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「理系保守」の少子化対策(4)
少年犯罪は関係するか?
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紫藤ムサシ氏は、共稼ぎの家庭にも暮らしやすい社会、
女性が子どもを持っても、仕事を続けやすい社会を
整えると、犯罪多発社会になると、信じているもののようです。
この背景には、女性が家庭にいないと、子どもが荒れて、
非行に走りやすい、という考えがあるのでしょう。
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山田教授の提言は日本を”犯罪多発社会に落す”
危険なものであり、到底・採用できるものではありません。
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ところで、警視庁の発表している、「少年犯罪統計データ」によると、
少年犯罪のいちばん多いのは、1960年代であることがわかります。
そのあと、1980年ごろまで減り続け、それ以降は、
現在にいたるまで、低い水準でほぼ一定になっています。

たとえば、つぎのサイトに、10万人あたりの殺人の検挙数を、
グラフにしたものが出ています。
20歳未満の検挙数は、1960年ごろは約11人ですが、
1980年以降は、約2人にとどまっています。
http://www.jca.apc.org/toudai-shokuren/dekigoto/000824a.html

じつは、いちばん少年犯罪が多く、荒れていたのは、
ムサシ氏が、「本能にかなっていて、幸福度が高い」
などと言っている、専業主婦の家庭が、主流だった時代です。
これに対し最近の20年ほどは、少年犯罪はたいして増えていないです。


そういえば、サカキバラくんをはじめ、マスコミで話題になる
「凶悪な少年犯罪」は、どちらかというと収入が多く裕福で、
母親は専業主婦、きょうだいもいて、本人は孤独ではない、
という家庭で、起きていることが多いようです。

それなのに、このことは無視されて、「母親が外で勤めていると、
子どもが荒れて、凶悪犯罪に走るのだ」などと糾弾されるのは、
まったく不可解としか言いようがないです。
(だから、専業主婦世帯こそ、凶悪少年犯罪の温床だ、
ということでは、もちろんないけれど。)

こうした見当違いの主張のもととして、ここ最近マスコミが、
少年犯罪が増えた、あるいは凶悪化したという論調の、
報道をしていることが考えられます。

1980年ごろになると、日本社会はまがりなりにも豊かになり、
貧しいゆえの犯罪はだいぶ減ってきました。
これによって、相対的に、学校の受験競争など、
文化的抑圧型の少年犯罪が、目立つようになってきました。
そして、世間の意識が変わり、マスコミが記事に
書くようになったからでしょう、凶悪な少年犯罪の数そのものが
きゅうに増えたと、信じられるようになったのでした。

マスコミが書くようになったことには、
文化的抑圧型の少年犯罪が、どこにでもある、
ありふれた家庭で起きている、ということもあります。
それで、自分のところのような、平凡な家庭でもありえる、
という疑心暗鬼が働き、かつては、他人ごととして、
ろくに興味を持たなかった少年犯罪に、
世間の人たちの関心が、向くようになったのでしょう。

いずれにしても、本当に増えたのは、
「マスコミで報道される少年犯罪」であって、
「少年犯罪」そのものではありません。
ムサシ氏のような人たちも、ご他聞にもれず、
マスコミの情報を、うのみにしやすいと言えそうです。


しかし、これだけでは、「一見しあわせそうで模範的な家庭が、
じつは危ない」という認識に、落ち着くと思います。
(世間一般の「常識」も、おそらくそうではないでしょうか?)
ムサシ氏のように、「女性の社会進出に原因がある」と
考える人たちには、さらにもうひとつ、
彼らだけに特有の事情が、あることになります。

それは、夫が外で働き、妻が専業主婦として家庭を守るという、
高度経済成長期に多かった「標準家庭」が、
「正しい家族」なのだという、幻想だろうと考えられます。
この古きよき時代には、なにもかもがうまくいっていたと、
彼らは信じているからでしょう、家族に関したことで、
なにか具合の悪いことがあると、それは「正しい家庭」から、
外れているからだと、教条的に決めつけるようになっています。

あとは、「凶悪な少年犯罪が、近年増えているらしいが、
それは、むかしと違って、女性が外で働くようになったので、
家で放置される子どもが、増えたからにちがいない」と、
言いがかり同然の主張に、行き着くことになります。

なにを思ったか、紫藤ムサシ氏は、非行少年についての見解を、
役所やマスコミの共同参画の関係者に、おたずねしたのだそうです。
ところが、回答がもらえなかったようで、とても不満そうなのです。
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私も法務省発行の「保護統計年鑑」を基に
「非行少年の帰住先のデータ」の感想を市役所の男女参画課と
読売新聞の猪熊律子記者に求めましたが、
答えは両者とも「お答え出来ません!」でした。

日本はいつから「全体主義国家」になってしまったのでしょうか!?
差別の名の下にフェミニズムに都合の悪いことは
すべて隠されてしまうのです!
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問い合わせたのが本当だと言うなら、
少年犯罪のことは、男女共同参画課の管轄外ですから、
データや意見を、持ち合わせてないだけだと思います。
虚構に取りつかれて、架空の主張を続ける人は、
こうやって被害妄想を強めていくのかと、わたしは思いましたよ。

参考文献、資料

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