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アポロ計画陰謀論(1)
アポロ計画陰謀論とは?
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「アポロ計画では、人類は本当はお月さまに行っていなかった」
という疑似科学(陰謀論の一種)を、ご存知でしょうか?
「行ったと見せかけただけで、NASAのでっちあげだ」というものです。
「ムーン・ホークス(月のでっちあげ話)」とも言われることがあります。

アポロ計画が終わったすぐあとから、あったようですが、
日本でよく知られるようになったのは、2002年に、
テレビ朝日系列の番組、「これマジ!?」で紹介されてからです。
それ以来、あちこちで話題なり、信者の数を増やしてしまうのですが、
その中にあって、副島隆彦氏は、徹底して信じこんでしまい、
『人類の月面着陸は無かったろう論』なんて、本まで書いています。

もちろん、「アポロ計画」では、1969年7月の11号から、
1972年12月の17号まで、6回にわたって、宇宙飛行士たちは、
まちがいなくお月さまに降り立っていますよ。
(アポロ13号だけは、途中の事故で、月に降り立てずに戻っています。)
人類の大業績であるはずの月旅行が、じつはまぼろしだった、
ということは、まったくないですので、ご安心くださいね。


人類がお月さまへ行ったことは、アメリカ合衆国政府や、
NASA(航空宇宙局)の「でっちあげ」でないことの検証は、
つぎのサイトか本をご覧になるといいでしょう。

[1] 「月の雑学 第3話 人類は月に行っていない!?」
 http://moonstation.jp/ja/popular/story03/index.html
 「月探査情報ステーション」のコンテンツ。
 ウェブですぐに読める、アポロ計画陰謀論の反論です。

[2] 「人類の月面着陸は無かったろう論」
 http://homepage3.nifty.com/hirorin/tondemotaisho2005taroron.htm
 副島隆彦氏の本について知りたいかたは、さしあたってこれをどうぞ。
 第14回日本トンデモ本大賞の受賞作品として紹介されています。

[3] 『人類の月面着陸はあったんだ論』(楽工社)
 アポロ計画陰謀論について、具体的な反論をはじめ、
 歴史的経緯など、さまざまなことが書かれています。
 この本の5章は、上の[2]をだいぶ加筆修正したものとなっています。
 まとまった内容について、本でご覧になりたいかたは、これをどうぞ。

[4] 「アポロ計画」
 http://www.masaakix.interlink.or.jp/apollo/index-apollo.html
 アポロ計画の全貌について知りたいかたは、このサイトをどうぞ。
 ちなみに、サブコンテンツの入り口は、ずっと下のほうです。
 わかりにくいかたは、こちらからご覧になるといいでしょう。
 http://www.masaakix.interlink.or.jp/apollo/d_apollo/apollo-01/ap-ap01.htm

2007年5月6日に、『オリコン・スタイル』というサイトの、
「オリコン受験」というコーナーで、会員を対象にして、
アポロ計画を事実だと思うかどうかの、アンケートを行なっていました。
「人類月に立つ歴史、信じない人約2割に」
http://juken.oricon.co.jp/44311/

これによると、「人類の月着陸を信じない」は、全体の18.5%でした。
あなたは、これをご覧になって、多いと感じるでしょうか、
それとも少ないとお考えになるでしょうか?
こんな陰謀論を信じている人が、18.5%もいるというのは、
開いた口がふさがらないと、おっしゃるかたもいらっしゃいます。
http://d.hatena.ne.jp/Red-Comet/20070509
http://d.hatena.ne.jp/LM-7/20070509

わたしは、18.5%という数字は、案外少ないと思いましたよ。
もっとたくさんいて、3-4割はいるかなと思っていたからです。
どうやら、わたしは、まさかと思うようなトンデモないことを信じる人は、
ことのほか多いものだと考えることに、慣れてしまったのかもしれないです。

ただ、月旅行を信じない理由に、「テレビの検証番組を見て」が、
3位に来ているのは、見逃すことができないと思いました。
この検証番組とは、「これマジ!?」のことだと思いますが、
このような、バラエティ同然の番組を信用しているらしい、
これらの人たちは、07年1月に捏造が発覚して番組打ち切りになった、
「あるある大辞典」のことが、ぜんぜん教訓になっていないようです。


わたしは、この陰謀論をはじめて聞いたとき、
とりたてて政治的なものは、感じなかったのでした。
こうした陰謀論が蔓延する理由は、最近の宇宙開発の停滞か、
理科や科学へのコンプレックスだろう、くらいに考えていました。

宇宙開発の停滞については、「アポロ計画以来、
月旅行はぜんぜん行なわれていない」という意見が、
オリコンのアンケートにもあったので、わかるでしょう。
また月旅行は、人類の科学技術の粋を集めた、歴史に残る大偉業ですから、
科学に反感を持つ人が叩きたくなるのも、予想がつくと思います。


さきにお話した、副島隆彦氏も、科学コンプレックスは強いようです。
「文系人間の都合のいいように、理系人間は飼われているだけだ」とか、
「理系人間は、あたまの弱い計算ロボットだ」とか、
自分の本(『人類の月面着陸は無かったろう論』)で、
科学や、科学技術関係者に対する偏見を、書き散らしています。

わたしは、これを見て「遠山啓の時代か?」と思ってしまいましたよ。
理科やその関係者に対して、このような眼で見る文系の識者は、
21世紀のいまも、まだまだいるということでしょうか?
それとも、副島隆彦氏だけが、突出して時代錯誤の理科嫌いなのでしょうか?

もっとも、副島隆彦氏は、本にまとめて出版する前に、
ウェブログで、アポロ計画陰謀論のことを、さかんに書いていて、
そのころから、かなり批判をあびていました。
(自分の本では、「匿名で批判するやつは恥を知れ」とか、
ネットで批判した人たちの悪口も、書き散らしています。)
それで、ねじけてしまったのも、あるのかもしれないです。

ところが、上述の動機とはべつに、もっと政治的理由で、
この陰謀論を信じるかたたちもいらっしゃります。
それは、反米イデオロギーとか、反米ポピュリズムとかいうもので、
むしろこのような人たちに、信者は多いようです。

ようするに、「アメリカは、ああいう国だから、
このような壮大なでっちあげもやるにちがいない」というわけです。
アポロ計画は、アメリカ合衆国が、国の威信をかけた
巨大プロジェクトですから、アメリカが嫌いな人たちが、
これを否定したくなるのも、わかることと思います。


つぎのウェブログを書いたかたも、そのようです。
真珠湾奇襲を、アメリカのやらせだと言ったり、
9.11同時テロも、自作自演だと言ったりしていますし、
最後のくだりを見ても、反米感情は相当に強いことがうかがえます。
http://henrryd6.blog24.fc2.com/blog-entry-252.html
========
腹がたつがこれがこの日本の今の情けない状況だ。
でもこんな大嘘つきのアメリカ・日本の政府に
この地球の未来を委ねるわけにはいかない。
深い闇は夜明けの前だと思う。私は決して諦めない。
========

『阿修羅』という政治談義の掲示板でも、ときどき話題になるようです。
ところがこちらも、反米感情の強いかたが多いようで、
つぎのように、副島隆彦氏のウェブサイトが、紹介されていたりします。
残念ながら信じているかたは、たくさんいそうな感じです。
http://www.asyura2.com/0304/bd25/msg/776.html


副島隆彦氏も、反米感情は相当に強いかたで、
アメリカは世界の覇権国で、日本はその属国だとか、
そんなことを、さかんに著作に書いていらっしゃります。
さらには、『属国日本史 幕末編』なんて本まで書いて、
むかしのアメリカ合衆国まで、たたいていたりもします。

アポロ計画陰謀論を、副島隆彦氏が信奉するようになったのも、
反米感情にもとづく動機が、さきだったのだろうと思われます。
自分の本(『人類の月面着陸は無かったろう論』)の最初の章でも、
いきなり、アメリカ帝国は大嘘つきだと、書いているくらいです。
(さきの『阿修羅』に転載されたところでも、このくだりが出ています。)
そのあとも、本の中のいたるところで、アメリカに対する、
反感や憎しみを、書き散らしていらっしゃります。

「アポロ計画は、アメリカのでっちあげだ」という言説は、
アメリカ憎しの気持ちが高じて、はまりこんだトラップであり、
いわば「反米ポピュリズムのなれのはて」なのだと思います。

謝辞
ブログのコメント欄で、『属国日本史 幕末編』を教えてくださった、
galleryさま、ありがとうございます。
いつもいっぱい情報をお寄せくださって、まことに恐縮です。


参考文献、資料
  • 「山本弘のSF秘密基地〜トンデモの部屋」
    「人類の月面着陸は無かったろう論」
    http://homepage3.nifty.com/hirorin/tondemotaisho2005taroron.htm
    副島隆彦氏の本について知りたいかたは、さしあたってこれをどうぞ。
    と学会が行なっている、第14回日本トンデモ本大賞の受賞作品として紹介。
  • 『人類の月面着陸はあったんだ論』(と学会レポート、楽工社)
    アポロ計画陰謀論について、具体的な反論をはじめ、
    歴史的経緯など、さまざまなことが書かれています。
    この本の5章は、上の第14回日本トンデモ本大賞のページにあるものを、
    だいぶ加筆修正したものとなっています。
    まとまった内容を、本でご覧になりたいかたは、これをどうぞ。
  • 「オリコンスタイル」-「オリコン受験」(2007年5月6日)
    「人類月に立つ歴史、信じない人約2割に」
    http://juken.oricon.co.jp/44311/

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