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民法改正運動の展開 - 2009年
自民党哀歌
これが自民の生きる道?

自民党が危ない 民主党叩きが逆効果

衆議院総選挙が近付くにつれて、
自民党は、党機関紙に、民主党叩きの記事を載せたり、
パンフレットや動画を作るなどして、民主党に対する、
ネガティブ・キャンペーンを張るようになりました。
パンフレットは各家庭に、ポスティングもしているので、
受け取ったかたもいるのではないかと思います。

「日本の未来が、危ない」

かかるパンフレットや動画、機関紙の連載記事を見ると、
民主党には、いつも政策決定でぶれていたり、
「秘密の計画」があったりするそうです。
「民主党=日教組」なんてイコールでつないでいたり、
労働組合が日本を侵略するお話があったり、
そのほか排外・国粋主義的なことが、たくさん出てきます。

ジェンダー関係でも、従軍慰安婦への補償は自虐史観で、
日教組の「陰謀」で「過激な性教育」が行なわれたりします。
その「過激な性教育」の例として、七生養護学校で
使われた人形の写真が、出ているパンフレットもあります。
この裁判は1審判決で、都議たちの介入が、
言いがかりとされたのですが、これは出て来ないです。


わたしなんて、「いやあああ〜〜〜」ってなりましたよ。
本当に自民党のサイトかと、思わず確認しましたよ。
そこらへんのネトウヨが作っている、
「アジサイト」に迷いこんだのではないですよ。
まちがいなく、公党が正規の政治活動として、
刊行しているものなので、「ねんのため、おことわり」です。

こういうのを堂々と言うのは、『産経新聞』とか、
『正論』とか、あるいは『世界日報』とか、
そういうメディアだと、わたしは思っていたので、
これが自民党の正体だったのか!?と、びっくりしましたよ。
まさに「知ってドッキリ自民党」です。

じつは、このネガティブ・キャンペーンは、
自民党の「第2マニフェスト」とも言われたのでした。
いままでは政権の座にあったので、穏健層を引き留めておくために、
まがりなりにも、猫をかぶっていたのでしょう。
ここへきて選挙で負けそうなので、一部の固定支持層だけでも、
つなぎ止めておこうというのでしょう。

おそらくみなさまも期待しているであろう
(してないって?)ものも、しっかりあります。

オリジナルは、党機関紙『自由民主』の
2009年7月21日号となっていますよ。
「検証・民主党提出法案(上)」
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民法改正案
極端な男女平等論背景にした法改正

 女性の地位の向上、男女の対等な婚姻関係を構築するため、
女性の再婚禁止期間を現在の6カ月から100日に短縮するほか、
選択的夫婦別姓を導入する。

 この問題はわが党でも議論されたが、
「家族の絆(きずな)を弱める」との反対論が根強く、改正は見送られた。
注意しておくべきは、同党の考え方の背景に、
極端な男女共同参画社会への発想があることだ。

 同党は「真の」男女平等のための基盤づくりを行うため、
教員、医療従事者、警察官などへ男女平等教育を普及させる考えを
示しているほか、男性の家庭参加促進教育も強化するとして、
徹底した男女平等思想を普及させようとしている。
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もうひとつこちらは、2009年8月24日号です。
いえぜひとも、「次々に推進」してほしいです。
「甘い政策で国民を欺き、本心をひた隠す民主党の実態」
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 民主党は、「靖国問題・国立追悼施設の建立」だけでなく、
「永住外国人の地方選挙権」や「選択的夫婦別姓の早期実現」など、
国民生活に重大な影響を及ぼす政策を、
「政策INDEX 2009」には掲載しておきながら、
今回の「マニフェスト」には一切掲載していません。

 民主党は、「マニフェスト」に国民受けする
ソフトで甘い政策ばかりを羅列し、
もし政権を取れれば、「政策INDEX 2009」に
記載しているような、世論が大激論となる
重大な政治問題を次々に推進するのが狙いなのです。
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これ以上のコメントは控えます。
自民党は党としては、民法改正、選択別姓に
「反対」であることを、あらためてここで
はっきり表明したことになります。

かようなネトウヨのアジと見間違えそうな、
えげつない民主党批判など逆効果だったのではないかと、
これをご覧のかたはお思いでしょう。

それまでは、いつも自民党に投票しているのに、
ネガティブ・キャンペーンのサイトを見せたら、
とたんに自民党に投票するのをやめたという、
リアルの知人が数人いた、というお話も、
わたしは、うかがっています。(謝辞を参照)

情報通信学会「間(かん)メディア社会研究会」が、
このあたりを調査していますが、実際、自民党に対して、
悪い印象を持った人が多かったようです。

「衆院選で他党批判CMは“逆効果”だった」
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自民党が民主党の政策を批判するアニメCMを
ネットで公開したり、ビラや冊子を配布したりしたのは
「日本で初めての本格的なネガティブキャンペーンだった」と指摘。
“逆効果”になっていたことが調査で明らかとなり、
「有権者は良識を持って行動している」と分析している。

 調査は、衆院選後の8月31日と今月1日の両日、
選挙に投票した20代から60代の男女1000人を対象に、
インターネットを通じ、メディアが投票行動に及ぼす影響を調べた。

 それによると、45・5%の人がネガティブCMを見ており、
そのうちの63・5%が批判する政党に対して悪印象を受けた。
自民党に投票した人の33%もネガティブCMについて
悪い印象を持ったと答えた。
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このパンフレットは、リアルでも配っていたのですが、
つぎの記事を見ると、これはどうしたことか、
かなり評判がよかったようなのです。

「自民頼みは公明・女性票、民主は「安全運転」」
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民主党の政策を批判するため党本部が作成した
パンフレットも追加発注が相次ぎ、計300万部がさばけたという。
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いったい、あんな得体の知れないものを
だれが喜んでほしがるのかと思うのですが、
街頭で受け取る人は、一部の固定支持層が多いと思われます。
これに対し、ネットでアクセスするのは、
一般の有権者が多いと考えられます。

つまり、一般の有権者の支持は離れたけれど、
一部の固定支持者たちは、より確実につなぎ止めたのでしょう。
当初の自民党のねらいは、うまくいったのかもしれないです。

下野してからの自民党は、一般有権者が受けた
悪い印象などどこ吹く風とばかりに、
固定支持層を固める方向に向かったようです。

とくに目立ったものとして、たとえば、09年10月17日に
「日本解体阻止!!守るぞ日本!国民総決起集会」
というタイトルの集会を開いています。
「「日本解体を阻止せよ」保守派議員が総決起集会」
「10・17 日本解体阻止!! 守るぞ日本!国民総決起集会」

ここには、稲田朋美山谷えり子といった、
自民党のお馴染みのメンバーのほか、
平沼赳夫西村真悟なども参加していて、
党派を超えて右翼議員、右翼識者たちが集まっています。
上記リンクさきを見れば、内容はわかるでしょう、
ネガティブ・キャンペーンのサイトと、ほとんど同じです。

ちなみに、集会に参加したかた、
会場の写真をかなりていねいに撮って、載せているので、
「嘘と偽善の「女子差別撤廃選択議定書」
「選択的夫婦別姓制度」はいらない」などと書かれた
横断幕があるのも、見つかると思います。


「日本解体阻止」なんて、ヒステリーとしか
わたしには思えないのですが、こうした右翼的な活動や集会は、
もちろんこれ一度ではなく、さかんに続けられています。

かかる動きは、自民党の中で、どのくらいの
ウエイトをなのかは、わたしにはわからないです。
記事にするのはもっぱら産経新聞だからです。
他紙が取り上げないのは、野党の話題だからかもしれないので、
これだけで党内のウエイトが小さいとはかぎりません。
すくなくとも、一定の影響力はあるのでしょう。


政権から遠いので、右のイデオロギーに走って、
一般有権者の支持が離れ、ますます政権から遠のく、
という悪循環に、自民党はおちいりかけているのかもしれません。

かつての社会党が、左のイデオロギーに捕われて、
(「左翼ばね」なんて言いますが)こうした事態になり、
政権から縁遠くなったのですが、こんどは自民党が、
左右を逆にしてそれをやりそう、というわけです。
ようするに「右翼ばね」です。

つぎのエントリを見ると、経済政策や福祉では、
民主党と差をつけるところがないので、
選択別姓反対や婚外子差別温存のような、
マイノリティ差別に、自民党は安住せざるを得ない、
なんてショッキングなご指摘があります。
「憎悪を基盤に置く保守主義」

このままいけば、本当に自民党は「万年野党」、
「右翼イデオロギー政党」の道を突き進んでいきそうです。
悲願の政権交代はなしとげましたが、
「ときどき政権交代のおきる二大政党」が
定着するまでには、まだ道なかばのようです。

謝辞
ネガティブ・キャンペーンのサイトを、
いつも自民党に投票していた何人かの知人のかたに見せたら、
みんなきゅうに自民党に投票するのをやめた、という情報を
提供してくださったかた、まことにありがとうございます。

また、わたしのささやかなブログが、お役に立ててとても光栄です。

参考文献、資料

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