているのですが、
これまでは10%台でしたから、ずっと進歩したと言えるでしょう。

埼玉、東京、神奈川の3選挙区は、女性のトップ当選で占められて、
東京と神奈川は、2位以下の候補者に、得票で大きく差をつけています。
また、ふたり当選した選挙区(福島、東京)もありました。
とくに東京は、民主、自民がともに、男女ひとりずつ候補を立てて、
いずれも女性が上位当選しています。

ほかにも、自民党の基盤が堅い、島根と岡山で、
参院自民党の大物政治家を破った、ふたりの「お姫さま」のように、
注目の選挙区での健闘も目立ちました。
「岡山と島根の牙城崩した2人の「姫」 一夜明け街頭へ」

こうして見ると、数だけでなく、内容も充実したものがあります。
女性の候補者は、積極的に受け入れられたと言えるでしょう。
年金、教育、子育てなど、生活重視の候補者が、
女性には多かったですが、それが自分たちのくらしを、
なんとかしてほしいという、有権者の声を取り込んだのでしょう。


政党別に見ると、民主党が60人中14人(23.3%)と、4分の1近くあり、
また当選した全女性候補者の、半分以上を占めています。
(自民党も37人中8人(21.6%)で、数に関しては結構健闘していたりします。)

女性の躍進が目立ったのは、議席をたくさん増やした
民主党の候補者の擁立のしかたに、負うところが多いでしょう。
選挙区でふたり以上候補者を立てるときは、
ひとりをかならず女性にすることを、基本方針としました。
そして、今回から定数が3に増えた千葉を除き、全部の選挙区で、
ふたり候補を立てたところは、ひとりが女性になっています。

また女性の候補者には、「WS基金」のような、
金銭的な援助を行なったり、選挙に関するノウハウを伝える
講座を開くなど、技術的な支援も行なっています。
単純に数をそろえるだけでなく、当選を確実なものにするため、
実効的な施策を行なっていると言えるでしょう。
「民主党の女性擁立にはポリシーがありました」と、
GFBのウェブサイトでも、評価されています。


郵政選挙で、民主党は、衆院の議席を大幅に減らしたのですが、
とくに女性議員の数が減ったのが深刻でした。
男女共同参画に、名実ともに熱心であると、自負があった民主党にとって、
これはかなりゆゆしき事態だったのでした。
今回の参院選で、議席の数に関しては、取り戻したことになりそうです。

民法改正の観点から、わたしが注目するのは、東京選挙区です。
自民の現職で、04年の法務部会で選挙があるからと言って、
部会を先送りしようとした、選択別姓に反対している様子の、
保坂三蔵氏が落選したのでした。

2007年参議院総選挙、東京選挙区(法定得票数以下は省略)。

当選大河原雅子 民主1,087,743
当選山口那津男 公明794,936
当選鈴木 寛 民主780,662
当選丸川 珠代 自民691,367
当選川田 龍平 無所属683,629
 保坂 三蔵 自民651,484
 田村 智子 共産554,104
 杉浦ひとみ 社民209,053
今回定数が5に増えたというので、安倍首相(当時)は、 色気を出したのだと思いますが、アナウンサーだった、 丸川珠代氏を引き抜いて、ふたり目の候補者に立てたのでした。 支持団体の支援を、一部自分にまわしてほしいと、 丸川氏は、保坂氏に申し出たのですが、いかんせん「消えた年金」で、 自民に逆風が吹いているので、保坂氏も自分だけでせいいっぱいで、 まわしている余裕はないとのことでした。 結局どうなったのかというと、自民現職の保坂三蔵氏と、 新人の丸川珠代氏とで、競り合い(!)になってしまいました。 知名度を生かした丸川氏が、滑り込みで5議席目で当選し、 保坂三蔵氏は落選して次点、得票は約65万票と2001年の半分も取れず、 堅かった「支持団体」の基盤は、崩れ去ったのでした。 丸川珠代氏の当選は、すごいというか、意外でした。 先に当選確実が出たのは、川田龍平氏でしたが、 最終的な得票数は、丸川氏が追いこして4位になっています。 どんな経緯であろうと、民法改正に反対している人が、 ひとり減ったのは、わたしとしては、結構なことだと思います。 保坂氏は、01年のときは141万票で、ぶっちぎりのトップ当選でした。 いくら今度は危ないとはいえ、保坂三蔵氏が落選して、 丸川珠代氏が当選するケースだけは、だれも想定していなかったのでしょう。 丸川事務所は、自分の当選確実が出ても、すなおに喜べなかったようで、 複雑な気持ちになっていたようですよ。 「丸川戸惑い当選「素直に喜べない」花束、万歳もナシ」 民主党は、生活ネットから引き抜いた、大河原雅子氏がトップ当選です。 混戦状態にあって、だいじょうぶかなと思っていたのですが、 ふたを開けてみたら、なんのことはない、100万票を超えて、 2位を20万票以上引き離しての堂々の当選です。 もうひとり、民主党の鈴木寛氏は現職なので、余裕があるかなと 思っていたので、3位になったのは、ちょっと意外ではありました。 78万票を取って、前回01年とほぼ同じ得票(76万票)です。

もうひとつ、わたしが注目したところは、神奈川選挙区です。
民主党の牧山弘恵氏が、トップ当選です。

2007年参議院総選挙、神奈川選挙区(法定得票数以下は省略)。

当選牧山 弘恵 民主1,010,866
当選小林 温 自民895,752
当選水戸 将史 民主781,533
 松 あきら 公明691,367
 畑野 君枝 共産385,619
牧山弘恵氏は、郵政選挙の熱狂の覚めきらない、 2005年10月の参院の補欠選挙のときに、初出馬でした。 このときは、コイズミ政権での閣僚の経験がある、 川口順子氏が相手だったので、大差をつけられての落選でした。 こんどの07年の参院選は、知名度も上がりましたし、 連合の支援もついたこともあって、2位に10万票以上つけて堂々の当選です。 わたしが、牧山弘恵氏に注目したのは、つぎのエントリがあったからです。 むかしからあった、民法改正のウェブサイト『夫婦別姓の法律学』の 作者のかたが書いていたウェブログ、『歌うたいのカケラ』です。 http://sea.ap.teacup.com/eighsaqu/72.html http://sea.ap.teacup.com/eighsaqu/74.html これらのエントリは、05年10月の補選のことを書いたものですが、 民主党が相当なまでに嫌いな「歌うたい」さんは、 ご覧のように、これでもかというほど、悪しざま書いています。 (「にせメール」のテッサロニケ氏を思わせるものがあります。) 民主党が公募を出して候補者を選ぶこと自体、 「人材発掘の能力がない」からだ、などと切り捨てていますし、 牧山弘恵氏を候補者に選んだことも、「しがらみもない人」を 「捨石」にしたなどと、悪いことのように書いています。 それだけではなく、牧山弘恵氏個人のことも、気に入らないようで、 たとえば「浮ついたマニュアル本を記す」などと言っています。 しかも、つぎの選挙のときは、どうせ居場所なんてないだろうから、 もう出馬しないで普通の生活に戻ればいい、などとも言っています。 これを読んで、わたしがどう思ったかは、言わずもがなでしょう。 わたしは、かすかな期待を持ちつつ、選挙情報を見ていたのですが、 「歌うたい」さんの予想に反して、牧山氏が07年の参院選で出馬するとなって、 ちょっとうれしくなって、ひそかに注目を決めたのでした。 それでどうなったかは、このページで書いたとおりです。 2年前の敗北を、難なく取り戻したと言えるでしょう。 「歌うたい」さんが、牧山氏のトップ当選をどう思ったかは、 もうブログを書いていなかったので、わからないです。 コイズミの権力が絶頂の時期に、閣僚経験者を相手にして、 わずか半月ほどの選挙期間で、公募で選ばれた新人の当選が、 きわめて難しいことくらいは、わかるでしょう。 補選のとき、あえて出馬したのは、この選挙で知名度を稼いで、 つぎの選挙で当選しやすくしよう、ということかもしれないです。 (もしそうだとしたら、目的は果たせたことになりますが。)

参考文献、資料

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