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民法改正運動の展開 - 2004年
2004年の法務部会(2)

産経新聞、法案見送りを歓迎
各新聞社とも、選択別姓法案が自民党内で、
握りつぶされた事実を、淡々と報じている中、
これをあらわに喝采している新聞が、ひとつだけありました。
その新聞の名前は、もちろん『産経新聞』です。
2004年3月13日の『主張』のコーナーで、
「夫婦別姓 法案は当然見送るべきだ」という社説を載せています。

反対の理由は、反対論者ありがちな、「家族のきずなを壊す」とか、
「子どもの教育を考えていない」とか、「正しい家族幻想」や、
「子どもはかわいそう」論にもとづいた虚構となっています。
さらに倫理の教科書に、夫婦別姓が出てくることや、
これを受けて大学入試試験に登場したことも、お気に召さないようです。


政策決定に関したことで注目するのは、高市氏の通称使用案が、
法務省の民法改正法案や、「実現させる会」の家裁認可制案より、
「はるかに現実的である」などと書いていることです。
その高市案とやらは、あるのかないのかはっきりしないものです。
現に法務部会では、「心の中にある」などと言う議員がいました。

この産経の社説に出てくる高市案というのが、
なんのことなのか、具体的に訊いてみたかたがいました。
そうしたら、2001年12月25日の産経新聞の「ニュースウオッチ」
「夫婦別姓なぜ法制化されないのか」に出てくる、という回答でした。
http://fb-hint.hp.infoseek.co.jp/law08.htm

その記事を見ていると、上のリンク先で指摘されているように、
高市は自分の改正案を「提案した」とあって、
「提出した」とはなっていないのでした。
やはりというか、高市早苗の通称案は、構想のレベルであって、
具体的な法案のかたちにはなっていないようです。
心の中にあるようだけれど、実際には存在しないらしい法案の、
いったいどこが、「現実的」だと言うのでしょうか?


もっとあきれるのは、法務部会で、「実現させる会」の法案に
反対意見が根強かったので、「高市案が今でも説得力を
失っていない証左だ」などと書いていることです。
反対意見が「根強い」のは、反対論者というのは、
理由も理屈も受け付けない、頑迷きわまりない人たちであり、
自民党の法務部会は、法案提出が阻止できる、ただひとつの場だから、
いっそうヒステリックになるだけのことです。

さらには、「現に、日本の多くの職場では、かなりの女性が
結婚前の姓を通称として使い、現行民法でも
不自由は生じていない」などとも書いていたりします。
通称使用は、認められないこともあるし、認められても、
ダブルネームの煩雑さがあるなど、苦労をすることがあるのですが、
そうした現状は、ごっそり無視しているみたいです。
「高市案の説得力」の正当化のために、わい曲をしているのでしょう。

でたらめを通り越して、傲慢さえ感じられる社説だというので、
つぎのように、批判をしているサイトがいくつかあります。
http://ch01181.kitaguni.tv/e38663.html
http://fb-hint.tea-nifty.com/blog/2004/07/post_4.html
http://www.sasaki-law.com/memberof/general71.htm#5
========
加えて、無知極まりない産経新聞の社説!! 
いわく、高市法案がいい。高市議員が落選したのを奇禍として
法案を通そうとしている……馬鹿も休み休みにしてほしい。
社会の公器」がその立場を利用し国民に誤った情報を植え付けるなど
(あるいは本当に無知なのか)とんでもないことである。
========

市民活動家たちの反応
例のインターネットの市民団体のかたたちですが、
(といっても、このころは、すでに政治団体の体裁はなくなっていて、
単に、以前の関係者が、個人掲示板に集まっているだけになっていたけれど)、
2003年の法務部会で、失敗に終わったと思って、
自分はもう活動していないと、心の中で決めているのでしょうか、
政治的なことは、掲示板で発言すらしない人が、ほとんどになっていました。

それでも一部のかたは、まだあきらめていないようです。
掲示板で法務部会のことを話題にしてきましたよ。
3月10日の共同通信ですが、このとき法務部会はまだなので、
未来のことは断定しないのが、新聞記事の約束ですから、
「微妙」と書いていますが、実態は「絶望」と言いたいのでしょう。
========
また今回も「微妙」だそうですね。。。
私は、例外制でもいいから、とにかく早く可決してほしい派です。

推進派にも、例外・・・には反対の方も多いようですね。
一時に理想的な法案が可決されることにこだわるより、
段階的解決を目指したほうが結局は早いのではないかと思いますし、
現実的だと思っています。
「一時に理想的な法案が可決されることにこだわるより、
段階的解決を目指したほうが結局は早いのではないかと思いますし、
現実的だと思っています。」なんて言っています。
========[1166]

ところで、自民党の「実現させる会」の法案は、家裁認可制になって
ひさしいのであり、[1166]のかたの推奨する方法で、
すでに現在の膠着状態におちいっているのですが。


そのあと、[1177][1178]と、法務部会でまたも見送りという、
朝日と読売の記事が紹介されます。(紙面版はともに3月12日)
[1180]で言及されている、「『国家解体』と考えている議員」は、
『Voice』の記事に影響されたと思われる、大前繁雄議員のことでしょう。

[1197]で紹介されている、朝日新聞の記事は、
紙面版では3月24日の、「夫婦別姓『党議拘束なしで』 
自民推進派提出を模索」という記事だと思います。
何回も法務部会で、法案提出がにぎりつぶされ続けるので、
議会制民主主義において、法案提出さえできないのはおかしいと、
一部の若手議員から批判が出てきたみたいです。

党議拘束がはずされれば、野党の賛成と合わせて過半数を超えるので、
選択別姓法案が可決することは、まちがいないでしょう。
そして、それがわからないような、反対派議員でもないのでして、
こんな動きがあっても、どうせ反対されてしまい、
期待はできないだろうと、わたしは思ってしまいます。
実際、「党議拘束をはずせ」という意見は、前からあったのですが、
いつもしっかり反対されて、実現されずに来ているのでした。

記事によると、「人の命にかかわる臓器移植法案とは性格が違う」と、
党執行部は、党議拘束はずしに、消極的なようです。
選択別姓を実現するために、頑迷きわまりない反対派議員たちを、
おさえようという考えは、やはりないもののようです。


それにしても、「党議拘束なしで」なんて、ニュースが入ると、
ひとむかしでしたら、「自民党の議員さんたちを、応援しましょう」と、
やりだして、実現は近いとばかりに、わーっと盛り上がったのでした。
ところが今回は、だれもそんなことは言わず、だまって流されるだけです。

[1197]のかたも、内心では期待したいのかもしれないです。
ところが、いままでのことから、ぬか喜びの可能性が高いですし、
さりとて、「どうせ今度もだめでしょう」とは、言いたくないので、
だまってURLの紹介だけにしているのだと思います。
自分の意見を言わなくなっただけでも、用心深いというか、
立ち回りがよくなったのかもしれないです。

参考文献、資料
  • 産経新聞 2004年3月13日 主張
    夫婦別姓 法案は当然見送るべきだ
  • 朝日新聞 2004年3月24日
    夫婦別姓「党議拘束なしで」 自民推進派提出を模索

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